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ブランドの壁を超えて「ふじてん」へ! NISMO開発陣の「本音」とニンニクがつないだEVの絆【EV総合研究所リアルEVライフ:エピソード4】


TEXT:杉本 容一 PHOTO:杉本 容一
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メーカーの垣根を越えて富士の麓へ! 日産EVオフ会で再会した懐かしい仲間たちと

EV総合研究所/Hyundai Motor Club JAPAN 副会長の杉本氏が感じたEVコミュニティの魅力と可能性をご紹介する連載コラムの第四弾。前回の記事の最後で「ヒョンデオーナーとなった今の私を、かつての仲間たちがどんな笑顔で迎えてくれるのか、今からワクワクが止まりません」とお伝えしました。その約束の舞台、10月4日に開催された「日産EVオーナーズミーティング(日産EVふじてんオフ会)」へ行ってきました。

富士の麓を目指して。車窓から顔を覗かせる富士山。

ブランドの壁を超えて「ふじてん」へ。かつての古巣への里帰り

現在の私の愛車はヒョンデの「IONIQ 5」です。しかし、私の14年に及ぶEV人生の原点が「日産リーフ」であることは間違いありません。メーカーが変わっても、EVを愛する気持ちはみんな同じ。きっと温かく迎えてくれるだろうという気持ちを胸に、富士の麓を目指してクルマを走らせました。会場に到着すると、そこには参加企業13社、参加車両170台という圧倒的なスケールが富士の麓に広がっていました。私の視界に飛び込んできたのは、懐かしい「CLUB LEAF of Japan」のロゴが入った旗。その旗を目にした瞬間、航続距離を気にしながらスリルを楽しんでいたあの当時の記憶が、一気に鮮明に蘇ってきました。

会場を埋め尽くした圧倒的な数のEVが並ぶ。

お土産は40個のニンニク! SNSにあふれた感謝が証明する「人と人をつなぐ」EVの絆

今回のオフ会に参加するにあたり、私はある「仕込み」をしていました。前回のEVキャンプの記事でもご紹介した、青森県三沢市への旅で出会った農家さんから送っていただいた産地直送の立派なニンニクです。自宅にまだ40個ほど残っていたため、「友達がたくさん集まるオフ会だし、みんなに喜んでもらえるかな」とカゴに詰め込んで持参したのです。

お土産に持参した青森県三沢市直送のニンニク。

会場で久しぶりに会う仲間たちや、新しく出会ったオーナーの方々に「青森の美味しいニンニク、持ってきたから一袋いかがですか?」と声をかけると、これが大反響。ニンニクをきっかけに「いつ乗り換えたの?」「電費はどう?」とお互いの近況報告やEV談義に花が咲き、持ってきた40個のニンニクはあっという間にすべて綺麗に貰われていきました。驚いたのはイベントが終わった後です。私のSNSやメッセージには、驚くほどの数の御礼が届きました。

「アヒージョに挑戦します!」「パスタに使わせてもらいます」といった料理の報告から、「スーパーで同じくらいの青森産を見たらすごいお値段でびっくり。やはり素晴らしい品質ですね」という感嘆の声、さらには「息子が頂いてきました!」「妻が杉本さんからの頂き物と知って喜んでいました」といったご家族の笑顔まで、次々と温かい言葉が寄せられたのです。

40個すべてが笑顔で受け取られ、その後もSNSを通じて温かい言葉が飛び交う。それ自体が、14年間EVに乗り続けてきたからこそ築けた、濃密な「人と人とのつながり」そのものでした。

懐かしい「CLUB LEAF of Japan」の旗を背に。

かつてインフラが整っていなかった時代、私たちは限られた充電器を「どうぞお先に」と譲り合いながら走っていました。私はこれまでも連載を通じて「EVの本質的な楽しさは人と人をつなぐことにある」と発信してきましたが、形を変えてモノを分け合い、お互いを思いやるアットホームな空気感は今も健在です。届いたメッセージに返信しながら、あの富士の麓で交わした絆が本物であることを改めて証明された気がして、胸が熱くなりました。

餅つきもご一緒する間柄だから引き出せた! NISMO開発陣・森田氏が語る「機能美」の裏側

そして、今回のイベントで私が最も楽しみにしていたプログラムが、新型日産アリアNISMOやリーフNISMOの開発者によるトークセッションです。ステージには、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)の錚々たる開発陣が登壇されていました。ニスモ商品戦略・企画部のチーフプロダクトスペシャリストである饗庭貴博さん、カスタマイズプロジェクト統括部主担の成富健一郎さん。そしてもうお一人、カスタマイズデザイン部部長の森田充儀さんです。

