トヨタに立ち塞がる中国高級EVシフトの壁
レクサスが新型EVセダン「ES」を中国やアメリカで正式発表しました。そんな新型ESが、厳しい戦いを強いられるのではないかという最新動向を紹介します。
まず、現在レクサスが苦戦しているのが中国市場です。中国ではすでに新車販売に占める新エネルギー車の割合は60%程度に到達しており、各社がNEVシフト対応に迫られている状況です。ところが、BEVであるRZは月間数十台程度しか売れておらず、さらにNXとRXのPHEVバージョンもほぼ売れていない状況です。レクサスとしては中国NEV市場の開拓が目下の課題となっていたのです。
そしてレクサスが中国市場を筆頭とするグローバルに投入するのが、フルモデルチェンジバージョンとなる新型ESです。新型ESは、全長5140mm、全幅1920mm、全高1560mm、ホイールベース2950mmの中大型セダンセグメントに該当。旧型ESと比較しても全体的に大型化されています。
じつは新型ESが公開されてからというもの、とくにセダンとしてのプロポーションが、全高が高いことでバランスを欠いているのではないかという指摘が相次いでいます。おそらく最大の問題は、BEVとハイブリッド車というふたつのパワートレインに対応させなければならなかったという点でしょう。BEVの車両底面に搭載されるバッテリーパックによって高さ方向が嵩上げされてしまい、とくにセダンではバッテリーパックを相当薄型化しないと、セダンとしての最適なプロポーションを維持できないのです。
この表は、新型ESのEVバージョンの車両性能を示したものです。ESには350eのFWDグレードと500eのAWDグレードをラインアップ。航続距離はもっとも実用に近い米国EPA基準で、350eが494kmを確保しています。

そして、ESのハイブリッド車「300h」が30.88万元からの予約価格を設定してきており、おそらく慣例どおり行くと、実際の発売価格はやや値引きされ、29.99万元などからスタートするのではないかと推測できそうです。
ちなみに、すでに正式な値段が公開されているアメリカ市場で興味深いのが、ハイブリッド車の300hよりもEVである350eのほうが安いという点です。アメリカでは昨年からEV購入に対する税額控除が廃止されたことで、戦略的な値付けを強いられていることは間違いないものの、すでに中国やアメリカでは、内燃機関車とEVを同じ値段で購入することができるのです。

そして、今回の新型ESで懸念すべきは、競合のEVセダンとの比較という点です。この表は、中国国内で直接の競合となり得るシャオミSU7、BYD Denza Z9GTなどとのEV性能を比較したものです。ES 350eは新型SU7と似通ったバッテリー容量を搭載しているものの、SU7が電費性能で一歩リードしており、急速充電性能も800Vシステムを採用するSU7がリード。さらに動力性能は比較にならず、動力性能の高いSU7のほうが電費で優れるという、レクサスのパワトレまわりの効率性がシャオミに劣っている様子が見て取れます。
さらにBYD Denza Z9GTと比較すると、電池容量、航続距離、充電性能、動力性能、最小回転半径、ホイールベース比率の高さによる車内空間の最大化、フロントトランク、CDC付きデュアルチェンバーエアサスペンション、ハイエンドADASなど、車両性能と装備内容という点で、新型ESが全面的に劣ってしまっている様子すらうかがえるのです。

そのうえで、SU7は21.99万元、Z9GTも26.98万元から発売されているため、現在予想されている30万元以上ではとても勝負できないと感じます。やはり、新型ESのEVバージョンは大幅値下げを強いられるのではないかと、発売前の段階から推測できるわけなのです。














































