#BYD
TEXT:小川フミオ
「電座D9」は、アルファードとヴェルファイアの牙城を崩せるのか?

BYDの「電座D9」は、トヨタ・アルファードを、そうとう意識しているようだ。ラグジュアリーミニバン市場に、中国から打って出たモデルの実力を、小川フミオが探っていく。 BYDのラグジュアリー系ブランド「Denza」 BYDが「電座D9」を日本で公開した。全長5.25メートルの電動ミニバンで、アルファード/ヴェルファイアに匹敵する豪華な装備も特徴だ。 2023年10月26日にはじまったジャパンモビリティショーでBYDのブースに置かれ、注目を集めている。とくに、私が目撃したかぎりだが、日本メーカーのひとたちが、細部に至るまで熱心にチェックしていた。 なにしろ、2022年夏に本国で発売され、以来、毎月コンスタントに1万台を販売しているという人気ぶり。豪華ミニバンは、どこの国でも需要が多いのだろう。 私はひと足先に深圳で試乗する機会があった。乗ったのは、プラグインハイブリッドと、BEV(バッテリー駆動のピュアEV)の2車種。よく走るし、作りもよい。こりゃ、売れるわけだと思わせる内容なのだ。 「Denza」(欧文表記)は、ラグジュアリー系の電動車を専門とするブランドとして、BYDとメルセデス・ベンツとのジョイントベンチャーで始まった。 D9は、アルファードより110ミリ長い3,110ミリのホイールベースに、255ミリ長い5,250ミリの車体を載せる。3列シートの6人乗りで、かつ2列めシートは大きなリクライニング機構を持つ仕様など、日本の競合を強く意識したような内容だ。 グリルの意匠が、BEVのD9  EVと、PHEVのDM-iとでは差異化がはかられている。ショーで展示されたのは前者だ。 BEVは流れるような縦バーが強調されているいっぽう、PHEVはブロックパターン。日本にいると、縦橫比率が似通ったミニバンスタイルだし、後席用はスライドドアだしで、アルファード/ヴェルファイアとの近似性を指摘してしたくなるけれど、ボディ面は歪みもなく、ぱんと張ったような緊張感があり、質感の高い仕上がりだ。 電座は、ボンネットの長さが強調されたデザインで、プロファイル(サイドビュー)を見たときに、ボンネットだけ足したような独特のスタイルと感じられる。トヨタのほうが、マッス(かたまり)感が強い。違いはあるのだ。 アルファードとヴェルファイアを意識して 2010年に先述の2社で覚え書が交わされたジョイントベンチャーだけに、次期Vクラス、とりわけ中国市場向けは、電座で作られるのかと思ったけれど(個人的に)、じっさいは、メルセデス・ベンツは徐々に持ち株比率を下げて、いまでは10パーセントしか所有していないそうだ。 いっぽう、2022年に本国で発表されたD9を見ると、フロントグリルをはじめ、曲面を多用した細部の処理と、クロームによる装飾は、中国市場でも人気というアルファード/ヴェルファイアが競合とみてもおかしくない。 独自性は、デジタライゼーションにある(トヨタもかなりがんばっているけれど)。運転席前には10.25インチ、ダッシュボード中央には15.6インチの巨大なスクリーンがそなわる。 アルファードでトヨタが先鞭をつけたラグジュアリーミニバン。その系譜は、こうして中国にも種がまかれ、成長しているのである。   DENZA D9 600 4W フラッグシップモデル(中国仕様値) 全長:5,250mm 全幅:1,960mm 全高:1,920mm ホイールベース:3,110mm 乗車定員:7名 一充電走行距離:600km(CLTC) フロントモーター最高出力:230kW(313ps) フロントモーター最大トルク:360Nm(36.7kgm) リアモーター最高出力:45kW(61ps) リアモーター最大トルク:110Nm(11.2kgm) モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD(全輪駆動) フロントサスペンション:マクファーソンストラット リアサスペンション:マルチリンク 最小回転半径:5.95m 荷室容量:410-570L、最大2310L <Vol.2へ続く>

TAG: #BYD #Denza #電座
TEXT:小川 フミオ
BYDは日本のEV市場を本気で取りにいく。独自の開発手法で世界トップも狙う!

