装備も価格もライバルに勝る
とはいえ、この大型SUVセグメントには強力なライバルが存在することを忘れてはなりません。
とくにベンチマークであるファーウェイ「AITO M9」、Zeekr「9X」、BYD「Denza N9」などとEV性能を比較すると、Taishanは800Vシステムを採用しており、急速充電性能も9Xとともにトップクラスを実現しています。さらに、内燃エンジンの熱効率の高さなどをはじめとして燃費性能が6.9L/100kmとセグメントトップですが、9XとN9には2リッターエンジンと3つのモーターが搭載されていることで、動力性能は一枚上手です。さらに9Xは最高出力1030kW、最大トルク1410Nm、0-100km/h加速も3.1秒という、3トンを超える大型SUVとしては怪物級の動力性能を誇ります。

それでも、Taishanが評価されている最大のポイントはデザイン性でしょう。Dreamerと同様の質実剛健なフロントデザインを採用しており、ブランドアンバサダーにも映画「レッドクリフ」などに出演していたフー・ジュン(胡軍)を起用。Voyahブランド全体のイメージやTaishanという車種名、デザイン言語を含め、質実剛健さを一貫してアピールすることに成功しているのです。

また、以下のような装備を備えていることから、内容面でもTaishanはまったく抜かりがありません。
・16.1インチ3Kセンターディスプレイ搭載
・55インチARヘッドアップディスプレイ搭載
・後席向けの21.4インチエンタメスクリーン搭載
・3.5インチの車両操作ディスプレイを2列目キャプテンシートのアームレストにそれぞれ内蔵
・コックピットシステムはHarmony Space 5
・USBポートは全部で6つ
・ワイヤレス充電も空冷式50W急速充電を2つ搭載
・セントリーモード装備
・マトリックスヘッドライトは投影システムを実現するファーウェイ製ピクセルタイプ
・シート素材はナッパレザー。16ポイントマッサージをはじめ、助手席は折りたたんだり180度リクライニングしたりすることが可能
・2列目にはレッグレストによるゼログラビティシート、ヒーター、クーラー、26ポイントマッサージ、メモリーに対応
・3列目は4方向電動調整とシートヒーター、クーラーを装備
・電動ステアリング調整を採用
・EDCとトリプルチャンバー・エアサスペンションを採用
・256色アンビエントライトを装備
・電動サイドステップは運転席側にも搭載、プロジェクションライトも採用して高級感を演出
・PHEVとしては珍しいヒートポンプシステムを導入
・−6℃から50℃まで対応可能な13リットルの冷温庫を装備
・後席サイドガラスも含めた全面の二重ガラス化
・電動サンシェード付きのガラスルーフ搭載
・期間限定で全ドアに対する自動開閉機能を無料プレゼント
・ファーウェイADS 4.0はシティNOAまでに対応。LiDARを4つ搭載することで将来的な高速道路上におけるアイズオフを可能とするレベル3自動運転に対応予定
・V2L機能は最大6.6kW
・220Vコンセントはキャビン内3列シート部分に配置
・最高出力2,300Wに達する32スピーカーシステムとロードノイズリダクション機能
・リヤサイドガラスに対する調光サンシェード機能
・9エアバッグシステム装備
・車両保証は5年10万km、バッテリー保証はファーストオーナーに限って永久保証
これほどまでの装備内容やEV性能を網羅していることから、ドイツ御三家のX5、Q7、GLEにとっては激震が走る完成度でしょう。
ちなみに、PHEVの電池大容量化の流れはTaishanだけではなく中国市場全体のトレンドです。とくにWLTCモードで200kmを大きく上まわる超ロングレンジモデルが複数ラインアップされ始めています。さらに2026年初頭に投入予定のLeapmotor「D19」には80.3kWhという超大容量バッテリーを搭載し、CLTC基準で500kmのEV航続距離を実現してくることから、PHEV/EREVの航続距離競争はまだまだ続いていくことでしょう。

今回のTaishanは、競合がひしめき合う中でも発売開始21分で10,000台の確定注文を獲得しており、大型SUVセグメントの競争がさらに激化することは間違いありません。






















































