電欠から復活するケースは意外にも多い
EVで電欠したら、下り坂なら回生で充電できる。逆にいえば、山の頂上のような標高の高い地域で満充電にすると、出かけるときに下り坂で回生が働かなくなる懸念がある。
もちろん、通常の摩擦ブレーキを使えば減速し、停止することはできる。だが、回生が働かないとは、エンジンブレーキのような効果が得られないということであり、摩擦ブレーキを何度も利用することで酷使し、そのまま使い続ければ高温になってフェードを起こして、摩擦ブレーキさえ利かなくなる懸念がある。したがって、高地で充電するときは、その先の下りを考慮して充電量を考えるとよい。
一般に、リチウムイオンバッテリーの寿命のためには80%程度の充電がよいとされるが、標高の高い土地での充電でもそこがひとつの目安になるかもしれない。ということで、電欠しても、坂を下ればEVは充電できる。
ちなみに、個人的な経験談だが、かなり充電が少なくなった状態で、神奈川県の箱根の山の頂上から湯本までを初代リーフで下ったことがある。それだけで充電が約80%まで回復し、それなら急速充電の必要がないと、湯本から都内へ無事に戻ることができたことがある。
ただ、ほかのクルマで牽引しながら回生を働かせ充電するという発想は、乱暴な対処法だろう。牽引は慣れないと追突の懸念がある。電欠だからといって交通事故を誘発しかねないやり方は避けるべきだ。
それとは別に、しばらく停止していると、少し電気が復活することもある。これは不思議なできごとだ。EVレースでもう電気がないと諦めようとしたとき、しばらくコース脇に止まり、念のため再度走らせてみようとしたら、ピットまでのろのろと動けた経験がある。
あるいは、初代リーフに乗っていた人が、いよいよ電欠し路肩に止めてロードサービスを頼もうとしたが、それを待つ間しばらく止まっていたら、少し電力が復活したとの経験談を聞いたこともある。
電欠したからと慌てる前に、しばらく停車してから再度試みる考えは捨てないほうがいいかもしれない。とはいっても、そうして復活した電力量はわずかなので、充電器までたどり着けるかどうか保証の限りではない。また、道端に停車することは必ずしも安全な場所とはいえない場合もあり、駐車場や空き地などを探して止まるべきだろう。



















































