メルセデス・ベンツ 記事一覧

TEXT:TET 編集部
EV化で最強オフローダーここに極まる! メルセデス・ベンツGクラスの究極形態「G 580 with EQ テクノロジー エディション1」が日本デビュー

電動化でGクラスが得たもの 1979年にNATO向けの軍用車両をベースに、民間用のクロスカントリービークルとして発売した「ゲレンデヴァーゲン」の誕生以来、連綿と続く改良を施し、その類稀なる堅牢さと突き詰められたオフロード性能に加え、グランドツアラーとしてのオンロード性能を磨き上げ、「究極の高級オフローダー」という唯一無二のポジションを確立したメルセデス・ベンツのGクラス。そのGクラスにも、ついに電動化の波が押し寄せた。 ハイブリッドなどという折衷案ではなく、100%電気自動車のBEVとしてGクラスに新たな価値観をもたらし、ラインアップに加わったのが今春ワールドプレミアされた「G 580 with EQ テクノロジー」だ。 それから約半年、2024年10月24日から「G 580 with EQ テクノロジー エディション1」として日本でも注文が開始された。 そこで、電動化により実現した新機能を中心に、初代ゲレンデヴァーゲンの誕生から45年という長い歴史のなかでも、最大級といっても過言ではないエポックメイキングな電気自動車「G 580 with EQ テクノロジー」について解説していきたい。 エクステリア 一目見てGクラスだとわかるスクエアボディはそのままに、G 580は後端が持ち上がったボンネットフードとリヤホイールアーチにエアカーテンを備えるなど、随所にこれがEVモデルであることを伝えている。 テールゲートに備わるボックスは、標準車の場合はスペアタイヤが中に収納されているが、G 580の場合は充電ケーブルや工具などを収納するためのスペースとしてあてがわれる。そのため、外観形状そのものも標準車とは異なり、やや縦長な印象だ。 今回導入されるG 580は、AMGラインパッケージが標準装備となるほか、ナイトパッケージやエディション1専用のブラック塗装20インチAMGホイール、ブルーのブレーキキャリパーなどの多くのエディション1専用装備が装着され、購入意欲を刺激する。 インテリア インテリアの基本デザインは標準車のものを踏襲するが、デフロック機能のスイッチ周辺はG 580専用に再設計され、後述するG-TURNやG-STEERINGの起動スイッチがレイアウトされ、ひと目でこれがEVモデルであることを識別できる。 ナッパレザーを贅沢に奢ったシートやダッシュボードはもちろんだが、随所にエディション1だけのブルーステッチが施され、先進テクノロジーを融合させた究極の高級オフローダーの内装にふさわしい仕上げとなっている。無論、車格に見合った快適装備も抜かりなしだ。 しかし、Gクラス初の電気自動車「G 580 with EQテクノロジー エディション1」の真価は、それら豪華な仕立てのエクステリアやインテリアの類ではない。なぜなら、電動化によりもたらされた技術革新があまりにも大きく、従来のGクラスでも十分に高かったオフロード性能がさらに進化したからだ。

TAG: #EQ #G580 #メルセデス・ベンツ #新型車情報
TEXT:高橋 優
カタログスペック以上の電費性能! 充電能力もバッチリ! メルセデス・ベンツEQEを実走テストした!!

リアルワールドにおけるEV性能をチェック メルセデス・ベンツのビジネスサルーンであるEQE 350+で恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。メルセデスの最新EVがどれほどの性能を実現することができたのか。リアルワールドにおける航続距離や充電スピードを詳細リポートします。 *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%までサービスエリア下り線で充電したあと、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のEQE 350+・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離よりも1.18%短く表示) 結果:蓮田SA下り→白石IC→蓮田SA上り ・走行距離:558.7km ・消費電力量:100%→9% ・平均電費:6.7km/kWh(149Wh/km) ・外気温:25〜30℃ よって、航続距離テストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、621kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のEQE 350+・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離よりも1.18%短く表示) 結果:蓮田SA下り→佐野藤岡IC→蓮田SA上り ・走行距離:75.9km ・消費電力量:86%→71% ・平均電費:5.7km/kWh(175Wh/km) ・外気温:27.5〜28.5℃ よって、ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、512kmを走破可能であることが確認できました。

TAG: #EQE #充電 #長距離
TEXT:高橋 優
恒例の1000kmチャレンジで明らかになった充電性能! 長距離走行が多いひとにはメルセデス・ベンツEQEはアリなEVだった

