装備はあとから足せばいい
最近のEVは贅沢なまでに装備が充実しがちかと。やれ大画面の液晶モニターだの、やれ自動運転の支援システムだのと、これでもかとハイテク装備が詰め込まれがちではないでしょうか。そんな風潮に待ったをかけたかのようなメイクスが登場しました。アメリカのスタートアップ企業「スレート・オート」が発表したEVピックアップトラック、その名も「スレートトラック」。ベースは未完成で、オーダー時にほしい装備だけを選べるという画期的な販売方法がウケているようです。
だいたい、サイバートラックやID.Buzzにいたっては、いまや日本円で約900万円からという高嶺の花。便利で静かで速いのはいいものの、「もっと身近で道具としてガシガシ使い倒せるEVはないのか?」と、ため息をついているEV好きも少なくないかと。一方で、スレートトラックは実売で2万ドル台(約300万円)という、現在の北米のEV市場においては破格のプライスを掲げているのです。テスラにしてもごく初期のころは「サイバートラックを2万ドルでリリースしたい」とかなんとかいってましたよね。
この低価格の理由はいたってシンプルで、最初から「なにも付けない」から。たとえば、ベースはスチールホイールが基本であり、ペイントさえ「無塗装」が選べます。車内にしても、窓の開閉はパワーウインドウではなく、懐かしの「手まわしウインドウ」といった具合。インパネの中央にはスマホホルダーが装備されるのみで、ナビやオーディオ用の液晶モニターなど影も形もありません。エアコンの操作がカチカチまわすアナログノブというのもレトロであり、直感的な操作にうれしくなるというもの。徹底的な割り切りは、国内の商用車にも通じる潔さといったところでしょう。
とはいえ、「それはそれで味気ないでしょ」という方には100種におよぶ純正アクセサリーが用意されています。インテリアが寂しいとなれば、インパネのブランク部分にBluetoothスピーカーや追加メーター、あるいは専用タブレットがはめ込み可能。
また、荷台部分に専用のリヤシートやロールケージ, ベッドキャップを追加すれば、あっという間に「5人乗りのSUV」へとアップグレードできちゃいます。ちなみに、無塗装ボディにはDIYでラッピングしやすいようにあらかじめグリッド線が入れられており、好みの色やグラフィックのデカールを自分で貼ることだって可能。カスタム好きにはなんとも夢が広がる仕組みといえるのではないでしょうか。
肝心の基本性能にしても、出力201馬力の後輪駆動で、52.7kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約240〜385kmと、日常の足や仕事の道具としては十分な実力がもたされています。また、壊れたパーツがあれば、オンラインで解説動画を見ながらユーザー自身の手で修理・交換することも想定するなど、ユーザーに寄り添った姿勢は好感度マックス! さすがはアマゾンのジェフ・ベゾス氏が出資するだけあって、従来の自動車メーカーでは発想のおよばないサービス精神といえるでしょう。
2万ドルの「ベース」を手に入れ、自分のライフスタイルに合わせて「ガレージで育てていく」。かつてのクルマがもっていた純粋なワクワク感を、最先端のEVでやってのけたスレート・オートのセンスとシステムには頭が下がるというもの。
2026年内の生産開始を目指しているというスレートトラックですが、この「白紙のEV」が、退屈になりかけていたEVの世界をどう変えていくのか。日本への導入を望むのは、決してEVファンだけではないはずです。
































































