トヨタ 記事一覧

TEXT:TET 編集部
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献

異なるモビリティを用いるサービスの狙いとは トヨタが9月15日から発売を開始した多目的モビリティの新型バッテリーEV「e-Palette(以下、eパレット)」について、早速そのマルチパーパス性を活かした事例が発表されたのでお伝えしたい。 eパレットが用いられるのは、東京都港湾局が公募したお台場周辺の臨海副都心エリアで進める「シンボルプロムナード公園における次世代モビリティの運行事業者」に、トヨタグループのマーケティングサービスやモビリティサービス事業などを展開する「トヨタ・コニック・プロ」と、運転管理業務やバス事業などを営む「大新東株式会社」の2社による共同事業体が東京ベイ賑わい創出コンソーシアムの一員に選ばれ、10月10日(金)からeパレットを活用した次世代モビリティサービス「PALETTE RIDE(パレットライド)」だ。 そこでは臨海副都心エリアの各事業者と連携しながら、モビリティの力でエリア全体の回遊性を高め、街全体を活性させることを目的に、パレットライドをはじめとした全3種類のモビリティサービスを展開するという。 eパレットのマルチパーパス性を活かしたふたつのサービス 先陣を切るのはトヨタeパレットを用いたパレットライド。10月10日(金)からシンボルプロムナード公園において、ゆりかもめの台場駅付近からセントラル広場を通り、東京臨海高速鉄道りんかい線の東京テレポート駅、そして青海に新たに登場したアリーナ施設「TOYOTA ARENA TOKYO」や、夢の大橋東側までを繋ぐ基本運行ルートを往復する移動サービスが開始される。 年末年始を除く毎日10時から20時(10月中は11時から18時まで)まで約5~15分間隔で運行され、しかも運賃無料で利用することができるのだという。TOYOTA ARENA TOKYOでイベントが開催される際や、公園内で開催されるイベントや混雑状況によっては、運行時間や運行ルートが変更になる場合があるというので、最新情報はパレットライドの公式サイトで確認いただきたい。 ふたつ目のモビリティサービスは、eパレットの高い空間性を活かした「PALETTE MARCHE(パレットマルシェ)」の実施だ。 これはeパレットをさまざまな店舗形態に換装し、東京テレポート駅周辺の「夢の広場」などでドリンクやフード、トヨタ自動車やバスケットBリーグ「アルバルク東京」などのグッズ販売を10月10日から開始するというもの。こちらも、時期やイベント等に合わせて開催日程や場所などが適宜変わるため、公式サイトでスケジュールを確認してもらいたい。 歩行支援モビリティ「C+Walk」を用いたシェアリングサービスも実施予定 3つ目のモビリティサービスは、eパレットではなくトヨタが開発した歩行支援モビリティ「C+walkシリーズ」を用いた「小型モビリティレンタル(仮称)」だ。 11月末以降からサービスを開始する予定だというこのサービスは、散歩コースとしても最適な青海・お台場エリアの周遊に、最高速度6km/hで操作が簡単な歩行支援モビリティの「C+walkシリーズ」をシェアリングするというもの。いわゆる貸出返却場所となるポートは、シンボルプロムナード公園内に数か所設置予定だという。 トヨタ・コニック・プロは、今回のプロジェクトに対し次のようにコメントしている。 「パレットライドは、まちの魅力を創出する新たなモビリティサービスとして、自治体や地域事業者との連携を深め、さまざまな取り組みに挑戦していきます。これからのサービス展開にご期待ください」 東京ビッグサイトからゆりかもめの駅を挟んだ向こう側から、台場駅の方向まで長く伸びるシンボルプロムナード公園は、ジャパンモビリティショー開催時にはクルマを複数台展示しても歩行に支障がないほど歩行エリアは広く、景観の良さに加え毎週末さまざまなイベントが開催されることから多くの人出で賑わう人気エリアだ。そのエリア内の移動を環境負荷の少ない2種類のEV、eパレットとC+Walkで利便性を向上させるこの取り組み。10月30日からのジャパンモビリティショーをはじめ、各種イベントなどでお台場を訪れた際に利用してみてはいかがだろうか。

