EVは誰が買ってもいい代物なのか
クルマ選びの物差しは、時代とともに変わってきた。かつては馬力や燃費、乗り心地を比べれば十分だったが、最近は友人との会話でも「電費」「充電インフラ」「バッテリー保証」といった聞き慣れない言葉が飛び交うようになった。実際、筆者も「EVっていいですか? 次はEVも考えているけど、いまのガソリン車となにを比較すればいいのかわからない」と聞かれることが多くなった。ガソリン車ならカタログ燃費と実燃費の差を頭に入れておけば大きな失敗はしないが、EV(電気自動車)はチェックすべき項目そのものがまったく違う。本稿では、はじめてのEV、とくにバッテリーへの充電だけで駆動するBEVを検討する人がまず押さえておきたいポイントを整理してみたい。

<航続距離は「カタログ値」ではなく「生活動線」で判断する>
BEVのカタログを開くと、まず目に飛び込んでくるのが1充電あたりの航続距離である。しかしこの数値だけで判断するのは危険だ。カタログ値はWLTCモードという国際的な測定基準に基づくが、実際の走行では、エアコンの使用、高速走行、外気温の低下によって数値は目減りする。とくに冬場はバッテリーの化学反応が鈍り、暖房にも電力を使うため、条件によっては公称値の3〜5割程度低下する例も報告されている。

だからこそ、自分の生活で「1日にどれくらい走るのか」を冷静に見積もることが先決である。通勤や買い物中心で1日数十km程度なら、大容量バッテリーは必ずしも必要ない。むしろ重要なのは充電環境だ。戸建てで自宅に普通充電器を設置できるなら、夜間に充電して毎朝満充電で出発できるため、日常での不便はほとんど感じないだろう。一方、集合住宅などで自宅充電が難しい場合は、生活動線内に急速充電器がどれだけあるか、そして混雑状況はどうかを事前に確認しておくべきである。この確認こそが、航続距離のスペック以上に重要なチェックポイントになる。













































