2015年に登場からすでに8年を経過した、四代目マツダ「ロードスター」(ND)。
そろそろ次期モデル(NE)に関する商品企画の草案がマツダ社内で議論され始めているのではないだろうか。
そうした中、歴代主査からはBEV(バッテリー電気自動車)化を望む声もある。果たしてNEはどんなクルマになるのか?
未来に向けて希望溢れるファンフェスタ
マツダは2023年9月17日、「マツダファンフェスタin 富士スピードウェイ」を5年ぶりに開催した。
第一回が2016年、第二回が2018年で、富士スピードウェイ以外には岡山国際サーキットで開催されている。
第三回となった富士スピードウェイ開催では、前売り券が発売から間もなくして1万2000枚を完売する、マツダファン待望のファンの集いである。
コース上では、マツダのほか、トヨタとスバルからもスーパー耐久出場マシンが友情参加してデモランをしたり、1991年ルマン24時間総合優勝の「787B」が4ローターサウンドを高らかに奏でた。
また、eスポーツ大会、ラジコン操作体験、モノづくり体験、なりきりメカニック体験などキッズや若者向けコンテンツ、さらに出張美容室のようなエアとメイクを体験できる女性人気コーナーなど、終日家族で楽しめる内容だった。
そのほか、「マツダミュージアムin FUJI」と題して、歴代のマツダ車や、先に開催された広島G7サミットでの「Pride of Hiroshima展」に飾られたウクライナの国旗をモチーフとしたカラーリングのロードスター(ND)の姿があった。
そうした中で、やはり気になるのは五代目ロードスター(NE)の行方だ。
歴代主査たちの思い
本コースで行われたパレードでは、「787B」が四世代のロードスターを引き連れて走行した。
NAのステアリングを毛籠勝弘社長が握ったほか、マツダの役員や、現役社員であるロードスター歴代主査ふたりも参加した。

「787B」を先頭に、NA、NB、NC、NDロードスターがコースをパレード。
時計の針を少し戻すと、2023年5月のロードスター・軽井沢ミーティングで、二代目・三代目主査の貴島孝雄氏、四代目の歴代主査の山本修弘氏と中山雅氏、そして現行主査の齋藤茂樹氏とロードスターの未来について意見交換した。
その際、複数の歴代主査から「NEはBEVにするのが妥当」という意見が出た。
理由としては、将来的に燃費や排気ガス規制、さらに電動化に係わる規制をクリアするには、マイルドハイブリッドなど中途半端な電動化で重量増になり、クルマ全体の重量バランスが壊れるくらいなら、搭載電池容量を制限してでもBEV化することが、ライトウエイトスポーツカーとしての使命を全うできる、という考え方だ。
あくまでも、これは歴代主査の個人的な思いを言葉にしたものであり、マツダからの正式コメントではない。
そうとはいえ、ロードスターを創り上げてきたエンジニアたちにとって、「ロードスター憲法」とマツダ社内で称される、マツダのロードスターに対する基本姿勢を重視すると、
結果的に五代目NEがBEV化することは間違いでない、ということだ。
10年前のNBベースのロードスター

東京マツダが製作したNBベースのコンバートEV。筆者撮影
話を、今回のマツダファンフェスタ in 富士スピードウェイに戻すと、カスタマイズ関連ブースの中に、東京マツダが出展したNBベースのBEVがあった。
同車は2010年代初めに製作したもの。ドライブシャフトなど駆動系の一部をNBオリジナル部品を流用し、エンジンからモーター(最高出力75kW)に換え、リチウムイオン電池(電池容量16.79kWh)を搭載している。
車体を末永く保ちたいという発想での、EVコンバートである。

NBベースのコンバートEVはトランク部分にリチウムイオン電池を搭載。筆者撮影。
果たして、NEはBEV化するのか?
2020年代後半から2030年代にかけて、その姿が現れることだろう。








