TAG: #C+Walk #eパレット #トヨタ #次世代モビリティ
TEXT:小鮒康一
ロードスターにRAV4! リーフやi-MiEVの前から日本のメーカーはEVに取り組んでいた

メーカーによる試作コンバートEVを振り返る いまでは街なかで見かけても特別感もなくなり、すっかり日常に溶け込んだ感のあるEV。しかし、過去にはさまざまなクルマをベースにEV化を実現したカスタマイズカーやコンセプトカーが数多く存在していた。 なかには実際にナンバーを取得したり、市販されたりしたモデルもあったのだが、今回はそんな黎明期に生まれたEVモデルを振り返ってみたい。 トヨタRAV4 2025年度内に新型の6代目モデルの登場がアナウンスされている、トヨタのクロスオーバーSUVであるRAV4。新型はハイブリッドとPHEVの2種類のパワートレインが用意される電動車となることが明らかとなっているが、じつは初代モデルにはいち早くEVが存在していた。 1996年8月に発売を開始したRAV4のEVモデルは、3ドアモデルをベースに高効率永久磁石式同期モーターと世界初のニッケル水素バッテリーを搭載。 高性能回生ブレーキや、ヒートポンプ式エアコン、電動油圧パワーステアリング、フロントシートヒーターなど、現代のEV車が多く採用している要素を多く採用していた。 満充電時の航続距離は215km、駆動方式は前輪駆動で価格は495万円と決して安いものではなかったが、官公庁や法人ユースで選ばれることもある1台だった。 日産プレーリージョイ 前輪駆動レイアウトの乗用車をベースとしたミニバンタイプの元祖として、三菱シャリオとともに知られているプレーリー。その2代目の後期モデルとして登場したプレーリージョイをベースにEV化をしたモデルが1997年にリース販売されている。 この車両にはソニー製のリチウムイオンバッテリーが搭載されており、市販車初のリチウムイオンバッテリーを搭載したEVとなっていた。 満充電時の航続距離は200kmで、2000年から国立極地研究所北極観測センターの支援車として使用された個体は、極寒の気象条件でも6年間無故障で稼働し、高い信頼性を誇ったことでも話題を集めたのだった。

TAG: #旧車 #試作車
TEXT:琴條孝詩
こんなオシャレEV商用車がトヨタにあったのか! 英国で大人気の「プロエースEV」は知れば知るほど日本でも乗りたい!!

日本にはないトヨタの商用バン トヨタ自動車が英国をはじめとする欧州市場で展開している「プロエース」シリーズをご存じだろうか。トヨタといえば「プリウス」をはじめハイブリッドカーのパイオニアとして知られるが、近年は欧州を中心に純粋な電気自動車(EV)の展開も進めている。このシリーズでは電動化を積極的に推進しており、とくに英国市場では電動商用バン「プロエースEV」が高い評価を獲得している。日本国内では正規導入されていないため知る人は少ないが、欧州の商用車市場においてトヨタの存在感を示す重要なモデルだ。 <プロエースEVとはなにか? 英国で活躍する商用バンの正体> プロエースは、トヨタがヨーロッパで販売する全長5mクラスのLCV(Light Commercial Vehicle:小型商用車)だ。その歴史を振り返ると、2012年にトヨタとPSAプジョー・シトロエン(現ステランティス)が提携し、PSAからのOEM供給という形でスタートした。しかし、2016年のジュネーブショーで発表された2代目モデルでは、トヨタ・プジョー・シトロエンの共同開発となり、トヨタの技術やノウハウがより深く反映されるようになった。 プロエースEVは、シトロエンe-ディスパッチ、プジョーe-エキスパート、オペル/ヴォクスホール・ヴィヴァーロ-eと兄弟車関係にある。つまり、これらの車両はすべて同じプラットフォームを共有しているが、トヨタならではの品質管理や顧客サービスが加わることで差別化が図られている。イギリスでは2021年から本格的な販売が開始され、英国商用車市場において着実にシェアを拡大している。 <実用性の高さが光る! プロエースEVの優れた性能と特徴> プロエースEVの最大の魅力は、商用車として求められる実用性を妥協なく追求している点にある。モーター出力は100kW(136馬力)でトルクは260Nmと、ディーゼルエンジン車に引けを取らない力強さを発揮する。加えて、EVならではの静粛性と即時応答の加速がドライバーの疲労を軽減する。トヨタはこのモデルを通じて、商用車の電動化が単なる環境対策ではなく、業務効率の向上にもつながることを示している。 バッテリーは50kWhと75kWhの2種類が用意されており、それぞれWLTP基準で142マイル(約228km)と205マイル(約330km)の航続距離を実現。とくに興味深いのは積載量との関係で、軽量な50kWhバッテリー搭載車は最大1253kgの積載量を誇る一方、大容量75kWhバッテリー搭載車でも1000kgの積載量を確保している。これは、多くの電動商用車の課題である積載量の制約を克服した設計といえる。 充電性能も実用的で、DC急速充電では約45分で80%まで充電可能だ。これは、ビジネスユースで重要なダウンタイムを最小限に抑える工夫である。さらに、トヨタのMyToyotaアプリを活用すれば、遠隔でバッテリー残量を確認したり、プリコンディショニング(事前空調)を行ったりすることも可能だ。こうしたデジタル機能は、現代の商用車に求められるスマートさを体現している。