メルセデスのビジネスサルーン「EQE」の性能をチェック メルセデスのビジネスサルーンであるEQE 350+で恒例の1000kmチャレンジを行いました。メルセデスの最新EVがどれほどの性能を実現することができたのか。途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。 まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。 *走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ 加古川北IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県) *走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ ・追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のEQE 350+・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離よりも1.18%短く表示されているため、オドメーター上で988kmの段階でゴール) 1)海老名SA下り→湾岸長島PA(150kW級急速充電器) ・走行距離:299.6km ・消費電力量:100%→47% ・平均電費:6.3km/kWh(159Wh/km) ・外気温:32.5℃〜29℃ ・充電セッション:47%→78%(19分) まず注目していただきたいのが、EQEの充電残量の予測です。海老名SA出発時では、湾岸長島PA到着時にSOC63%と予測されていたものの、実際の湾岸長島PA到着時にはSOC47%。 というのも、 ・制限速度を最大でも10%ほどプラス走行を許容 ・120km/h制限の区間が大部分を占めているという点 この2点を含めると、充電残量予測との乖離が発生してしまうわけです。他方で、新東名を使用すれば、120km/h制限区間はもともと決まっていることから、もう少し残量予測の正確性は改良して欲しいところです。 とはいえ、制限車速120km/hをフルで走って、300km走行してもなお、SOCが50%弱残っているということは、まず関西へは無充電で走破可能となります。さすがはドイツ車、高速域での電費性能が優れている様子が見て取れます。 2)湾岸長島PA下り→加古川北IC(折り返し)→湾岸長島PA上り(150kW級急速充電器) ・走行距離:411km ・消費電力量:78%→5% ・平均電費:6.2km/kWh(161Wh/km) ・外気温:29℃〜27℃ ・充電セッション:5%→23%(14分) すでに折り返し地点を超えました。1000kmチャレンジの最長区間での平均電費は161Wh/kmと、2360kgの中大型セダンと考えると、想定よりもはるかに電費がいいと感じます。411kmを充電残量73%で走り切ってしまうEQE、やはりアウトバーン育ちは伊達じゃないです。 他方で、充電セッションで問題が発生しました。充電開始4分程度で充電が突如停止。その後、充電を再開させると、なぜか充電出力が85kW程度と、もともと出ていた115kW程度という出力から低下。よって次の150kW級急速充電器がある浜松SAに到着するギリギリで充電を打ち切り、浜松でフル充電を試みることにしました。 3)湾岸長島PA→浜松SA(150kW級急速充電器) ・走行距離:109km ・消費電力量:23%→3% ・平均電費:6.1km/kWh(164Wh/km) ・外気温:27.5℃〜28.5℃ ・充電セッション:3%→31%(16分) 最後の充電スポット予定は浜松SA上りです。150kW級急速充電器を使用して海老名SAまでの充電を入れ切るつもりでした。ところが、途中でEQCが隣で充電をスタート。このABB製の150kW級急速充電器は二台同時充電が可能なものの、二台同時充電の場合、最大電流値が200Aに制限されます。つまり、EQEの場合、最大でも70kW程度しか発揮できなくなります。よって、充電セッションを切り上げて、最後の150kW級急速充電器が存在する駿河湾沼津SAまで向かうことにしました。

TAG: #EQE #充電 #長距離
TEXT:TET 編集部
万が一のときにはEQSが市民の生活を守る! メルセデス・ベンツ日本が豊橋市と「災害時等における電気自動車からの電力供給に関する協定」を締結

非常用電源として活用できるEVを貸与 2024年8月2日、メルセデス・ベンツ日本合同会社は、愛知県豊橋市と「災害時等における電気自動車からの電力供給に関する協定」を締結した。 メルセデス・ベンツ日本は、台風や地震などの大規模災害が発生した際、豊橋市が指定する避難所などに電気自動車EQSを貸与する。これにより避難所などの円滑な運営に貢献する。 貸与車両のEQSは車外へ電力を供給できる双方向充電が可能で、外部給電機器を接続することで蓄電池として利用できる。大規模な停電の際には、車両に充電された電気を家庭や避難所などに送る予備電源としても利用可能だ。 EQS のバッテリー容量は 107.8kWh。一般的な4 人家族の平均的な電力使用量を1 日あたり 13.1kWh・月 400kWh とした場合、バッテリー残量 10%になるまでのシミュレーション試算でEQSのバッテリーで賄える電力量は、一般的な家庭の電力消費量であれば最大約7日分となる

