国ごとによって呼び方が変わる例も
次に、ZEVやNEVは、環境適合車を表す言葉だ。
ZEVは、米国カリフォルニア州で1990年に制定された法律で使われたのが最初といえる。ZEVとは、Zero Emission Vehicleである。排気ゼロのクルマという意味だ。すなわちEVを指す。
排気ゼロとは、気候変動に影響を及ぼす二酸化炭素(CO2)はもちろん、大気汚染をもたらす有害物質(NOx:窒素酸化物/HC:炭化水素/CO:一酸化炭素)も出さないことを示している。

ZEV法の制定以後、90年代後半になって、FCEVの開発が複数の自動車メーカーから示され、ZEVにFCEVが加わるようになった。
燃料電池は、水素と酸素の化学反応によって発電する装置である。その化学反応により排出されるものはあるが、水蒸気のため、気候変動にも大気汚染にも悪影響を及ぼさないことから、ZEVに加えられている。
一方、同じ水素を燃料に使っても、エンジンで燃焼させた場合は、NOxの排出がある。このためZEVとはならない。

NOxは、燃料に含まれないが、高温で燃焼した際に空気中の窒素と酸素が結合して生み出される。燃料電池は、燃焼をせず、化学反応による発電のためNOxの排出はなく、水蒸気のみ排出されるというわけだ。水ではなく水蒸気ということは、水が沸騰する程度の温度になる証拠といえるが、その程度の温度であればNOxは生成されない。
中国で使われるNEVの表記は、New Energy Vehicleのことだ。EV、FCEVのほかに、PHEVもその枠組みに加えられている。そこがZEVと異なる。
PHEVは、モーター駆動による走行を終えたあと、エンジンを併用するHVとして走行を継続でき、そこで排気を出すためZEVとならない。

それでも、近距離移動でEVと同様のモーター駆動で走行すれば、全体的にはCO2の排出量を減らすことができる。密集する都市部を離れた地域である程度の排気があっても、大気汚染による健康被害に発展する可能性は低くなる。
したがって、NEVではPHEVも加えられている。
一方、欧州では、PHEVの環境性能について見直しの動きがある。理由は、近距離移動のための日々の充電を行わず、HVとして使い続ける利用者がいるためだ。その場合、HVとしての燃費性能は、一般的なHVに比べ悪化する。HVと比べ、PHEVはより容量の大きなバッテリーを車載し、また充電のための充電器も装備するため、車両重量がHVより重くなる。そのぶん、燃費は悪化して当然だ。
クルマへの期待としては、日々充電することにより近距離移動でモーター走行を主体とすることを前提にすれば、PHEVの環境性能はHVを上まわる。しかし、利用実態として、日々の充電を怠るようになれば、環境性能はかえって悪化する。利用実態から環境性能を評価するなら、PHEVはHV以下となりかねない。

モーター駆動による走行性能のよさ、つまり排気ゼロのみならず、加速のよさや静粛性の高さなどを実感できたとしても、PHEVは走るために充電と給油の両方をしなければならない。
これに対し、EVは充電のみ、HVは給油のみというように、利用者の利便性という視点では、PHEVはより手間のかかる車種といえる。
当面、中国の戦略として、EVとPHEVが重要な商品ではあるが、世界的にEVとPHEVの販売比率はEVが常に上まわっており、EVの販売比率や普及率がさらに高まれば、PHEVは重視されなくなっていくかもしれない。


















































