近年のEVは安全性と制御性能が大きく向上している
ところで、回生ではモーターが発電機に切り替わり、発電した電気を車載バッテリーに充電すると説明した。そのとき、もしバッテリーが満充電(100%)であったら、充電できず回生ブレーキが機能しなくなるのではないかとの懸念がある。
そのとおりだ。ただし、厳密には回生ブレーキが働く。
理由は、EVに車載されているバッテリーは、メーター上の表示でSoCが100%となっていても若干のゆとりをもっているからだ。したがって、100%まで充電して走り出しても、アクセルペダルを戻せば回生ブレーキは作用する。
EVの車載バッテリーについて、その容量の数字がネットであるかグロスであるかという話が出てくることがある。ネット(Net)とは正味の数値で、グロス(Gross)は総合的な数値をいう。一般的に、EVのバッテリー容量はネット表記とされ、実際に使える電力量であることを意味するとされている。しかし、実際には容量にゆとりを残している。そこで100%の満充電であるとしても、回生ブレーキを使えることになる。
グロス表記であると、バッテリーが技術上可能な容量になり、これで100%充電をしたら、それ以上の電力をバッテリーが受け入れることはできない。充電量が減らないと回生ブレーキの効果は得られないことになる。
かつて、100%の満充電の際に回生ブレーキが利かなかったり利きが弱かったりしたことがあった。しかし現在は、ほぼそのようなことはないのではないだろうか。実際に私が保有する日産サクラも、バッテリー容量が20kWhと多くないので、外出の際は100%充電で出発することがあるが、それでも回生ブレーキは利いている。
回生ブレーキの作動については、EVが減速をしているのにブレーキランプが点灯せず後続車が戸惑うことが以前はあった。ことにアクセルペダルを大きく戻して強い減速が行われた際には、後続車に追突される懸念もあった。
しかし今日では、わずかにアクセルペダルを戻して速度調整する場面でブレーキランプが点灯することはないが、大きくペダルを戻し速度を落とすことを目的とするペダル操作の際には、ブレーキペダルを踏んでいなくても、ブレーキランプが点灯するようになっている。
エンジン車でも、エンジンブレーキが機能しているときにブレーキランプは点灯しない。ブレーキペダルを踏んで速度を落とす意思が明らかなときブレーキランプは点灯する。強い減速を意図しながら、変速機を原則チェンジして強いエンジンブレーキを働かせても、エンジン車のブレーキランプは点灯しないのだから、EVの回生ブレーキでのブレーキランプ点灯は、後続車に対しより丁寧に状況を知らせているといえるだろう。
EVが市販されてから15年以上過ぎ、もはやEVはエンジン車以上に安全かつ安心して利用できる性能や機能を備えている。過信は禁物だが、15年前の状態を取り沙汰し、EVがエンジン車に劣るだとか使い勝手がよくないだとか、まして危険であるといった風評については、いまのEVの姿を適切に説明する必要がある。






















