TAG: #商用バン #商用車 #国内未導入モデル
TEXT:TET 編集部
新車価格約3000万円も補助金を使えば半額で買える! トヨタのカワイイ新世代モビリティ「eパレット」の販売がスタート

移動販売車? 小型バス? どっちもOK! トヨタはさまざまなモビリティサービスに活用できる新型バッテリーEV「e-Palette」(イーパレット)を発表。9月15日からトヨタ自らが販売窓口となって受注生産方式での販売を開始した。 このeパレットは、広い室内空間や大型のウインドウガラスがもたらす開放感を活かし、人々の移動手段に用いるだけでなく、移動型店舗や各種サービス空間など、マルチな使い方に対応する設計がなされている。 トヨタが発表した使用例としては、朝晩の通勤時間帯にはシャトルバスとして使用し、日中は充電しながらキッチンカーなどの店舗営業を実施。さらに、夜は広い室内空間を活かして音響や通信機器を設置してスポーツ観戦空間に仕立てるなど、工夫次第で使い方が無限大に広がる可能性があるとしている。 また、車内外に設置されたデジタルサイネージも納入先が自ら編集できるように開発されているから、eパレットの活用シーンに合わせて表示を自由に変更することができる。 モビリティ本来の「ヒトを運ぶ」という観点で言えば、このeパレットも最新電動モビリティのトレンドに則してユニバーサルデザインを採用している。フロアの高さは370mmに抑えられ、大開口スライドドアの採用により、スムーズな乗り降りを可能としている。 加えて、オプションの車高調整機能を使えば270mmまでフロアを下げることが可能になり、電動スロープを使うことで歩道高さ15cmから車いす利用者が自力で乗降することもできるのだという。 レベル4自動運転を見据えた拡張性の高いモビリティ eパレットは、現時点でレベル2相当の自動運転システムに対応が可能なだけでなく、2027年度にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指して、継続的に機能を実装をしていく方針が明らかにされた。 これらの実現には、トヨタの車両制御インターフェース「VCI(Vehicle Control Interface)」に対応して開発された、さまざまな会社が開発する「ADK(Automated Driving Kit)」と呼ばれる自動運転制御ハードウェアやソフトウェア、カメラ、LiDARといったセンサーなどを含む自動運転システムを搭載することで行われる。 そして、システムの堅牢性や信頼性を高めるための冗長システムを搭載した車両制御システムと、自動運転システムの接続を標準化し、安全・安心な走行の実現を目指す。さらには、自動運転用の運行管理システムとの連携も将来的には可能になる見込みだ。 eパレットは自動運転だけでなく、従来通り運転手自らが操作することも可能だ。ステアリングの操作量を軽減することで、運転手の負担を軽減する「ステアバイワイヤシステム」を導入し、異形ステアリングを採用するなど、コクピットまわりにも先進性が感じられる。 eパレットはバッテリーEV車両なので、充電方式が急速と普通の両方に対応しているのはもちろんのこと、給電機能も持ち合わせているので、非常時の電源として活用されることも期待されている。 eパレットのメーカー希望販売価格は税込2900万円からとなっているが、2025年9月15日時点では環境省の「商用車等の電動化促進事業」対象車両のため、1583万5000円の補助を受けることが可能だ。 全長約5mで、座席と立席を含めた乗車定員は17名、一充電航続距離は約250kmという適度にコンパクトで開放感のあるデザイン。そしてさまざまな活用シーンが想像できる汎用性の高さに加え、レベル4自動運転の実現に向けたプラットフォームとしての拡張性の高さなど、トヨタが言う「新世代モビリティ」としてのポテンシャルは十分以上といえそうだ。今後街中で目にする機会が増えることを願いたい。

