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音なきサーキットに響く歓声。テスラvsヒョンデが激突したEVレース最終戦の真髄


TEXT:石井 啓介 PHOTO:石井 啓介
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テスラを駆る地頭所選手が見事に優勝! 白熱の全日本EV-GP最終戦(筑波)現地レポート

10月17日(土)、秋晴れの筑波サーキットにて、日本電気自動車レース協会(JEVRA)が主催する「全日本EV-GPシリーズ」の今季最終戦(第6戦)が開催されました。The EV タイムス編集部も現地で観戦しましたが、エンジン音のないサーキットに響き渡るタイヤのスキール音と、息を呑むような戦略的なバトルは、まさにEVモータースポーツの醍醐味が詰まった素晴らしいレースでした。今回は、その熱気に満ちたレースの模様をお届けします。

ステーティンググリッドは、応援の観戦者も入れるのが楽しい

テスラvsヒョンデの頂上決戦! 激戦を制した地頭所選手の卓越した走り

今シーズンは、絶対的な速さを誇るテスラ勢に対し、ハイパフォーマンスモデル「IONIQ 5 N」を擁するヒョンデ勢が挑むという、見応えのある激しいライバル対決が続いてきました。60km(筑波サーキット約30周)で争われた今回の最終戦も、各車が火花を散らす緊迫した展開となります。その中で圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、見事にトップチェッカーを受けて優勝を飾ったのは、TESLAモデルSプラッドを駆る地頭所(じとうしょ)選手でした。

静かで熱いレース展開

エンジン音の代わりに聞こえてくるのは、強烈なトルクでアスファルトを蹴り上げるタイヤのスキール音と、空気を切り裂くような高周波のモーター音だけ。無音に近い車体が猛烈なスピードでコーナーに飛び込んでいく姿は、何度見ても独特の迫力があります。そんな非日常的な空間の中で、後続の追撃を振り切った地頭所選手の走りは圧巻の一言でした。

勝敗を分けたのは「タイヤとバッテリー管理」。極限状態の頭脳戦

地頭所選手が見せた圧倒的な走りの裏にあるものこそが、EVレース最大の面白さである「バッテリーマネジメント」です。EVはアクセルを踏み込めば一瞬で最大トルクを発揮する圧倒的な加速力を持ちますが、フルパワーで走り続ければあっという間にバッテリー温度が上昇し、システムの出力制限(セーブモード)がかかってしまいます。さらに、60kmというレース距離を走り切るための電力量も緻密に計算しなければなりません。優勝した地頭所選手の走りは、まさにこのマネジメントの極致でした。バッテリーの消費と温度上昇を巧みに抑えながら、クルマのポテンシャルを最大限に引き出し続ける。ドライバーの純粋なテクニックに加えて、極限状態での冷静な計算と「タイヤ・バッテリー管理」が勝敗を大きく左右するのです。一見すると静かなEVレースの車内では、毎ラップごとの緻密な頭脳戦が繰り広げられていました。

知力と体力を尽くしたゴール直後の地頭所選手

音のないサーキットに響くスキール音。進化し続けるEVモータースポーツの未来

レースが終わり、ピットに戻ってきた各マシンの周りでは、健闘を称え合うドライバーやメカニックたちの笑顔があふれていました。テスラとヒョンデ、メーカーの垣根を越えてEVの限界に挑み続ける彼らの姿からは、これからのモータースポーツが向かう新しい未来の形を感じます。エンジン音のないサーキットですが、観客からはオーバーテイクのたびに大きなどよめきと歓声が沸き起こりました。音がないからこそ、ドライバーの駆け引きやタイヤの悲鳴がダイレクトに伝わり、観る者を強く惹きつける熱狂がそこにはあります。

最終戦表彰式/1位、地頭所選手(中央)2位、加藤選手(左)3位、KIMI選手(右)
※年間優勝はKIMI選手が獲得

ゴール後の優勝した地頭所選手と、チーム代表のJustice Joe氏

極限のレース環境で得られたバッテリー温度管理や制御技術のデータは、やがて私たちが日常で乗る市販のEVへとフィードバックされ、より快適で安全なクルマづくりへと繋がっていきます。見事な優勝劇で幕を閉じた2026年シーズン。来シーズンはさらにどんなEVがサーキットに登場し、私たちを驚かせてくれるのか。EVモータースポーツのさらなる進化から、今後も目が離せません。

レースの詳しい結果や、今後のスケジュールは

日本電気自動車レース協会(JEVRA)

https://jevra.jp/

 

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