シリーズハイブリッドはアメリカで「今まで通り安心して乗れる」電動車 「V2V」「V2H」といった外部給電・救援機能も備えた万能型の4WD 【THE 視点】ステランティスグループのラムは、「シリーズ型ハイブリッド方式」を採用したPHEVの新型ピックアップトラック「ラム1500リチャージャー」を発表した。 最高出力130kW(177ps)を発する発電用3.6LのV型6気筒エンジンと92kWhのバッテリーを搭載。シャシーは新たに開発されたEV専用「STLA」を採用した。前250kW(340ps)/後238kW(324ps)の前後2モーター式AWDで、航続距離は最大690マイル(1,104km)となる。総合488kW(664ps)のユニットがもたらす0-100km/h(60マイル)の加速性能は4.4秒と、ピックアップトラックとしてはかなりの性能である。 ちなみに「シリーズ型ハイブリッド」とは、日産が「ノート」や「セレナ」に採用している方式で(「e-POWER」というグレード名で展開している)、エンジンは発電専用でタイヤの駆動はモーターが行なう。 「リチャージャー」はさらに大容量バッテリーを搭載しEV走行も可能なPHEVの機能も持つ。その性能も頼もしく、バッテリーは水冷式で、400Vの直流充電を10分行なうと、最大80マイル(約130km)のEV走行が可能だという。また、別のステランティス車への充電が出来る「V2V」(ヴィークル・トゥ・ヴィークル)機能のほか、キャンプなどにも使える7.2kWの外部給電機能、そして車両から家への電力を供給できる「V2H」機能も備えている。 本欄でも触れているが、ラムは純粋なEVの「1500REV」をすでに発表している。そこに今回PHEVが追加された形となる。どちらもEV技術が用いられた次世代のピックアップトラックである。 将来を先取りする「REV」と比べ、「リチャージャー」は現実的な電動車と言える。北米の大地は広大であり、特にピックアップトラックが最も活躍するであろうアメリカ中部あたりは原野的な土地が広がっている。その中で電欠でも起こせば命に関わる。内燃エンジンの発電機を積んでおけば、今までと同様に安心して走り使い倒せるというわけだ。 さらに興味深いのは「V2V」「V2H」を含めた外部給電機能を備えている点。「電気の救急車」としても活躍できるのだ。これらを総合的に考えると「シリーズハイブリッド」の採用は広大なアメリカを走るピックアップトラックにとって最適解なのかもしれない。純粋な電動にこだわるなら「REV」を選べばいいだけの話だ。選択肢があるのは嬉しい。 それにしても0-100km/加速が4.4秒とは高性能スポーツモデルのタイムである。この力強い発進加速はEVゆえの特徴であろう。そして発電用のV6エンジンである。ステランティスグループにはもっと小排気量かつ気筒数も少ないものがあるだろう。しかし8気筒とはいかないにしろV型エンジンを積んだところにアメ車らしさを感じる。ただ、燃費に関しては良い意味でアメ車らしくないだろう。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボッシュ、農業機械用の「e-アクスル」を発表 ……農業機械メーカー向けに90kW(122ps)/140kW(190ps)の2種類の「e-アクスル」(制御装置・モーター一体型のユニット)を開発したという。モーターは400Vの電圧に対応している。 ★GM、希土類不使用のモーターを開発へ ……アメリカ・ミネアポリスのベンチャー企業ニロン・マグネティクスとパートナーシップを結んだ。レアアースフリーの永久磁石を使用したニロンのモーター技術を取り入れる。 ★HWエレクトロ、米NASDAQ上場へ ……11月8日付けで米国預託証券の登録に関する登録届出書を米国証券取引委員会に公開提出した。上場予定市場は「NASDAQキャピタル・マーケット」となる。 ★EV充電器付き月極駐車場サービス開始 ……テラモーターズは、賃貸マンション「スカイプラザⅡ」<東京都大田区>に付帯する駐車場「アットパーキングEV」に充電器を設置し運営実証を行なう。サービス開始は11月9日。 ★「BYD AUTO 宇都宮」オープン ……BYDの正規ディーラー(同上)が11月11日(土)にオープンする(栃木県宇都宮市鶴田町3492-78)。オープンから19日にオープニングフェアを開催する。 ★白子町役場にEV用充電器 ……テラモーターズと千葉県白子町はEV用充電器の設置に向けて協定を締結した。2024年内に、最高し出力6kWタイプの充電器を5基設置する。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.10]