前回に続き、BYDジャパン劉社長のインタビューをお届けする。SUVの「ATTO3」、コンパクトな「ドルフィン」、セダンの「シール」と矢継ぎ早に新型車を導入することにはどんな意図があるのだろうか。 3車種展開は本気度の証し BYDが2024年に日本発売予定とするBEVセダン「シール」。いかなる戦略のもとにシールの導入は決定されたのか。 BYDジャパンの社長であり、同グループでアジアパシフィックのオペレーションを統括するゼネラルマネージャーを務める劉学亮(Liu Xueliang)氏へのインタビューを通して、その戦略を明らかにする。 BYDオートジャパンでは、2023年1月の「ATTO3」、9月の「ドルフィン」と日本に導入。シールは当初23年内と言われていたが、24年に延期。それでもおよそ1年の間に3車種を発売だ。 「車種を増やしている理由は、さき(インタビュー第1回)にも言ったように、多様な嗜好をもつユーザーへの対応。1車種とか2車種じゃ、追いつきません。開発はそれを見込んでやっているので、技術もデザインも、バリエーションに対応しているのです」 多様性とは何を意味するのか。 「価格、サイズ、デザイン、仕様……すべてが含まれます。中国で初めてクルマを買う層はわりと若いんです。彼らの嗜好性は、とりわけ多様であり、どんどん変わっていくので、多品種展開で対応していく必要があります」 日本の市場でもクロスオーバー型のATTO3とドルフィンに加えて、クーペライクでスタイリッシュなセダン、シールと、広いラインナップをいきなり展開することになる。 「日本で、3車種、そしてその先にさらなる新型車も考えている理由は、本気度を見せたいからです。1車種を探り針のように市場に投入して、短期間で成功の可能性の結論を出して、よくなければ撤退、なんてことをしません、という意思表示です」

TAG: #BYD #シール
TEXT:小川 フミオ
BYDの競争を勝ち抜く「スピード」とは?日本勢はこの早さをキャッチアップできるか!?

世界の電気自動車販売台数でテスラと1、2を争うBYDは、クルマの開発をどのように進めているのか。BYD「シール」の試乗会場で小川フミオ氏が、BYDジャパンの劉社長に迫る。 大量生産、長期間販売は時代遅れ BYDが2024年に日本発売予定とするBEV(バッテリー電気自動車)セダン「シール」。いかなる戦略のもとにシールは開発されたのか。 BYDジャパンの社長であり、ゼネラルマネージャーとしてアジアパシフィックを統括する立場にある劉学亮(Liu Xueliang)氏に、珠海でインタビューするチャンスがあった。 日本では、2023年1月の「ATTO3」を皮切りに、9月に「ドルフィン」を販売しているBYD。電気自動車のシェアではグローバルでトップクラスだ。 そのおもしろさは、ひとことで言うと、伝統ある自動車メーカーではないこと。つけ加えるなら、伝統にしばられないモノ作りの発想をする点は注目に値する。 「私たちは、2010年に(金型メーカー)オギハラの館林工場を買収して子会社化しました。それだけでなく、ここのひとたちを(BYDが本社を置く深圳に)連れていき、モノ作りの考え方を知ってもらいました」 それはなにか、ということについて、劉GMの説明が興味ぶかい。 「BYDで車体の金型を開発するというとき、期間は1年なんです。そりゃあ、既存の会社はびっくりしますよ。いままでは18カ月とか20カ月かけていたんですから。なぜ短縮するか。いまの世のなか、大量生産して、長い期間販売するなんて車種は存在しないと私たちは考えているからです」

TAG: #BYD #シール
TEXT:小川 フミオ
来年の日本発表が待ち遠しい!BYDのEVセダン「シール」をサーキットで乗る!

