#試乗
TEXT:田中 誠司
「EVで味わうBMW伝統の後輪駆動スポーツセダン i4」試乗記 その1

エンジン車と同じフォルム、同じ駆動方式 BMW伝統の低いフォルムを備えたスポーツセダンで、ディーゼル/ガソリン車と同じフォルムの後輪駆動。こんな、ごく普通のスタイルでBEV(バッテリー電気自動車)バージョンの4シリーズが登場したと聞いて、「ああ、やっと電気自動車は自動車産業の中でスタンダードな存在になったのだな」と、安堵の混ざった感慨を覚えた。 2013年にBMWがはじめて量産電気自動車として「i3」を投入したとき、それは専用のオールアルミ・シャシーをカーボンFRPボディで包み、エネルギー消費を徹底的に抑えるためのパッケージングを与えたきわめて特殊なクルマだった。そのようにアイコニックであることが、当時マイナーもマイナーだったEVをマーケティング上成り立たせるためにも不可欠なのだった。 しかしさらに大幅に時代を遡ると、1972年ミュンヘン・オリンピックの折に大会オフィシャルカーとしてBMWが送り出した「BMW 1602 エレクトリック」は量産のBMWセダンと何も変わらない外観に、350kgの鉛バッテリーを搭載し、航続距離わずか60kmというプロトタイプだった。フルマラソンの先導がようやく果たせるか、というレンジである。時代は第一次オイルショックの直前、環境保護に対する注目も高まりつつある時期だった。BMWには「人々が自由に選べ、活用できるモビリティの選択肢を提供する」という強い意思が昔からある。BMWのユーザーは内燃機関と並んで公平に電気自動車を選べなければならない、という意図がこのプロトタイプには込められていたのだろう。

TAG: #i4 #セダン #試乗
TEXT:生方 聡
「bZ4X」で世界に挑むトヨタ [トヨタbZ4X試乗記:その1]

EV専用プラットフォームを採用する「bZ」シリーズ第一弾として登場した「bZ4X」に試乗。まずはどんな特徴を持つEVであるのか、価格や販売方法などを含めて探ってみることにしよう。 EVづくりでスバルとタッグを組む 「プリウス」などのハイブリッド車で電動化をリードしてきたトヨタが、新たに開発したEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を用いて世に送り出すのが「bZ」シリーズ。その第一弾となるのが、ミドルサイズSUVタイプの「bZ4X」である。 EV専用モデルを開発するにあたって、トヨタはスバルと再びタッグを組み、bZ4Xの兄弟車にあたる「ソルテラ」をスバルが市場に投入しているのはご存じのとおりだ。 bZ4X(とソルテラ)が戦いを挑むのは、いまもっとも熱気を帯びるCセグメントだ。写真で見るかぎりはライバルよりもコンパクトな印象のbZ4Xだが、全長4,690×全幅1,860×全高1,650mmのボディは「日産アリア」や「フォルクスワーゲンID.4」よりもさらに長く、ホイールベースも2,850mmとこのクラスではトップレベルだ。 この長いホールベースの床下には、総容量71.40kWhの薄型の駆動用リチウムイオン・バッテリーが搭載されている。駆動方式はFWD(前輪駆動)と4WDの2種類が用意され、前者はフロントに最高出力150kWの電気モーターを1基搭載する一方、後者は80kWのモーターを前後1基ずつ配置している。一充電走行距離は、標準の18インチ仕様の場合でFFが559km、4WDが512km。オプションの20インチを選ぶと、それぞれ540kmと487kmと短くなる。

TAG: #bZ4X #生方 聡 #試乗

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