TAG: #災害 #電力供給
TEXT:TET 編集部
マイバッハのブランドで初となる電気自動車! 「メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV」が登場

マイバッハならではの極上の乗り心地を提供 2024年8月1日、メルセデス・ベンツ日本合同会社は、メルセデス・マイバッハブランドから初の電気自動車「メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV」を発売した。価格は税込み2790万円。 マイバッハ EQS SUVはEQS SUVをベースに、高級感のある専用のフロントマスクやツートーンペイント、アルミホイールなどを採用。ひと目でマイバッハとわかるエクステリアとなっている。 軽い力で確実にドアを閉めることができるドアクロージングサポーター、ディスプレイ操作でドア開閉ができる電動コンフォートドアなど、快適性や利便性を高める機能を採用。 インテリアは上質な素材を大胆に使用したウッドパネルや植物由来原料で加工したナッパレザーシート、MBUXハイパースクリーンやMBUXリアエンターテインメントシステムを標準装備し、ラグジュアリーかつ快適な移動空間を実現した。 また、Burmester 4Dサラウンドサウンドシステムにより、迫力あるサウンドを提供。Dolby Atmosにも対応した15 のスピーカーが4次元サウンドを生み出す。助手席および後席の乗員も、4Dサウンドをヘッドフォンのオーディオコンテンツで体感することができる。 オプションのファーストクラスパッケージを選択すると、後席をさらに快適な空間にすることが可能。ウッドトリムを用いたセンターコンソールは、マイバッハEQS SUVのファーストクラスパッケージのために再規格されたデザインだ。独立した左右後席の間には、専用シャンパングラス収納部と脱着可能な大型クーリングボックスを装備。センターコンソールには格納式テーブルと温度調整機能が備わったカップホルダーが配置されている。標準装備されているシートベンチレーターに加え、ファーストクラスパッケージを追加することでセンターアームレストヒーターも装着される。 走りに関しては前後アクスルに電動パワートレイン(eATS)、電気モーターには永久磁石同期モーター(PSM)を採用。PSMはACモーターのローター(回転子)に永久磁石が取り付けられているため、ローターには通電の必要がない。電気モーターは三相の巻線をふたつ備える六相式を採用しているため、きわめて強力。最高出力は658馬力[484kW]、最大トルクは955N・mを発生。WLTCモード一充電走行距離は640kmだ。トルクシフト機能によってフロントとリヤの電気モーター間で駆動トルクの連続可変配分が行われるため、前後駆動力配分はつねに効率的かつ最適化されている。 足まわりには連続調整ダンパーADS+を備えたAIRMATICエアサスペンションを標準装備。最大 35mm車高を上げることができる。 大きなボディ、長いホイールベースを持つマイバッハ EQS SUVだが、リア・アクスルステアリングが標準装備されているため、コンパクトカー並みに容易に扱うことが可能。最小回転半径は 5.1mだ。リア・アクスルステアリングはステアリング操作だけではなく、ブレーキやサスペンションなどの車両ダイナミクスコントロールに統合制御されている。

TAG: #マイバッハ #発売
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツ日本と千葉市が手を組んだ! 包括的な連携に関する協定を締結

EQE 350 4MATIC SUVを無償貸与 2024年7月24日、メルセデス・ベンツ日本(MBJ)ならびにメルセデス・ベンツ・ファイナンス(MBF)は、千葉市と包括的な連携に関する協定を締結した。 2024年1月、MBJ/MBFは本社を千葉市に移転。国家戦略特区であり国の「脱炭素先行地域」に指定されている千葉市に本社を構えることで、カーボンニュートラルに向けた取り組みやEVの普及活動の加速化を図っている。 今回の連携を機に、MBJ/MBFと千葉市はさまざまな分野で協業を進める。 脱炭素社会実現に向けて、MBJは千葉市へEQE 350 4MATIC SUVを1台無償貸与。また、イベントなどでの啓発や充電器設置の促進を通して、EVの普及を促す。 災害レジリエンスの向上については、EVなどを活用した災害時の体制整備や災害利用の啓発を推進。 幕張新都心をはじめとした千葉市のまちづくりに関しては、双方の事業や資源の連携によって、さらなる街の賑わいの創出や未来を担う人材の育成を図る。 文化・スポーツ面では、MBJが行う文化・芸術支援活動やスポーツ・スポンサーシップ活動を通じた取り組みなどによって、地域の活性化に取り組んでいく。