TAG: #eパレット #トヨタ #新型車情報 #次世代モビリティ
TEXT:高橋 優
日本のEVは世界でどのぐらい売れてる? 販売動向の現在を探ってみた

2025年の日本メーカーのEVシフト動向を調査 日本メーカーの2025年上半期の最新EV販売動向が判明しました。EVシフトで遅れているといわれている日本メーカーの立ち位置と下半期以降の注目EV動向を含めて解説します。 まず、トヨタの最新EVシフト動向を確認します。このグラフはBEVとPHEVの月間販売台数の変遷を示したものです。2022年5月からbZ4X(ハブボルト問題による長期販売停止によって実際の大規模納車開始は2022年10月以降)、2023年3月からbZ3、2025年3月からbZ3X、そして2025年6月からbZ5がそれぞれ発売され、販売台数が大きく伸びています。 他方で、2025年6月度のBEV販売台数は1万7014台と、前年同月比+23.7%の成長を実現しているものの、この1〜2年ほどの販売の伸びと比較すると鈍化しているように見えます。これは、bZ3Xの販売が伸びたもののbZ3の販売が低迷していることが要因でしょう。 さらに、トヨタのEVシフトで気になるのが、BEV販売台数がヨタの想定よりも順調ではないという点です。トヨタは年度初めにBEVやPHEVの年度販売台数予測を発表し、たとえば2023年度のBEV販売台数目標を、年度当初は20.2万台と予測。ところが年度途中から、その目標達成は不可能として12.3万台まで大幅に下方修正し、結局2023年度のBEV販売台数は11.66万台と、その大幅下方修正後の目標値にすら届いていなかったのです。 さらに2024年度のBEV販売台数目標を、年度当初は17.1万台と発表していたものの、2024年度第二四半期決算で16万台へと下方修正。そのうえ第三四半期決算内で14.2万台にさらに下方修正し、結局2024年度は14万4513台と、最新の下方修正後の目標値をギリギリ達成してきた格好です。 トヨタは、すでに2025年度のBEV販売目標をとして31万台という挑戦的な販売目標を提示しているものの、過去2〜3年のEVシフト達成率を踏まえると、目標達成を懸念せざるを得ないのです。 とはいえトヨタは2025年にEVのラインアップを大幅に拡充する予定です。まず、中国市場について、すでに3月中にbZ3Xの発売をスタートし、6月単体の販売台数は6030台と好調です。また、bZ5が6月から発売開始、2025年度末までに中大型セダンのbZ7も投入予定です。次に欧州市場では、新型bZ4XとともにCH-RのEVバージョンであるCH-R+、またスズキe VITARAの兄弟車となるアーバンクルーザーの発売を予定しています。さらに、欧州と東南アジア向けとしてタイでハイラックスのEVバージョンも生産予定ですし、レクサス2車種目のEVとして、ESのEVバージョンもグローバルに投入予定です。 次はEVのパイオニアである日産のEVシフト動向です。このグラフは日産のモデル別BEV販売台数と、新車販売全体に占めるBEVの販売シェア率の変遷を示したものです。日産は、2022年末にBEV販売シェア率が6%を突破するなど順調でしたが、2023年以降、EV販売シェア率は減少トレンドに。実際に2025年2月単体のシェア率は2.56%と最低水準のシェア率に留まってしまっていました。とくにアリアの販売台数が思ったほど伸びず、モデル末期のリーフの販売失速も重なったことが要因でしょう。 その一方で、現在日産でもっとも売れているEVがN7です。4月末にローンチしてから急速に販売台数を増加させ、最新データが判明している7月単体では6455台と絶好調です。8月は生産体制を増強して1万台の生産台数を計画するほどです。新車販売全体に占めるBEVシェア率も4.63%と、2023年1月以来となる高水準を記録しています。 とくにN7は、海外へ展開する方針も表明しながら、さらに欧州市場にはマイクラEVを投入。そしてグローバル全体では新型リーフも投入されます。もしかしたら2026年3月単体で、史上最高の10%近いBEVシェア率を達成するかもしれません。

