20分で1万台も売れたPHEVとは
中国の高級EVブランド「Voyah(嵐図)」が、ファーウェイのテクノロジーを全面活用したフラグシップSUV「Taishan(泰山)」を正式に発売しました。現在、中国市場で巻き起こる高級大型SUV戦争の最前線を解説します。
まずVoyahは、中国国有自動車メーカー・東風汽車(Dongfeng)のプレミアムEV専門ブランドとして複数のEVをラインアップしており、とくに売れ筋のミニバンEV「Dreamer」は、高い走行性能や装備内容の充実ぶりによって、高級ミニバン市場でトップクラスの販売規模を実現しています。

そしてVoyahは、5車種目としてフラグシップSUV「Taishan」の正式発売を開始しました。Taishanとは、中国・山東省にそびえる、1987年に世界複合遺産に登録された標高1545mの山であり、中国人にとっても聖地として特別視されています。Taishanは全長5230mm、全幅2025mm、全高1817mm、ホイールベース3120mmの大型SUVセグメントに該当します。この大型SUVセグメントは販売価格が高額となることから、各社がフラグシップと位置づけてあらゆる最新テクノロジーや装備を詰め込んでくるため、各メーカーの最新技術レベルを考察する上で重要な存在です。

とくにTaishanは、熱効率45.18%を実現する1.5リッターエンジンとデュアルモーターを組み合わせたPHEVです。65kWhという超大容量バッテリーを搭載することで、EV航続距離はCLTC基準で350kmを実現。65リットルの燃料タンクを組み合わせると、最長航続距離は1430kmに達します。動力性能も最高出力380kW、最大トルク705Nmを発揮することで、0-100km/h加速も5.2秒と俊敏です。
さらに、PHEVとしては先駆的な800Vシステムを採用することで5C超急速充電に対応。SOC 20-80%まで12分で充電可能とすることで、1週間分のEV走行に必要な電気を短時間で急速充電することもできてしまいます。

加えて、Taishanの強みは東風汽車が開発した最新シャシーシステムの存在です。電子制御サスペンション「EDC」とトリプルチャンバー・エアサスペンション、最大16度の切れ角を有する後輪操舵機能を組み合わせた最新シャシーシステムによって、快適な乗り心地、オフロード走破性、そして最小回転半径5.4mという取りまわしのよさを高い次元で両立しています。
しかもハイエンドADAS(先進運転支援システム)には、ファーウェイの最新自動運転システム「ADS 4.0」を採用。とくに最上級グレード「Ultra」では4つのLiDARを搭載する「ADS 4 Ultra」を採用することで、レベル3自動運転に対応可能なハードウェアすら搭載しており、将来性も十分です。スマートコックピットシステムにも「Harmony Space 5」を採用するなど、ファーウェイのテクノロジーを組み込みながら、後席向けエンタメスクリーン、冷温庫、超高級スピーカーシステム、ゼログラビティシートなど豪華な装備内容も網羅されています。

そして価格設定については、37.99万元(約830万円)を実現。Cピラー以降を含めたすべての天井の内張にスエードを採用するなど、超豪華な装備内容に対して、極めて高いコスト競争力を実現してきた格好です。






















