サーキットで行われた中国・BYDのミドルクラス・セダン「シール」の試乗会に参加した小川フミオ氏。いよいよコースに繰り出す。 BYDは走行性能に大きな自信 私が珠海サーキットで乗れた「BYDシール」は、もっともハイパフォーマンスのAWD。ほかに、後輪駆動版と、まだショーでお目見えしたばかりのプラグインハイブリッドがある。 サーキットを試乗の場所に選んだのは、いくつか理由があるはずだ。ひとつは、中国では特別の許可がないかぎり、外国人が公道で運転することはできない。 もうひとつは、シールの走行性能に、BYDが大きな自信を持っていることだ。私の試乗の前日は台風14号の影響で大雨。このときの参加者は時速80キロが上限とされたと聞いた。 私のときは、幸いなことに曇天で、制限速度はなし。たっぷりと楽しめた。 トータルで最高出力390kW(530ps)、最大トルク670Nmの全輪駆動システムは、2,185kgの車重をものともしない。アクセルペダルを強く踏み込むと、間髪入れずにドンッというかんじで加速に移る。 加速していくときの雰囲気は、私が好きなかんじで、上では「ドンッというかんじ」と表現したものの、ゆっくり踏み込んでいくと、トルクが積み増していくフィーリングが気持よい。 アクセルペダルを緩めたときの減速は、(まだクオリティが揃っていないとのことで)乗った車両によって多少のバラつきがあった。いい車両は、少し緩めると反応よく少し減速するのがわかる。 回生ブレーキの調整のせいか、ごくわずかの加減速でも、車体がピッチングする車両もあった。私のとなりには中国人のインストラクターが乗っていたので、そのひとの頭が前後に揺れるのが、申し訳ない気分になった。

TAG: #BYD #シール
TEXT:小川 フミオ
美しい形、質感も文句なし! BYD「シール」はEVセダンとしてヒットできるか!?

前回「シール」の構成や仕様を確認した小川フミオ氏は、同車の内外装デザインに注目する。どんな印象を持ったのだろうか。 美しいプロポーションを選択 BYDのスポーティセダン「シール」は、同社の「海洋デザイン(Marine Aesthetic Design)」に連なるモデル。 「シーガル(カモメ)」や、日本で既発の「ドルフィン(イルカ)」と並んでアザラシを車名としている。 デザイン的には、「X」と呼ばれるデザインモチーフがフロントマスクに採用されている。ヘッドランプ下のLEDによるシグネチャーランプの意匠が、そのように見えるからだろう。 LEDによるドットライトを採用しているのはリアコンビネーションランプも同様。遠目からではわかりにくいものの、近寄ると、ラインとドットのコンビネーションが質感を生んでいるのがわかる。 サイドウインドウの輪郭は、弧を描いているが、じっさいはリアクオーターに明かり採りをもたない、いわゆる4ライト。つまり欧州の”お約束”ではドライバーズカーを意味している。 4ライトにこだわるのは、BMWやメルセデス・ベンツ。レクサスも同様で、「LS」をはじめ「ES」や「IS」と、同ブランドのセダンはみなドライバーズカーであることが主張されているのだ。 プロポーションは、奇をてらっていない。Aピラーの位置も、ことさら前のほうに移されていないし、リアクォーターパネルは、後輪の上に位置している。 BEV(バッテリー電気自動車)だから変わっているべき、という時期はとうに卒業して、100年を超える自動車の歴史のなかで、みなが美しいと思うプロポーションに忠実であることを選んだのだろう。 じっさい、BYDのヘッドオブデザインを務めるウォルフガング・エッガー氏が、過去のICE(エンジン車)で確立した美を継続する、と語っているのをミュンヘンのIAAモビリティのリポートで読んだこともある。

TAG: #BYD #シール
TEXT:小川 フミオ
日本デビュー目前のBYD「シール」に試乗!テスラ「モデル3」のガチンコライバル!

