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トヨタの「FCEVキッチンカー」、再生可能エネルギーの研究開発と社会実装が進む福島県で展開!


TEXT:桃田 健史
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再生可能エネルギーに関して革新的な研究開発と、それに伴う社会実証と社会実装に積極的な福島県で、トヨタがFCEV(燃料電池車)を活用した様々な試みを行っている。その中で地元観光業者と連携した「キッチンカー」を使うプロジェクトに注目したい。

福島で展示の燃料電池キッチンカーとは?

福島県は2011年3月の東日本大震災と福島第一原発での事故が発生した後、県内におけるエネルギー需給に関して再生可能エネルギーを積極的に導入する施策を行ってきた。
その一環として、地元ふくしまの事業者や、国内外の再生可能エネルギー関連事業者が一堂に介する場として、また国内外に向けて福島発の再生可能エネルギーに係わる情報発進の場として「ふくしま再生可能エネルギー産業フェア」を開催している。

その現場を取材したところ、展示会場にトヨタ製FCEV(燃料電池車)のキッチンカーの展示があった。
出展者は、地元の交通事業者である郡山観光交通株式会社だ。

車両は、オーストラリア仕様のトヨタ「ハイエース」がベース。
車両の寸法は、全長5910mmx全幅1950mmx全高2600mmで車両総重量は3390kg。
車両の仕組みは、車体前部にFC(燃料電池)スタックと昇圧コンバータがあり、その少し後ろにモーター、駆動用バッテリーと縦方向に搭載される。
駆動力はプロペラシャフトで車体後部に伝わり、デファレンシャルギアを介して後輪を動かくFR車である。

本格的な厨房設備を装備

V2Lで給電する様子。筆者撮影

FCEVキッチンカー、斜め後部から見た様子。筆者撮影

FCEVキッチンカーの内部。筆者撮影

 

展示では、ホンダ製の可搬型外部給電機器を車体前部のコネクター部分に装着してV2Lを行っていた。
これは車両から直流入力を行い、そこから交流(100V/200V)で出力して車内の調理機器の電力として活用している。
調理器具としては、IHクッキングヒーター、スチームコンベクションオーブン、コールドテーブル冷蔵庫、換気扇、容量80Lの排水タンク、同量の上水タンク、そして電気温水器などあり、本格的な料理を作ることができる装備内容となっている。

郡山観光交通では、同車をつかった「Magonote travel」という商品を立案。
キャッチフレーズは「水素で、もっと楽しもう!」。
「水素×学び」では、地域の子どもたちのあめの探求学習の素材として出張講習を実施。
やアウトドアシーンでの活用を模索。そして「水素×防災」としての利活用について、常に準備をしているという。

FH2Rで製造した水素を活用

こうした福島県でのトヨタの試みが本格化したのは、2020年3月に福島県浪江町で完成した、再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」(福島水素エネルギー研究フィールド)が大きなきっかけだ。
トヨタの豊田章男(現会長)がFH2Rを視察し、福島県の内堀雅雄知事と意見交換したことが大きなキッカケとなり、トヨタは2021年6月に「福島県での水素を活用した新たな未来のまちづくりに向けた検討を開始」という発表を行っている。
この試みではFH2Rで造られた水素を活用して、FCキッチンカーやドクターカー等の運用や、福島県内の店舗や工場で活用し、カーボンニュートラルな社会を目指すものだ。

今回のイベントでは、福島県内で活用されている小型FCトラックの展示もあった。

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