TAG: #千葉市 #協定
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツ「EQB」が新たなエクステリアデザインに生まれ変わった! マイナーチェンジで充電走行距離も557kmにアップ

7人乗りジャストサイズSUVが全方位に磨きをかけて登場 メルセデス・ベンツのEVコンパクトSUVで7人乗り3列シートを備える「EQB」が、主にバッテリーまわりの変更による一充電走行距離の伸長と、エクステリアデザインをブラッシュアップして、6月13日から予約注文受付を開始した。 EQBは、全長4685mm、全幅1835mm、全高1705mm(いずれもEQB 250+の値)と日本の道路環境下において取りまわしのしやすいサイズでありながら、2830mmと長いホイールベースを活かした最大7名の乗車や積載性の高さなど、日常の使い勝手も両立させた電気自動車となっている。そして、これまでのメルセデス・ベンツの特長である安全性、操縦安定性、快適性、利便性、品質などを高いレベルでバランスさせているのが特徴だ。 そんなEQBは、EQB 250+は6月13日から、EQB 350 4MATICは7月下旬ごろから納車が開始される予定だ。 両グレードには駆動方式の違いによるパワートレインの構成や最高出力にも違いが生まれている。 EQB 250+はフロントアクスルに交流同期電動機が搭載され前輪を駆動する。最高出力は190馬力(140kW)で最大トルクは385N・mを発揮し、十分な加速力を持ちながら、内燃機関の自動車から乗り換えても違和感を感じないスムーズな制御を行っているという。車体へのモーターの搭載方法を工夫し、モーターからの振動や騒音が車内に伝わらないよう配慮し、静粛性も高めている。 一方のEQB 350 4MATICは、フロントアクスルに交流誘導電動機を1基、リヤアクスルに交流同期電動機を1基搭載して四輪を駆動する。最高出力は292馬力(215kW)で最大トルクは520N・m(いずれも欧州仕様参考値)を発揮し、前後アクスル間のパワーバランスを走行状況に応じて毎秒100回の頻度で高度に調整する。メインはリヤの電気モーターだが、高負荷がかかる場面などではフロントの電気モーターをサポートとして使うことで電力量消費率を最適化する。それと同時に、フロントアクスルの誘導モーターの部分負荷域における引きずり損失を最小限に抑えることを基本思想としている。 EQBの高電圧バッテリーはリチウムイオン電池を採用しており、前後アクスル間のフロア部に搭載されている。EQB 250+のバッテリー容量は70.5kWh、WLTCモードの一充電走行距離は557kmとなる。なお、充電に関しては、6.0kWまでの交流普通充電と100kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応している

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TEXT:TET 編集部
2030年に保有全車のZEV化を目指すMKタクシーに新車種追加! 9車種目のZEVはコレだ!

