二次利用と資源循環を実現する仕組み
電気自動車でもっとも重要な部品である駆動用のリチウムイオンバッテリーに、デジタルパスポートを義務付ける動きがある。欧州では2027年から実施とのことだ。
バッテリーのデジタルパスポートとはいわば電池の身分証明で、これを備えることによって資源としてのリチウムイオンバッテリーの行方を確認できる。1セルごとにQRコードで認証を与えることを通じ、そのリチウムイオンバッテリーがどのように使われ、どのように劣化し、今どの状態にあるか、今どこに存在するかを確認できるようになる。
そもそもEVが量産市販された2010年前後から、車載のリチウムイオンバッテリーがどのような状態であるかを通信を利用して確認する仕組みが採り入れられていた。これを管理するのはEVを販売する自動車メーカーだ。EV1台1台の充放電状況から、そのEVがどのように使われているかが報告され、情報が蓄積されていく。
これによって、現実の市場でEVがどのような使われ方をしているか地域別にも特徴を把握でき、次の商品企画や開発の基になる。通信の活用は自動車メーカーの利点だけでなく、利用者も故障診断やOTA(オーバー・ジ・エア)による機能の刷新など、安心して気軽にEVを使い常に最新の仕様で利用できるようにもなる。
そのうえで、車載のリチウムイオンバッテリーでも情報通信機能を活用することで、資源としてのリチウムイオンバッテリーを無駄にせず使い切る取り組みが確実性をもち、産業を下支えする。
すでに何度も述べてきたと思うが、EVで使い終えたあとのリチウムイオンバッテリーは、まだ7割前後の容量を残している。なぜそうなるかというと、電気の利用とは多くがほぼ安定した一定電力量で使われることが多いのだが、一方EVは急な加減速の場面もあって瞬発力としての電力消費がある。そのためには、バッテリー容量に余裕がなければならない。その目安が7割前後の容量を残した状態ということだ。
この容量を切ると、加速力が衰えたり一充電走行距離がかなり短くなったりする。そのまま使い続けるにはバッテリー交換が必要になる。あるいは、廃車ということもあるかもしれない。廃車については、事故車としての廃車も可能性としてはある。
それらのリチウムイオンバッテリーを、そのまま資源リサイクルしたのではもったいない。そもそも、リチウムイオンバッテリーは製造段階で多くの電力消費があり、火力発電を前提にすると製造でCO2排出量が多くなる。そこで、素材リサイクルの前にバッテリー容量を使い切ることが、脱二酸化炭素の視点でも不可欠なのだ。


















