TAG: #EV販売台数 #国産車
TEXT:山本晋也
これがトヨタの本気だぜ! 新型bZ4Xの日本導入が待ち遠しい!!

「bZ4Xツーリング」が登場! トヨタが初めてEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用して開発したのがbZ4X。日本では2022年からリース販売を開始、2023年11月にはリアルな航続距離を伸ばすなどの改良を施したうえで一般販売を始めている。同ブランドのEV戦略において、リーダー役を任されたモデルだ。 もっとも、日本においてトヨタには「エンジン車を大事にするブランド」というイメージがある影響なのか、bZ4Xの販売は好調とはいえない。月販2桁であることがほとんどで、現実的にはニッチ向けのレアモデルとなっている。 スペック的には、総電力量71.4kWhのバッテリーを積み、エントリーグレードのFWD車では567kmと余裕の一充電走行距離を誇る。急速充電についても150kWの高出力タイプに対応するなど、ライバルと比べて見劣りするわけではない。正直、なぜここまで日本市場で存在感が薄れているのか不思議なくらいだ。 そんなbZ4Xに商品改良の動きが見えてきた。 2025年3月には欧州にて商品改良の内容を発表、2025年5月には欧州で「bZ4Xツーリング」、アメリカでは「bZウッドランド」と名付けられたストレッチバージョンを発表した。全長が140mm伸びて4830mmとなった、この新バリエーションは日本でも「bZ4Xツーリング」の名前で発売されるという。 まずは欧州で発表されたbZ4Xの改良内容から整理してみよう。 外観ではフロントバンパーの形状が大きく変わっていることが目立つ。従来モデルはどこかのっぺりとした顔に見えるが、新型ではロアグリルまわりがスクエアに飛び出した形状となり、アグレッシブな印象さえ与えてくれる。 こうした顔の変化に合わせてパフォーマンスも向上している。現在、販売されている日本仕様の最高出力はFWDで150kW、4WDで160kWとなっているが、欧州で発表された新型bZ4Xの最高出力は252kWと大幅なパワーアップを果たした。

TAG: #改良 #新型
TEXT:TET 編集部
「bZ4Xツーリング」の車名で日本でも2026年春に発売予定の新SUV! トヨタ bZ4Xのワゴン版となる「bZ Woodland」を北米で発表

BEV需要が堅調な北米に新たなトヨタのBEV選択肢 トヨタのバッテリーEVシリーズである「bZ」は「Beyond Zero」の頭文字から命名されている。そこには、トヨタが作るEVはCO2排出量ゼロという、EVならではの価値に加え、それを超えた価値を届けたいという想いが込められているのだという。 ここ日本ではSUVタイプのbZ4Xが存在し、EVの需要が高い中国においてはbZ3シリーズとしてクーペスタイルのbZ3CとSUVタイプのbZ3Xなどがラインアップされ、今後は大型セダンのbZ7の発売も控えている。欧米でもbZ4XをはじめとしたトヨタのBEVは販売されており、先ごろ進化した改良版bZ4Xが欧州で発表されたばかりだ。 その改良版bZ4Xは、今年後半にも国内で販売が開始されることが予告されているが、今回それとは別に北米向けのbZ4に新たなボディタイプが追加されることが、トヨタの北米事業体「TMNA」の新型車発表イベントで明らかにされた。また、この新たなbZ4は、2026年春ごろから日本での発売を予定しているというから、俄然注目すべき存在なのだ。

