「アウディQ8 e-tron」は走りもプレミアムだった!
“Qファミリー”と呼ばれるアウディのSUVのフラッグシップモデルである「Q8 e-tron」は、期待したとおり、走りもプレミアムだった。
■アダプティブエアサスペンションを標準装着
「アウディQ8 e-tron」には、エアサスペンションと可変ダンピングシステムを採用する“アダプティブエアサスペンション”が全グレードに標準装着されている。これが、快適な乗り心地と安定感ある走りを見事に両立している。
全高の高いSUVスタイルでありながら、ボディの床下部分に重量物の駆動用バッテリーを搭載することで低重心を実現するQ8 e-tronは、アダプティブエアサスペンションの効果もあり、乗り心地はとてもマイルドで落ち着いており、高速走行時のフラット感も抜群。SUVに特有の縦揺れや横揺れもしっかりと抑え込まれていて、走り出してしばらくすると背の高いクルマを運転していることを忘れてしまうほどだ。2,610kgという車両重量にもかかわらず、身のこなしは想像以上に軽快で、Qファミリーのなかでは一二を争うハンドリング性能の持ち主といえる。一方、高速走行時の直進安定性はきわめて高く、静粛性も高いことから、ロングドライブにも適している。
ただし、カタログを見ると、このQ8スポーツバック 55 e-tron クワトロ Sラインの電費はWLTCモードで239Wh/km、高速道路モードで246Wh/km。1kWhの走行距離に換算すると、前者が4.2km/kWh、後者が4.1km/kWhとあまり芳しくない。今回は報道試乗会という限られた時間だったので、リアルな電費をチェックできなかったが、そう大きくは変わらないはずだ。
■急速充電が楽に
それでも、マイナーチェンジを機に、バッテリー容量が95kWから114kWに増やされ、また、急速充電性能が50kWから150kWに向上したことで、従来の「アウディe-tron」に比べるとロングドライブ時に途中の充電頻度が減らせるはずだ。アウディやポルシェディーラーで設置が進む150kW急速充電器を存分に活用できるのもうれしいところだ。
ところで、このQ8 e-tronでは、走行中にアクセルペダルを緩めたときに動作する回生ブレーキを、好みの設定で利用することができる。センタークラスターの上側にあるタッチパネルから“エフィシェンシーアシスト”の設定画面を呼び出すと、“自動”と“マニュアル”のふたつが選択可能だ。自動なら、先行車との距離にあわせて自動的に回生ブレーキの強さを調整してくれるのが便利。ただし、先行車がいない場合はアクセルペダルから足を離しても回生ブレーキが働かないので注意が必要だ。
一方、マニュアルでは、回生ブレーキの強さをパドルで設定することが可能になり、先行車の有無にかかわらず回生ブレーキを働かせることも可能。実は自動でもパドル操作で回生ブレーキの強さを一時的に変更できるのだが、すぐに元の設定に戻ってしまうので、運転に慣れてきたらマニュアルを選んだほうが扱いやすいかもしれない。
短時間の試乗でも、Qファミリーのフラッグシップモデルにふさわしい完成度の高さを見せてくれたQ8 e-tronは、e-tronシリーズのなかで、もっともアウディらしいモデルといえるだろう。














































