#中国市場
TEXT:高橋 優
EVがますます加速する中国市場! ただし「人気車」はかなりの変化アリ

順調にNEV車が伸びている中国市場 中国市場における最新の2025年8月のEV販売動向の詳細が判明しました。EV先進国中国のEVシフトの現状を、人気車種の売れ行きや注目の新型EVの展望を含めて解説します。 まず、中国市場における8月のBEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は110.1万台と、前年同月比+7.5%の販売増加を記録しました。また、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は55.14%と史上最高のシェア率を更新しました。すでに過半数が新エネルギー車に置きかわっている状況です。 次に、その新エネルギー車のなかでもBEVとPHEV、EREVそれぞれの販売割合を確認しましょう。2022年8月時点での新エネルギー車全体に占めるBEVのシェア率は75%と、BEVが圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2025年8月単体では62.36%とBEVシェア率が減少している状況です。とはいえ、2024年8月の57.23%と比較すると、むしろNEV全体に占めるBEVの割合は増加傾向にあります。 8月単体のPHEVとEREVの販売台数は41.4万台だったものの、これは前年比でマイナス成長です。このPHEV販売の減速というトレンドは、ごく短期的な中国市場の動向を見極める上で重要な視点でしょう。 さらに、BEVに絞った販売シェア率は34.39%と、史上最高のシェア率を更新しました。いずれにしても中国市場はEVシフト減速と無縁の世界線である様子が見て取れます。 それでは人気車種動向を確認しましょう。 はじめに、8月単体の内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30では、新エネルギー車が15車種ランクイン。トップ10に絞ると7車種が新エネルギー車です。 新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30で注目するべきは、海外メーカー勢がテスラ・モデルYとモデル3しかランクインできていないという点です。新エネルギー車といえば中国製であると広く認知されてしまっているのです。 また、BYDが13車種を席巻しており、圧倒的な存在感を感じさせます。さらに、ファーウェイのAITO M8が9位にランクインしており、日本円で800万円級にも及ぶファーウェイの高級EVが非常に人気となっている様子も見てとれます。 そして、BEVに絞った販売ランキングトップ30での注目は、発売開始から半年程度しか経っていない最新BEVが続々とランクインしている点でしょう。 第30位:Xpeng G7 第29位:Leapmotor B10 第22位:BYD Fang Cheng Bao Tai 3 第20位:BYD Seal 06 EV 第17位:BYD Sealion 05 EV 第16位:Leapmotor B01 第9位:シャオミYU7 第8位:BYD Sealion 06 EV このように、旧モデルを最新モデルが追い抜いて新陳代謝を促しているという点こそ、中国市場の競争の激しさを物語っていると思います。 第25位:トヨタbZ3X 第18位:日産N7 という日本メーカーの健闘にも注目です。とくにN7は1万148台と絶好調です。

TAG: #セールス #中国市場 #販売台数
TEXT:高橋 優
EVの王者BYDの勢いに陰り! 中国の新興勢力やテスラの影響で暗雲立ちこめる

BYDのセールスが下落傾向に 中国 BYDの2025年第2四半期の決算が発表され、収益性が悪化し始めているという驚きの決算内容であることが判明しました。 まず初めに、BYDの第二四半期の販売台数は114.5万台と、前年比+16.1%と成長を実現した一方で、BYDが2025年シーズン通しでの販売目標として社内で当初掲げられていたとされる550万台という数値目標と比較すると、その達成は厳しくなっていると言えます。実際にロイターなど一部メディアによれば、すでにBYDは2025年の販売台数目標を460万台にまで下方修正したとされており、2025年シーズンは成長が鈍化する見通しです。 次に売り上げは2009.2億元(日本円で約4兆1436億円)と、前年同四半期比で+14.0%の成長幅であり、販売単価が横ばいに留まったと言えます。BYDはすでにDenzaやYangwangという高級ブランドを立ち上げ、4月にはHan LとTang LというBYDブランドのフラッグシップを投入済みです。ところがこれらの高級ブランドや高級モデルの販売は芳しくなく、実際に販売単価が伸びていません。 次に、BYDのEVで稼ぐ力を見極める上で重要といえる粗利益について、Q2単体のグループ全体の粗利益率は16.27%と、2022年Q2以来となる3年ぶりの低水準に留まってしまいました。さらに、BYDグループから電子部品や半導体の受託製造部門を担当するBYD Electronicsの粗利益を差し引いてみると、その自動車部門に絞った粗利益率は18.74%と、前年同四半期の22.42%と比較してみても、大きく減少しています。つまり自動車部門においてマージンが顕著に落ちていることを示すのです。 とはいえ、自動車マーケット全体を見渡すと、ドイツ勢やアメリカ勢、日産などのマージンは低下傾向にあり、粗利益率18.74%というのは業界平均レベルの水準を維持しています。 次に、販管費や研究開発費などを差し引いた営業利益率は3.83%と、前年同四半期の6.54%と比較しても大幅に悪化しています。この営業利益率の低さは2022年Q1以来の水準です。その一方で、研究開発費についてはQ2単体で153.7億元(日本円で約3200億円)であり、前年同期比+70.6%と大幅に増加。売り上げ全体に占める研究開発比率も上昇し続けており、直近のQ2も7.65%と史上最高水準です。 よって、営業利益は低下しているものの、研究開発という将来への種まきは加速。ちなみに、世界最大の自動車メーカーであるトヨタは2025年4-6月期で3558億円という研究開発費が計上されていたことから、BYDはすでにトヨタと同等規模の研究開発費を投入していることになります。

TAG: #BYD #セールス #中国市場

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