TAG: #bZ4X #トヨタ #新型車情報
TEXT:TET編集部
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表

中国市場向けフラッグシップEV「bZ7」初公開​ トヨタは上海モーターショー2025で、中国市場向けの新型バッテリーEV「bZ7」を世界初公開した。​このモデルは全長5mを超える大型セダンでトヨタのBEVラインアップのフラッグシップモデルとなる。​開発は広州汽車(GAC)、広汽トヨタ(GTMC)、およびIEM by TOYOTAが共同で行い、1年以内の発売に向けて引き続き開発を進めていく。 bZ7はトヨタの高品質なモノづくりと中国の先進的な知能化技術を融合し、最新のスマートコックピット、先進の運転支援と安全システムの搭載が予定されている。​ また、同会場では、レクサスの新型「ES」も世界初公開された。​次世代BEVコンセプト「LF-ZC」からインスパイアされた新デザインを採用し、BEVおよびHEVの両モデルを展開。​より上質で快適な移動空間を実現したモデルとなっている。 ​ マルチパスウェイ戦略で中国での市場開拓を加速 トヨタはカーボンニュートラルの実現を目指し、「マルチパスウェイ」戦略のもとで HEV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池車)、BEV(バッテリーEV)という多様な電動パワートレインを展開している。 中国市場でもこの方針は揺るがず、フラッグシップBEV「bZ7」や電動化を強化した新型「ES」の投入によって、現地ニーズに即したラインアップを着実に拡充。トヨタは今後も選択肢を広げながら、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた取り組みを加速させていく構えだ。

TAG: #BEV #上海モーターショー #新車
TEXT:山本晋也
スズキのEV「eビターラ」には兄弟車が存在! まったく顔が違う「トヨタ・アーバンクルーザー」がこれまたイケてる!!

スズキ初のEVが登場! インドを軸とした海外展開により絶好調なスズキ。2024年11月に発表された同社初となる量産EV(電気自動車)の「eビターラ」もインドで生産されることになっている。そして、eビターラは2025年夏に日欧印をはじめ世界で発売することも発表済みだ。 ビターラ(VITARA)というネーミングについて、日本では馴染みが薄いかもしれないが、もともとはエスクードの海外名として使われてきた伝統ある名前。コンパクトなSUVスタイルのEVをグローバル展開するにはピッタリの名前を選んだともいえる。 そんなeビターラのボディサイズは、全長4275mm・全幅1800mm・全高1635mm・ホイールベース2700mmと発表されている。 現時点で、スズキの国内ラインアップにおいてフラッグシップ的ポジションにあるSUVモデル「フロンクス」のボディサイズは、全長3995mm・全幅1765mm・全高1550mm・ホイールベース2520mmであるからサイズ的にはスズキの新しいフラッグシップモデルとなりそうだ。 筆者もスズキが日本国内で展示したeビターラを間近で見たが、たしかにスズキのラインアップを考えれば立派なサイズであり、またスクエアなボディはスズキの国内フラッグシップとしてふさわしい存在感があるという印象を受けた。 そんなeビターラには欧州向けに姉妹車が登場することをご存じだろうか。 それがトヨタ・アーバンクルーザーである。 写真を見てもわかるように、eビターラとの違いはハンマーヘッドデザインとしたフロントマスクに集中している姉妹車で、ドアパネルはもちろんアルミホイールの意匠まで共通。左フロントフェンダーに置かれた充電ポートリッドに“BEV”のロゴが入っているのもトヨタ流のブランディングといったところだろうか。 すなわち、アーバンクルーザーはスズキが生産、トヨタが供給する典型的なOEMモデルと理解することができる。

TAG: #eビターラ #アーバンクルーザー #スズキ #トヨタ
TEXT:高橋 優
トヨタはEV「も」本気! ランクルやハイラックスも含めて新型EVが続々登場する!!