MK全体ではすでに184台ものZEVを保有 「MKタクシー」の愛称で知られる京都に本社を構えるタクシー会社大手のエムケイ(以下、MK)は、国が進める二酸化炭素排出ゼロに向けた取り組みとして、積極的に自社のタクシー・ハイヤーの全車ZEV(ゼロエミッション・ビークル)化を進めている企業だ。 2024年3月には、京都でエネオスホールディングスとアメリカのample社と共同でバッテリー交換式ステーションを開設し、バッテリー交換用に改造された日産リーフを用いて実証実験を開始するなど、環境対策への取り組みはZEV車両の導入だけに留まらない。 2024年5月末時点でMKグループ全体のタクシー・ハイヤー保有台数は842台。そのうちZEV車両は184台で全体の約22%に達する。 すでにMKグループ全体では、2022年2月をもってLPガスを燃料としたタクシー専用車の運行を終了しており、現在はハイブリッド車と低燃費ガソリン車、それにZEVで構成している。保有するZEVのメーカーと車種は、日産のリーフ、サクラ、アリア、ヒョンデのアイオニック5とコナ、BMWのi7とiX、それにトヨタのクラウンセダンFCEVの計8車種だ。 MKグループは、2030年までに保有するタクシーとハイヤーの全車ZEV化を目標として掲げている。そこまでの中間目標として、2025年に保有車両のZEV率を30%まで引き上げようとしている。すでに約22%までZEV化が進んでいるので、あながち無理な数字ではないように思える一方で、車種ラインアップを拡充しながらZEV率を向上させているのは興味深い動きだ。 LPガスないしはガソリンエンジン車が全盛であった頃のタクシー業界は、タクシー専用車だったこともありトヨタのクラウンコンフォートとクラウンセダン、日産のセドリック、クルーに集約され、バリエーションの乏しさを感じたものだ。しかし、ここにきてタクシー各社がZEV化に向けさまざまな車種を手探り的に運用を始めたことで、結果的にバリエーション豊かなタクシーが路上を走り始めていることは、クルマ趣味的な目線で言えば「今日はどんなタクシーに乗れるのかな?」というおもしろ味が生まれてきて好ましい傾向だ。 ZEVの9車種目はドイツの…… そのようななか、2024年6月5日からMKタクシーにとって9車種目となるZEV車両が導入された。それがメルセデス・ベンツのEQEだ。メルセデス・ベンツの中堅サイズに位置するセダンのEQEは、流麗なシルエットのボディを持ちながら、EV専用プラットフォーム「EVA2」を用いることで車内空間を広く保ち、快適な居住スペースを確保している。タクシー運用にあたっても、620kmある航続可能距離ならば、途中で充電することなく終日営業が可能になるとMKは発表している。 今回発表された運用エリアは、京都駅八条口、大久保のりば、祇園サンキンのりばなど、京都府内のMK専用のりばを起点としたエリアだ。初乗り運賃は1kmごと500円、以降279mごとに100円が加算されるのは通常のタクシーと変わらないが、車種を指定した場合には別途2000円の車種指定料金が発生する。なお、貸切にも対応しており、最初の1時間が1万6750円、以降30分ごとに2950円が加算される料金設定だ。EQEを貸し切って優雅に寺社巡りなんていうのも粋かもしれない。 電気自動車ならではの静粛性と、EQEならではの快適空間、さらに接客サービスの面で高い評価を受けるMKタクシーの組み合わせで、京都観光をより楽しんでみてはいかがだろうか。

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TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツ唯一の3ボックスセダンEV「EQE」に特別仕様車! 「EQE 350プラス エレクトリックアート」は日本限定30台

限定30台でふたつの異なる仕様を用意 メルセデス・ベンツ日本は、同社で唯一の3ボックスセダンタイプで電気自動車(EV)の「EQE」に、日本で限定30台のみの特別仕様車「EQE 350プラス エレクトリックアート」をラインアップ。2024年5月29日から予約注文の受付を開始したことを発表した。 EQEは専用プラットフォームを採用しているだけでなく、EVならではのパッケージの有用性を活かした空力に優れた「キャブフォワードデザイン」のエクステリアを持ち、面構成や継ぎ目の少なさなどを徹底した結果、量産乗用車では最高レベルの低い空気抵抗値を達成している。EVならではの低重心さがもたらす操縦性の高い走りも魅力のひとつだ。 リヤアクスルに電動パワートレイン(eATS)を搭載し、最高出力292馬力(215kW)を発生。リチウムイオンバッテリーのエネルギー容量は90.6kWh、WLTCモードの一充電走行距離は617kmを誇る。また、車両を蓄電池として利用し、充放電器を介して車外へ電力を供給する給電機能「V2H(Vehicle to home)」と「V2L(Vehicle to Load)」にも対応している。 そのため、自宅に駐車しているときに充電し、夜間はEQEから家庭に電気を送るといった使い方ができる。これにより、電気代の節約やCO2の削減に寄与することができる。むろんバッテリー容量が90.6kWhもあるので、非常時の電源としても有効だ。 さて、特別仕様車のEQE 350プラス エレクトリックアートだが、日本限定30台とはいうものの、標準車のEQE 350プラスをベースに、仕様とカラーの違いで台数が細かに設定されているので注意が必要だ。 まずは仕様の違い。ひとつ目の仕様は、キャブフォワードデザインを取り入れた伸びやかでクーペのようなエクステリアデザインに、「エレクトリックアートライン」と新デザインの19インチアルミホイールを採用。こちらは15台の販売を予定している。 ふたつ目の仕様は、「AMGラインエクステリア」やパノラミックスライディングルーフを採用したAMGラインパッケージこちらも15台の限定モデルとなる。 そしてボディカラーの違いによる台数の内訳だが、エレクトリックアートライン仕様の15台のうち、ポーラーホワイトが5台、オブシディアンブラックが10台となる。メーカー希望小売価格は両カラーともに消費税込み1040万円。 一方のAMGラインパッケージ仕様は、オブシディアンブラックが5台で1156万5000円。オパリスホワイトとアルペングレーが各5台で1169万9000円だ。このため、仕様とカラーの組み合わせによっては、かなり希少性のある個体が誕生することになる。 両仕様とも、高電圧バッテリーから発生する廃熱を車内の暖房に利用することで、車内を温める際の消費電力を大幅に削減するヒートポンプを標準装備している。ほかにもiPhoneでクルマの始動やロック操作が可能になるデジタルキーや、SpotifyやAmazon Musicなどの音楽ストリーミングサービスに加え、Youtubeなどのビデオストリーミングをテザリング無しで操作することができる「MBUXエンターテインメントパッケージプラス」を標準採用する。 また、新車購入から5年間または10万kmのいずれか早い方まで保証する「EQケア」や、高電圧バッテリーを10年または25万kmまで保証するプログラムが特別仕様車には付帯される。クリーンエネルギー自動車導入促進補助金は52万円が適用されるため、エレクトリックアートライン仕様であれば実質的な車両本体価格はアンダー1000万円となる。 EQE 350プラス エレクトリックアートは、保証を含めてかなりお得感のある特別仕様車になっている。気になる方はメルセデス・ベンツ正規販売店に急行してほしい。

