EVの未来を変える可能性を秘めるテクノロジー
ポルシェは新型カイエンEVで、非接触式充電を実用化するとのことだ。現在、EVで行われているのは接触式充電で、充電口のコンセントにコネクターのプラグを差し込む。これは、200Vの普通充電も急速充電も、差込口の形状は異なるものの、どちらも接触式に変わりない。
非接触式充電とは、そのようにプラグとコンセントを直接接触させずに充電することをいう。スマートフォンでは、ダッシュボードなどの充電装備にすでに非接触式が用いられ、充電コードを使わなくても、所定の場所にスマートフォンを置くだけで充電できる。
EVの非接触式充電も基本的には同じだ。送電側となる充電器の端末付近にEVを駐車することで、充電側となるEVの受け口が近づけば、自動的に充電をはじめる。コネクターとコンセントの金属部が直接接触しないため、短絡(ショート)の懸念がない。送電側と充電の受け側の間の隙間をもし猫が通り抜けたとしても、何らさしつかえないとも表現される。当然、人間も感電の心配がなくなる。
非接触充電の市場導入はポルシェのカイエンが最初となりそうだが、それが業界初というわけではない。1990年代に米国のゼネラルモーターズが試作したインパクトと、その量産型のEV1は、方式としては非接触式の充電を行っていた。この事例は、現在の接触式充電のEVのように送電側のケーブルの先を充電側の車両の受け口に差し込む操作は行うが、コネクターとコンセントの金属が接触することはなく双方の間には隙間が空いており、非接触式の充電となっていた。このため、送電側と受け側の隙間に手を差し込んでも感電しない。
また、日産自動車は初代リーフ発売後に非接触充電の研究を行っていた。そもそも、どの自動車メーカーもEVを開発するとなったら、一度は非接触充電の研究をしているのではないか。
しかし今日まで、初代リーフの発売から15年が過ぎてなお非接触式充電が実用化されたり普及したりしてこなかったのは、電磁波の影響が周辺に及ぶ懸念があるためだ。非接触充電は、送電側と受け側のコイルに生じる電磁誘導を利用して電力を送り届け受け取る仕組みだ。仕組みは簡単だが、実用化が進まなかった背景にあるのは周辺環境への影響の懸念だ。






















