2026年末までに6車種の新型EVを投入 トヨタが欧州市場において年次製品戦略イベントを開催し、最新のEV戦略を発表しました。2026年末までに、ランドクルーザーEVを含めた合計6車種のBEVを投入する方針を表明しながら、レクサスからもステアバイワイヤーなどの最新テクノロジーも発表されました。とくに注目するべきはトヨタブランドにおいて、2026年末までに6車種の新型BEVを投入する方針を表明した点です。 まずはbZ4Xの2026年モデルとして、EV性能や装備内容を大幅にアップデートした改良モデルを投入します。現在、bZ4XはDセグメントの電動SUVというカテゴリーにおいて欧州トップ5の人気を誇っているものの、電費や冬場の充電性能などの問題点が指摘されていました。そこで新型bZ4Xでは、57.7kWhと73.1kWhのふたつを設定することで、さらにユーザーのニーズをカバーします。また、より高効率な炭化ケイ素インバーターを採用することで効率性だけでなく動力性能もアップ。AWDの場合、最高出力は252kWと、現行型の160kWと比較しても向上。よって欧州市場で重要視される牽引能力も、これまでの750kgから1500kgへと倍増されました。 さらに、エクステリアデザイン、とくにフロント部分が空力性能の最適化によって、より滑らかさを感じるデザインに変更。これによって航続距離はWLTPサイクルで最長573kmと、現行モデル比50km以上の延長を実現しました。 そして何といっても、ついに待望されていたバッテリーの温度調整システムが搭載されました。これは急速充電ステーションを目的地にセッティングすると、自動で電池ヒーターが作動して急速充電性能を最大化してくれるという機能です。さらに、手動での調整モードも用意。現行モデルで指摘されてきたEV性能の低さを改善してきた格好です。欧州市場では2025年夏頃に正式発売がスタートする予定ですが、日本国内でも導入されるはずなので期待です。 次に、bZ4Xよりもひとまわり小さいC-HR+というバッテリーEVを発表しました。C-HR+はbZ4Xと同様にe-TNGAプラットフォームを採用しながら、全長4520mm、全幅1800 mm前半、ホイールベースが2750 mmという欧州で人気のコンパクトSUVセグメントです。 電池容量について、エントリーグレードはbZ4Xと同じ55.7kWhを共有しながら、さらに77kWhのロングレンジグレードも追加し、最長で600kmの航続距離を確保。充電性能は最大150kW級に対応。 さらに、FWDだけでなくAWDもラインアップすることで、最高出力は252kWを発揮。よって時速100kmまで到達するのに5.2秒と、GRシリーズを除いてもっともパワフルなモデルになります。 C-HR+は2025年末までに欧州の一部地域において正式に発売スタートしながら、2026年にかけて欧州全土に投入されます。はたしてbZ4Xと比較してどれほど安価に発売できるのか。ハイブリッドモデルが3万3990ユーロ、PHEVモデルが3万8490ユーロで発売されていることから、3万7000ユーロあたりで発売されることが予想できるでしょう。

TAG: #新型車 #欧州
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
more
コラム
モニターもなきゃ急速充電もない……がなんの問題もない! N-ONE e:のエントリーグレードは「EVの本質」を追求したクルマだった
再生中の日産が早くもヒット作を生み出した! あえて日産らしさを封印した「N7」のデザインに天晴れ!!
なぜBYDは軽EVを日本に導入するのか? 現在じゃなく未来を見据えた周到な戦略とは
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
ホットハッチ大好き英国人も唸らせたホンダ「スーパーワン」! 2026年の発売を前にプロトタイプを日本初公開【ジャパンモビリティショー2025】
2026年春発表予定のSUBARU「トレイルシーカー」 BEVであってもお客様第一主義と安全性へのこだわりは健在!【ジャパンモビリティショー2025】
ダイハツ「ミゼットX」はただの軽貨物車じゃない! ママチャリに代わる大発明モビリティだ【ジャパンモビリティショー2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択