国産ハイブリッドを意識した大幅値引き
最近は輸入EV(電気自動車)の値引きが凄い。BYDは2025年に、短期間ではあったが「BYD補助金」の名称で定額の大幅値引きを行った。値引き額は、新車価格が418万円のATTO3でも70万円、新車価格が572万円のシールは117万円に達した。ATTO3の場合、値引きの「BYD補助金」と国から交付される補助金額の35万円を合計すると、合計額が100万円を超えた。
ヒョンデも負けずに大幅値引きに乗り出した。2025年にはコナが98万3000円、アイオニック5が158万円という期間限定の大幅値引き販売を行っている。
なおヒョンデは、2026年2月下旬時点でも、複数の車種で値引きキャンペーンを実施中だ。たとえばコンパクトなインスター・クロスの車両価格は372万9000円だが、値引きも37万4000円と大きい。国から交付される補助金額が56万2000円だから、合計すれば93万6000円だ。この金額を車両価格の372万9000円から差し引くと279万3000円になる。国産コンパクトSUVに当てはめると、トヨタヤリスクロスハイブリッドZの299万2000円よりも少し安い。
EVのブランドでは、テスラも「特別価格調整」と称して、値引き販売をすることがある。以前はモデル3で約60万円の大幅値引きを行った。値引きの60万円と国から交付される補助金額の127万円を合計すると187万円だ。モデル3・RWDの価格は531万3000円だから、前述の187万円を差し引くと約344万円になる。プリウスハイブリッドZの387万500円よりも安く手に入る。
以上のように、ヒョンデ・インスタークロスは、値引きと国から交付される補助金を合計すると、実質価格がヤリスクロスハイブリッドZよりも安くなった。同様にテスラモデル3も、値引きと補助金額を差し引くと、プリウスハイブリッドZよりも安く手に入る。つまり、ヒョンデやテスラなどの輸入EVは、国産EVではなく、国産ハイブリッドをライバル車に据えて販売戦略を立てているのだ。
この背景には「ハイブリッドは数多く売れるのにEVは低調」という、日本の販売状況がある。2025年1〜12月における小型/普通乗用車の販売内訳を見ると、ハイブリッドは47.3%に達したが、エンジンを搭載しないEVは1.4%に留まった。
日本でEVを数多く売るには、車種の数が多く、販売も好調なハイブリッドに勝たねばならない。そこで輸入EVは、販売期間を限りながら、大幅な値引き販売を行っているわけだ。
この事情は国産EVも同様だ。たとえばトヨタbZ4Xは、2025年10月に改良を行い、Z・2WDは1回の充電で走行できる距離を従来の1.3倍に増やして746kmとしている。その一方で価格は、従来型に比べて50万円値下げして550万円に抑えた。国から交付される補助金額は130万円だから、実質価格は420万円に下がる。プリウスハイブリッドZは前述の387万500円だが、bZ4X・Zが標準装着するパノラマルーフやデジタルキーをプリウスにもオプション装着すると、価格はほぼ同じになる。
このようにbZ4Xがマイナーチェンジを実施した背景にも「EVのハイブリッド対策」がある。輸入EVの大幅値引きキャンペーンも、bZ4Xのマイナーチェンジも、基本は同じでハイブリッドに対抗しているわけだ。


















































