GTIの「I」はインジェクションに由来 それでもEVで名前を継承する理由とは
フォルクスワーゲンのみならず、すべてのホットハッチにとって金字塔と言える「GTI」が、2026年で誕生から50年を迎える。
「Gran Turismo Injection」という、長距離走行を快適にこなすグランツーリスモと、燃料噴射装置を意味するインジェクションの頭文字に由来するGTIのネーミングを初めてを冠したモデルは、今日まで実用車のベンチマークとして君臨するゴルフだ。フォルクスワーゲンの言葉を引用すれば、「運転の楽しさと日常的な実用性の完璧な融合」を図ったGTIは、以来8世代にわたるモデルチェンジでも、常にゴルフのスポーツモデルとしてその名を冠したグレードを設定している。むろん、ポロ、ルポ、UP!といった実用的なコンパクトハッチモデルにも、時期は異なれどGTIの名を冠したグレードは設定され、「速くて実用的なスポーツモデルと言えばフォルクスワーゲンのGTI」という方程式を作り上げてきた。

しかし、自動車産業は100年に1度の大転換期と呼ばれる時代。EVシフトを推し進めることを計画していたフォルクスワーゲンにとっても、このビッグネームをどう活かすかという問題に直面していた。
そのアンサーともいうべきコンセプトカーが、東京オートサロン2026で日本初公開を果たした「ID.GTI Concept」だ。

これまでガソリン車で築いてきた、楽しくて実用的なスポーツモデルの代名詞であるGTIを、今後のEVでどう表現していくかを示したモデルで、2023年9月のドイツ・IAAモビリティ2023で世界初公開。そして、ホットハッチ好きが多いこの日本には、GTI誕生50周年という節目で初披露と相成った。
プロダクトモデル「ID.POLO GTI」は2026年欧州で発表予定
もともとフォルクスワーゲンには、「ID.2」「ID2.all」というコンパクトEVモデルが今後登場予定のモデルとして控えており、ID.GTI Conceptよりも前に発表されていたのだが、その後にネーミング方針が転換され、ID.2は長年実用コンパクトモデルとして支持されてきたポロの名を冠した「ID.ポロ」へと変更された。そして、そのGTIモデルにあたるのが、今回披露されたID.GTI Conceptをベースにブラッシュアップされた「ID.ポロGTI」であり、2026年内に欧州で発表される予定だと言われている。
つまり、ID.GTI Conceptが直接ID.ポロGTIになるわけではないのだが、ポロ並みのボディサイズでワンクラス大きいゴルフ並みの室内空間を有して、かつ走りを楽しめるモデルをEVで登場させていく姿勢を世に示し、来るプロダクトモデルのID.ポロGTIへと繋げるのが、このID.GTI Conceptの役目だということができよう。

なお、フォルクスワーゲンでは電動化の流れのなかで、かつてゴルフのプラグインハイブッドのスポーツモデルに対し、GTEというわかりやすいネーミングを与えていた。しかし、ことID.GTI Conceptならびに今後のEV GTIモデルに関しては、もはや燃料噴射装置は搭載されていないものの、これまでのGTIのDNAを引き継いだモデルということで、GTIの名を継承していくのだという。

デザインはこれまでのGTIモデルに倣って、フロントグリルを横断する赤いラインに、見るからに効果の高そうなディフューザー類を装備。残念ながら室内を窺い知ることはできなかったが、フォルクスワーゲン・ジャパンのブランドディレクター、マーティン・ザーゲ氏によるプレスカンファレンスにおいては、アイコンと呼べる赤いタータンチェックのシートは今後も継承されることが明言されており、旧来のファンもひと安心といったところだろう。

全体のフォルムを見渡しても、紛れもなくフォルクスワーゲンのこれまでの伝統に沿ったデザインであり、GTIに求める要素が随所に散りばめられていて完成度が高い。プロダクトモデルとなるID.ポロGTIの登場に、いまから期待が膨らむ。
























































