アメリカのEVにいまなにが起こっているのか
アメリカはいま、EV普及の大きな曲がり角に立っている。背景にはふたつの要因がある。
ひとつは、7500ドル(1ドル156円換算で117万円)税額控除制度の終了だ。2008年から継続されてきた制度で、当時は米エネルギー省が積極的に関与した米国内でのEV(及びプラグインハイブリッド車)の製造を支援する施策と合わせて、アメリカとして次世代電動車の普及を強力に後押ししていた。
2010年代にテスラが販売台数を大きく伸ばした背景にも、この7500ドル税額控除制度の影響が大きかった。その後、2020年代になってもバイデン政権は米中通商関係を考慮して、IRA(インフラ抑制法)を発出し、これが米国内での新車製造を後押しした。合わせて7500ドル税額控除制度があったことで、GM(ゼネラル・モーターズ)やフォードがフルサイズピックアップトラックやフルサイズSUVのEV戦略を進めることに繋がった。

ところが、表向きではEV普及に対して消極的な態度を示すトランプ大統領は、第二次政権で7500ドル税額控除制度の継続を指示せず、当初予定の9月末で同制度は終了した。
もうひとつ、アメリカのEV普及にブレーキとなってしまったのが、企業別燃費規制の緩和だ。トランプ大統領はアメリカ現地時間の12月3日、バイデン政権下で施行された企業別燃費規制(CAFE)で設定された規制値を大幅に見直すことを指示したと報じられた。具体的には、2031年に1ガロン(3.785リットル)あたり50.4マイル(1リットル当たり21.4km)から34.5マイル(14.6km)とする。
また、バイデン大統領は2021年8月に「2030年までアメリカで発売される乗用車と小型トラックの50%以上をEV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車とする大統領令を発令しているが、これについてもトランプ政権では継承しない。
こうした「トランプのダブルパンチ」によって、アメリカでのEV普及が足踏みする可能性が高まっている状況だ。

2024年のデータでは、乗用車市場におけるアメリカのEV普及率は7.6%、プラグインハイブリッド車は2.0%だ。中国での26.0%・18.6%と比べると大きな差がある。なお、欧州では15.4%・7.8%、日本は1.6%・1.2%にとどまる。
自動車産業界では「中長期的にはEV普及が本格化する」といわれている。二大政党制、かつトランプ大統領のような個性が強い政権が誕生する社会背景があるアメリカでは、EV普及の今後は不透明な情勢を言わざるを得ない。


















