BYD「シール」は全長4,800mm、全幅1,875mm、全高1,460mmとテスラ「モデル3」に合わせたかのような大きさだ。一体どんなクルマに仕上がっているのだろうか。メディア向けの試乗会に参加した小川フミオ氏のレポートをお届けする。 デザインはドイツ流 BYDの最新セダン「シール」が日本上陸を控えている。2023年1月の「ATTO3(アット3)」、9月の「ドルフィン」に続く、第3弾の「シール」は余裕あるサイズのEVセダンだ。 ひと足お先に、私は、最新モデル「シール」に、試乗するチャンスを得た。予想以上にスポーティなモデルだった。 ツインモーターの全輪駆動(AWD)、シングルモーターの後輪駆動、それにプラグインハイブリッドと、駆動系は多様。とくに全輪駆動版は静止から時速100km/hまでを3.8秒で加速するパワーを誇る。 ファストバックのボディスタイルは、元アウディのウォルフガング・エッガー氏がひきいる社内のデザインチームが手がけ、内装は、メルセデス・ベンツ出身のミケーレ・ヤウク=パガネッティ氏が担当。 私は、390kWの最高出力と、670Nmの最大トルクを発揮するAWD版に、「珠州サーキット Zhugai  International Circuit」で試乗した。 なぜサーキットか。このとき、BYDが掲げたスローガンは「Innovation Meets Accelaration」。イノベーションとは既存の発明を使いながらの技術革新のことで、それを活用して性能を加速させていく、といった意味だろうか。 じっさいに、先述のとおり、シールは加速度がセリングポイントのひとつ。2トンを超える車重とは信じられないぐらいのダッシュ力だ(後輪駆動でも静止から100km/hまでの加速タイムは5.9秒と短い)。 満充電での走行距離は、AWDが520km、後輪駆動が570km。充電時の車両がわの受け入れ量は150kWと高い。150kWのチャージャーを使えば、10パーセントからはじまり80パーセント充電までにかかる時間は37分とされている。 AWDモデルも、後輪駆動モデルも、リアに搭載するモーターは永久磁石。前者は加えて、永久磁石式の同期モーターを使う。これに、82.5kWhと、余裕ある容量の駆動用バッテリーが組み合わされている。

TAG: #BYD #シール
TEXT:田中 誠司
自動車部品&輸入販売の超・老舗とBYDがコラボ、東京・品川に新ディーラーをオープン

BYDオートジャパンが新ショールーム「BYD AUTO 東京品川」を東京・品川駅港南口から徒歩10分の旧海岸通り沿いにオープンし、10月2日、報道陣及び関係者に公開した。営業開始は9月20日。現在は「アット3」「ドルフィン」をラインアップするBYD車の試乗・販売および、日常的なメンテナンスを手掛ける。 歴史ある商社が品川のディーラーを担当 同ショールームの経営にあたるのは、自動車部品商社として90年の長い歴史を誇る明治産業株式会社および、その子会社である明治モータース株式会社だ。かつてはインポーター(輸入総代理店)としてシンガー、アルヴィス、ロイヤルエンフィールド(二輪車)などを手掛けていた。現在はポルシェセンター高輪があり、少し前はBMW TOKYO高輪ショールームだった場所において、日野ルノーの販売にも携わっていたといえば、東京の自動車史との深いかかわりを理解してもらえるだろうか。 明治産業はしばらくは車両の輸入から遠ざかっていたが、ブレーキ、エンジン、サスペンション関連をはじめ幅広い守備範囲で部品の輸出入を手掛け、年商は400億円超を誇るほか、2018年からは新生アルヴィスの輸入代理店も担う。 BYDとの縁は、同社の日本乗用車市場参入に際して、アフターセールスのプロフェッショナルとして全国のディーラーに対する技術指導を任せられたことだった。部品商社として培ったノウハウを活かして販売スタッフ、整備スタッフにEVの実車を使った独特な研修を2022年9月から実施し、BYDの乗用車部門であるBYD AUTO JAPANの「2025年までに全国にディーラー100社を展開する」という目標をサポートしている。

