重要なのは保証ではなく使い終わったあと
メーカー保証の視点では、各自動車メーカーがどれほどの台数のEVを販売してきたかによって、保証への自信が違ってくるだろう。多くのEVを売った実績があれば、胸を張って長期間・長距離の保証を宣言することができる。
エンジン車では、保証について日常的に意識する機会はほぼないのではないか。同じようにEVも、保証期間や距離の長短が問題にならない時代になることが重要だ。それは、商品価値の安定性につながる。
いまBYDの保証が飛び抜けているが、保証内容の差を意識しない時代の訪れを期待すべきだろう。

そのうえで、たとえばBYDの10年30万kmの保証を前提に考えても、中古EVとして使われたあともなお、バッテリー容量は約70%を残すことになる。そのバッテリーを、再利用する事業が下支えしなければ、資源の無駄遣いになる。
そこが、自動車メーカーの責任であるのかどうかという疑問があるかもしれない。
それでも、日産は世界で唯一EVのあとのバッテリー再利用を事業化している。傘下のフォー・アール・エナジー(4R)社がそれで、初代リーフ発売前に創業した。かたや世界のほかの自動車メーカーは、リチウムイオンバッテリーの再利用を検討していても、実証実験段階にとどまっている。
新車や中古車のバッテリー保証も大切だが、EVで使われたのあとのリチウムイオンバッテリーの行方が十分に考慮されるべきだ。

また、長期保証が成立したリチウムイオンバッテリーであっても、普通充電を常用するのがより確実な長寿命化につながる。したがって、自宅や勤務先などでの普通充電(基礎充電)の整備と、目的地充電としての普通充電の普及が、EVの有効活用に不可欠であることが改めて認識されるべきだ。
急速充電を繰り返してもバッテリー容量が落ちにくいことが偉いのではない。急速充電の機会を減らせる社会構造の構築が求められるのである。

ノルウェーではEVが90%以上普及している。背景にあるのは、たとえ集合住宅であっても、住民がコンセントの設置を要望すれば拒否できない制度が導入されていることだ。
東京都では、新築マンションに充電設備の設置が義務づけられているが、義務化より、EVの利用を断念させないノルウェーのような制度がより望ましいのではないだろうか。この制度設計は、補助金のような予算はいらず、政治や行政が動けばタダで済む。
そのうえで、EVのバッテリー保証が充実し、EVのあとのバッテリー再利用が当たり前になってはじめて、21世紀の循環型社会(サーキュラー・エコノミー)が完成するのである。






