開発者トークセッションに登壇したNMC開発陣。

実は、壇上でスポットライトを浴びて話す森田さんとは、以前から同じ日産リーフに乗る者同士、プライベートのイベントで一緒に餅つきをしたりするほど親しくさせていただいている間柄でもあります。ステージ終了後、展示されたアリアNISMOの横で、そんな彼だからこそ本音で答えてくれるであろう、突っ込んだデザインの質問をぶつけてみました。まず、私が気になっていたブレーキ周りについて尋ねました。 「森田さん、NISMOなのにブレーキキャリパーに色が付いていないですよね? ここをパッと目を引く赤いキャリパーにしたら、もっと分かりやすくカッコよくなるんじゃないですか!」

すると森田さんは、悪戯っぽく笑いながらも、真剣な眼差しでこう答えてくれました。 「違うんですよ、杉本さん。NISMOというブランドには、絶対に譲れない『性能のヒエラルキー』が存在しているんです。ブレーキの機能を向上させた上位仕様のモデルには確かに色を付けますが、標準車と同じ仕様のキャリパーなどの場合は、たとえNISMOであってもあえて色は付けない。見た目のカッコよさだけで、中身を伴わない色付けをすることは絶対にしないんです」このブレない哲学に、私は思わず唸らされました。せっかくの機会なので、質問を続けます。 「最近の日産車を見ていると、ホイールのデザインがすごく凝っていてモダンでカッコいいですよね。それに比べると、このアリアNISMOのホイールはすごくシンプルというか、一見すると少し大人しく見えちゃう気もするんですけど……」森田さんは、待ってましたと言わんばかりに言葉を返してくれました。 「それも違うんです。私たちは『機能をデザインで表現する』ことを最優先にしています。空力性能やホイールとしての剛性を突き詰めて極限まで無駄を削ぎ落とした結果が、この形なんです。だから、見た目の派手さを狙った左右非対称のような飾りだけのデザインは、NISMOのホイールには採用しません」さらに、象徴的な赤いアクセントライン「アルテリア・マグマ」についても、リーフNISMOならではの線の細さなど、次から次へと深すぎるこだわりが飛び出してきました。

一見するとただスタイリッシュに見える外観の裏には、1ミリの妥協も許さない「機能から生まれる美しさ」が宿っている。公式の場やカージャーナリストさん向けのインタビューではなかなかお目にかかれない、これまでの交流があったからこそ引き出せた開発デザイナーの本音に直接触れられたのは、至高の時間でした。

EVがつなぐ絆は、メーカーの枠も、過去も未来も超えていく

かつて私が乗っていた日産車から放たれるNISMOの圧倒的なオーラと、そこに込められた機能美の哲学に、ひとりのクルマ好きとして胸が熱くなりました。今回のオフ会を通じて、改めて強く思ったことがあります。私の現在の愛車は日産からヒョンデへと変わりました。しかし、乗っているブランドが違っても、こうして開発者の方々と本音のクルマ談義で盛り上がることができ、集まった仲間たちと笑顔でニンニクを分け合える、そんな温かい居場所がここにはありました。クルマを単なる移動手段や工業製品として消費するのではなく、人と人を引き合わせ、それぞれの人生をより彩り豊かにしてくれる最高の相棒にする。それこそが、EVという乗り物が持つ本当の魅力だと私は思います。

メーカーの枠を超えて、温かく迎えられた愛車ヒョンデ。

富士の麓で再確認したこの優しく温かいバトンを、私はこれからも大切につないでいきたい。メーカーの垣根を越えたEVコミュニティの未来は、私たちが思うよりもずっと、鮮やかで楽しい場所へと広がっています。さて、私たちの充電旅はこれからもずっと走り続けていきます。次はどこのオフ会で会えるか今から楽しみです! 会場で見かけたら、ぜひ気軽に声をかけてくださいね!

EV総合研究所/Hyundai Motor Club JAPAN 副会長

杉本 容一:2012年、まだ世間が電気自動車(EV)に対し「本当に走るのか」と懐疑的だった時代から、EVライフを開始。初代日産リーフから2代目、そして現在のHyundai IONIQ 5へと乗り継ぎ、気づけばEVに乗って14年。ただのクルマ好きオーナーから、なぜ「EV総合研究所」でFACT(事実)に基づく発信を行い、オーナーズクラブの副会長を務め、果てはジャパンモビリティーショーでメーカーブースの説明員として立つまでに至ったのか。航続距離の恐怖と闘った冒険の日々から、国境を越えた仲間との出会いまで、一人の人生をEVがどう彩ってきたのかを等身大の言葉で届けたい。

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