TAG: #BYD #ディーラー #東京
TEXT:烏山 大輔
BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能

BYD Auto Japanは9月20日、日本で販売する2番目のモデルであるBEV(バッテリー電気自動車)「ドルフィン」の価格を発表し、発売も開始した。 300万円台のスターティングプライスを実現 価格は航続距離(WLTC)400kmの「ドルフィン」が363万円、同476kmの「ドルフィン・ロングレンジ」(以下、ロングレンジ)が407万円だ。 65万円の国からの補助金を活用することにより、ドルフィンは298万円、ロングレンジは342万円で購入可能だ。 ボディサイズは全長4,290mm、全幅1,770mm、全高1,550mmで、多くの機械式駐車場に入庫可能なサイズとした。 ドルフィンとロングレンジの駆動方式は、ともにフロントにモーターを搭載したFWDのみ。 ドルフィンとロングレンジの外観での違いは、ボディカラーがドルフィンのワントーンに対して、ロングレンジはボンネット、ピラー、ルーフがブラックやグレーのツートーンに塗り分けられていることだ。   ベースバージョンでも400kmの航続距離と充実した装備 ドルフィンとロングレンジの主な差は下記のとおり。 バッテリー総電力量 ドルフィン:44.9kWh、ロングレンジ:58.56kWh 急速充電性能(CHAdeMO) ドルフィン:65kW、ロングレンジ:85kW 一充電走行距離(WLTC) ドルフィン:400km、ロングレンジ:476km モーター出力 ドルフィン:70kW(95ps)/180Nm(18.4kgm)、ロングレンジ:150kW(204ps)/310Nm(31.6kgm) リヤサスペンション ドルフィン:トーションビーム、ロングレンジ:マルチリンク ロングレンジにあってドルフィンにない主な装備は、スマホワイヤレス充電、パノラミックガラスルーフだ。 安全・運転支援システムは、ドルフィンとロングレンジともにアダプティブ・クルーズ・コントロール、自動緊急ブレーキ、エレクトロニックスタビリティーコントロール、幼児置き去り検知システムなど全45装備ととても充実している。 日本以外では1,570mmの全高を、ルーフのアンテナを調整することで1,550mmとしたり、右ウインカーと日本語音声認識への対応、日本向けにペダル踏み間違い時加速抑制装置を独自開発するなど、BYD本社とBYD Auto Japanがドルフィンにかける大きな期待が感じられる。 現在日本で購入でき、軽自動車を除くBEVで最も低価格だったのは、「日産リーフ」(408.1万円、40kWhバッテリー、航続距離322km)だった。今回のドルフィンの価格は、リーフよりもリーズナブルで、軽自動車BEVとの隙間を埋めるものだ。 BYDが「コンパクトEVの決定版」と謳うドルフィンは、「日産サクラ」や「三菱ekクロスEV」のように大ヒットするだろうか。今後のBYDからのニュースに注目したい。 試乗記はこちらをご覧ください。   BYDドルフィン 全長:4,290mm 全幅:1,770mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,520kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:129Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:400km(WLTCモード) 最高出力:70kW(95ps)/3,714-14,000rpm 最大トルク:180Nm(18.4kgm)/0-3,714rpm バッテリー総電力量:44.9kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1段固定 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソンストラット リアサスペンション:トーションビーム フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ソリッドディスク タイヤサイズ:前後205/55R16 最小回転半径:5.2m 車両本体価格:363万円   BYDドルフィン・ロングレンジ […]

TAG: #BYD #コンパクトカー #ドルフィン
BYDドルフィンのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
新型BYD「ドルフィン」の商品力に見る凄み。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗

BYDのエントリーモデル、ドルフィンがいよいよ日本で発売される。フォルクスワーゲン ゴルフに近いサイズ感のコンパクトEVだが、充実した装備や乗り心地、空間の巧みな使い方には高い商品力が感じられる。果たして、ドルフィンはEVのコンパクトハッチ界を掻き回すキープレイヤーとなれるのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオが解説する。 兄貴分に負けないドライバビリティ BYDは、2022年にワールドワイドで約180万台のBEVを販売。2021年は60万4000台だったのに対して、ものすごい、とつけたくなる飛躍的な数字だ。 実際、2023年9月のドイツ・ミュンヘンの「IAAモビリティ」自動車ショーでも、大きなブース面積を専有。さらに、アウトバーンのチャージャーの前にいると、BYDモデルでやってくるドイツ人ドライバーたちにも出会った。 欧州人は実務的なひとも多く、バリューフォーマネーだから選んでいるのか。と、知らなかったら、私は思っていたかもしれない。 実際は、ドルフィンに乗ると、たいへんよく出来ているのに感心するほどだ。 ATTO 3も、ドライバビリティが高いクルマで、動力性能と操縦性がともにいい感じのレベルに達していた印象だが、ひとつ下のドルフィンも負けていないと思う。 BEVの多くにみられるように、重量物を床下に搭載しているので、重心髙が低く、ハンドルを動かしたときの車体の追従性はよく、カーブを曲がるときも安定している。 310Nmのトルクがアクセルペダルと踏み込むとすぐに出るため、加速の“つき”がよくって、さっと曲がるし、さっと加速するので、ドライブしている自分との一体感がある。 といっても、足まわりの設定は硬いいっぽうでない。ふわりふわりといえばいいのか、路面への追従性は高いうえに、凹凸は丁寧に吸収。高速道路でもしなやかに感じられて、気分がよい。 ゴルフクラスのハッチバックで、比較的コンパクトだけれど、乗り心地のよさは印象的だ。車重は1680kgと軽くないが、重さを活かして、重厚な雰囲気すらあるのだ。設定がうまい。 加速はがんっと車両が飛び出していくような暴力性は抑えられていて、最新のBEVらしく、うまくしつけてある。つまり、ICE(エンジン車)から乗り換えても、違和感はおそらくまったくないだろう。 ADAS類は積極的に全車へ搭載 装備の豊かさも、ドルフィンの大きな魅力になるだろう。安全および運転支援システムの充実ぶりにもぬかりはない。 アダプティブクルーズコントロール、レーンキープ、レーンサポート、車線変更アシスト、ブレーキの効き具合を設定できるコンフォートブレーキ、前後のクロストラフィックアラートおよびブレーキ、交通標識認識システムなどが標準装備。 加えて、感心したのは、ミリ波レーダーを使った幼児置き去り検知システム(ライトの点滅とホーンによる警報)や、ドアを開けるとき自転車や歩行者を検知して警告するドアオープン警報も標準で搭載されること。 ドアオープン警報は、車内から外に出るときばかりか、車外から乗りこもうとドアを開けるときも作動する。事故自動緊急通報装置も装備される。 ロングレンジモデルと標準モデルで、安全装備に差をつけていないのも褒めるべきところ。 ちなみに、フロントクロストラフィックアラートとクロストラフィックブレーキ、ドライバー注意喚起機能、幼児置き去り検知システム、ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、ATTO 3には搭載されていない。 日常的に使っていて、かなり頼れちゃいそうだ。むしろ頼りすぎた結果、同等の装備レベルにないクルマだと乗る気がおきなくなってしまうかもしれない。そこまで感じさせる。 価格は、2023年9月20日に明らかにされる。かなり競争力のある価格設定になると聞く。 BYD DOLPHIN Long Range 全長:4,290mm 全幅:1,770mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,680kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:138Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:476km(WLTCモード) 最高出力:150kW(204ps)/5,000-9,000rpm 最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,433rpm バッテリー総電力量:58.56kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1速固定式 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク リアブレーキ:ソリッド・ディスク タイヤサイズ:前後 205/55R16 最小回転半径:5.2 荷室容量:345-1,310

TAG: #BYD #コンパクトカー #ドルフィン
BYDドルフィンのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
BYD「ドルフィン」で感心した3つのポイントとは。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗

