トヨタが豊田市の元町工場で次世代BEVのデモラインを初公開した。組立工程の中でクルマが自走する、国内自動車メーカーとして初めての試みを見た。どのような技術を用いているのか、トヨタ関係者から詳しい話を聞いた。 実用化に向けて着実に前進 トヨタが2023年9月中旬、地元豊田市とその周辺で一部報道陣向けに開催した「モノづくりワークショップ」。 その中で、元町工場内で研究開発が進んでいる、次世代BEVの組立工程に関するデモンストレーションラインを視察した。 まず、報道陣が注目したのが3分割された次世代BEVの車体構成だ。 展示されたモデルには、車体前部にモーターやインバータなどがあり、構成部品を見ると現行の生産方式であるプレス加工した部品を溶接した形だ。 車体中央部は駆動用の電池パック。近年量産されている一般的なBEVは、車体中央の床部に電池パックを搭載しているが、トヨタとしては当面、この方式を採用するようだ。 トヨタの次世代電池の研究開発は急ピッチで進んでおり、2028年までに合計5つの次世代電池の量産を目指すとしている。その上で、電池がかなり高いエネルギー密度を持ち、なおかつBEVの使用方法が上手くコントロールできる「サブスク」などのビジネスモデルが描ければ、電池パックの小型化が可能となり、BEVの車体中央部の構成部品や大きさも変わる可能性がある。 そして、車体後部は高圧鋳造のアルミダイキャストをさらに高圧化させた、いわゆるギガキャスト製法で一体成形した。 このように、現在のところ前・中央・後という三つの車体モジュールを想定し、これらを結合してクルマとして走れる状態とする。結合方法については様々な技術を研究開発中だという。