TAG: #EQE #セダン #メルセデス・ベンツ #特別仕様車
TEXT:山崎元裕
ついにGクラスにも完全電動化モデルが登場! メルセデス・ベンツ「G 580 with EQ テクノロジー」で高級オフローダー界に殴り込み

高級オフローダーの品格を継承 いまから45年前に発売されたGクラス。その車名はオフロード車を意味するゲレンデヴァーゲンに由来し、人気のブランドアイコンとして世界的な名声を確立した。その走破性はもちろんのこと、卓越した耐久性はライバルを大きく超えた存在であり、メルセデス・ベンツによれば、これまでに生産されたGクラスの80%は、現在でもオンロード、オフロードを問わず使用され続けているという。 このGクラスが電動化される。そのような噂がメルセデス・ベンツの周辺から頻繁に聞かれるようになったのはごく最近のことだが、それは現代のテクニカルトレンドを考えれば自然な成り行きでもある。 これまでどおり、オーストリアのシャクル山を臨むグラーツ社で生産されるGクラスの新型BEVモデルの車名は「G 580 with EQ テクノロジー」。そのワールドプレミア・イベントは、アメリカ・カリフォルニア州のビバリーヒルズ、フランクリン・キャニオン・パークで多数の著名人を招いて行われたほか、開催中の北京モーターショーでもほぼ同時に行われている。それはこのG 580に、メルセデス・ベンツがいかに大きな期待を抱いているかの証明といってもよいだろう。 伝説的なデザインランゲージと、ユニークなドライブテクノロジーの融合。G 580というニューモデルをもっともシンプルに表現するのならば、このような表現がベストだろう。 とはいえエクステリアでG 580がその独自性を主張しているパートが皆無であるわけではない。ブラックのパネルグリルはオプションのアイテムとなるが、ボンネットはこれまでのGクラスよりもやや高めのデザインに。リヤホイールアーチエクステンションのエアカーテンなども、同様にG 580に独特なディテールだ。 ほかのGクラスと同様に、オフロード走行の機会が多いG 580ではアンダーボディのプロテクションも重要な設計の課題だった。それはカーボンを含む軽量なミックスマテリアルで成型されたもの。スチールやアルミニウム製のそれと比較して高い剛性を持つほか、長期にわたる腐食防止も実現している。参考までにこのパネルは、厚さ26mm、重さ57.6kgで、50本以上のスチール製スクリューでラダーフレームに取り付けられている。 EQテクノロジーを搭載したG 580のリチウムイオンバッテリーは、12個のセルモジュールで構成されるもの。さらに細かく見ると、それは216個のセルを持つ二重構造のリチウムイオンバッテリーが、3つの冷却レベルの間に12個のセルモジュールールとして搭載される構造。

TAG: #オフローダー #クロスカントリー #輸入車
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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