日本への本格進出をスタートしたBYDが、「ATTO 3」に続いて導入するのがコンパクトEVの「ドルフィン」。エントリーモデルとなるハッチバックモデルには、電気自動車ならではの魅力と、BYDらしい独創性が見られるようだ。プロトタイプに国内試乗する機会を得た自動車ジャーナリスト・小川フミオが、感心させられたポイントを解説する。前回記事はこちら。価格に関する記事はこちら。 期待以上に広い室内空間 BYDが2023年9月20日に日本へ導入するドルフィン。車名はイルカだけれど、クロスオーバーのボディスタイルに、あまり関連はなさそう。 でも、インテリアでは“海”のモチーフが何ヵ所も、とBYD。内側のドアオープナーハンドルはイルカのヒレとか、ダッシュボード両端のエアアウトレットは“青海波”のような形状。 外観は開口部こそないけれど、ブラックアウトしたパネルがヘッドランプのあいだに設けられていることもあり、知らなければBEVとはわからないかも。 車体側面のリアフェンダーにかけての三角を橫にしたようなふくらみが独特で、これをおぼえていると、街中で見かけたときすぐ、ドルフィンだと気づくだろう。 Aピラーの付け根が前のほうに出ているのは、エンジンなどのマスをもたないと、ファイアウォールを前へ出せるため。その結果の、BEVならではのデザインだ。フォルクスワーゲンのID.シリーズとも通じる。 室内スペースは期待以上に広い。2,700mmのロングホイールベースで、しかも床面はフラット。後席にいても、かなりくつろげる。コンパクトな外寸ながら、4人で楽に使える利便性をもつ。 内装品質が高く、装備も充実 じつは、運転席で、もうひとつ印象深いことがある。作りの品質だ。合成樹脂の部品の品質感が高い。さらに、内装色に3つのバリエーションがあるのだが、小さなパーツまでカラーキー(色合わせ)されているのだ。 なかでも「コーラルピンク」というキラキラした薄いピンク色の車体色をもつ車両は、ピンク基調の内装色。シートは紫がかったピンクと、オフホワイトの組合せ。スイッチ類は少し黄味がかったシルバーだ。ブラックの内装だとここはブラック。 この徹底ぶりには感心。内装は、コストを反映する部分で、日本車だと特にこのところ、ちょっと手を抜いてるかなーと思うケースもあった。それがこのコンパクトなハッチバックで、というのに私は感心したのだ。 しかもというべきか、よくわからないけれど、シート材質は「ビーガンレザー」。ビーガン内装とは最近欧米で使われる用語で、意味するところは、本当の動物の皮革の不使用。 疑似レザーのほうがコストが高い場合もあって、メーカーによってはビーガン内装だと、プラスアルファのオプション料金を支払う必要がある。ちゃんとトレンドも押さえているのだ。 前席左右は電動調節式。シートヒーターもついている。エアコンのフィルターはPM2.5対応と、まるでたとえばボルボ車の解説を書いているような気になる装備の充実ぶりではないか。 ダッシュボード中央の12.8インチの液晶モニターは、ふだんは橫でも、スイッチで90度回転させればiPadのように縦で使える。ATTO 3でも導入されていた装備だ。小細工だということも出来るけれど、ユーザーはこういうところもなんとなく嬉しいだろう。 もし自分がドルフィンを買うときはどんな仕様にするだろう……と考えると、たしかにブラックとかブルーは無難だけれど、ピンクっていっそのこといいかもしれない、と思ったりする。 Vol. 3へ続く BYD DOLPHIN Long Range 全長:4,290mm 全幅:1,770mm 全高:1,550mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,680kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:138Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:476km(WLTCモード) 最高出力:150kW(204ps)/5,000-9,000rpm 最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4,433rpm バッテリー総電力量:58.56kWh モーター数:前1基 トランスミッション:1速固定式 駆動方式:FWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ベンチレーテッド・ディスク リアブレーキ:ソリッドディスク タイヤサイズ:前後 205/55R16 最小回転半径:5.2m 荷室容量:345-1,310L

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