バッテリー残量はあくまで「推定値」
駆動用バッテリーの充電残量は、どのように計測されているか? ガソリンなど液体燃料の場合は、燃料タンクの中にある液体の量を、フロートと、その上下の動きを電気的に検出するセンサーで測っている。しかし、電気をそのような物理的なもので測ることはできない。バッテリーの充電残量は、電圧、電流、温度などを基に推定し、メーターに表示される仕組みだ。
推定と聞くと、なんだかいい加減な推測値に思うかもしれない。だが電気は、電圧と電流によって電力量が決まり、それは正確なデジタル量として数字で明らかになる。それを充電残量の表示に活用する。
ただ、EV利用者なら経験済みだろうが、充電でも放電でも夏と冬では性能に差がある。もちろん、寒すぎたり暑すぎたりという条件は極端だが、一般的には冬の方が厳しい使用条件になる傾向がある。このことはEVに限らず、電池を使う家庭電化製品やスマートフォンなどでも体験することだろう。
それでも、そうした条件を加味すれば、電圧と電流の大小によって電力量を明らかにし、それによって使われた電力がわかれば充電の残りを推定することは可能だ。
リチウムイオンバッテリーのSOC(State of Charge=充電量)の誤差は、プラスマイナス5%といわれる。ちなみに鉛酸バッテリーではプラスマイナス7%とされるので、リチウムイオンバッテリーの充電残量の推定はより正確になっているといえそうだ。そしてEVの開発と販売の経験値が増えるほど、推定は正確さを増していくことになる。
そのうえで、バッテリーはいずれにしても劣化するのであり、SOH(State of Health=バッテリー容量)の変化も視野に入れておく必要がある。新車当時は満充電で100%充電できたものが、永年の使用で100%ではなく、90~80%までしか充電できなくなる可能性がある。
そうなると、電力量としての充電残量は、そもそも充電を終えた直後でも1~2割を差し引いた数字にしかならないということになる。
SOHで示される劣化は、EVはもちろんスマートフォンなどでも起きることで、これをできるだけ遅らせて永くバッテリーを利用するために推奨されるのが、普通充電(200V)での充電だ。また1回の充電量も、80%前後に止めておくのがよいといわれる。この点もスマートフォン同様だ。走行距離の長さに関係するEVの充電量はより重要で、出掛ける直前に100%まで充電し、出発する使い方がよいと考えられる。
ちなみに日産の技術者によれば、普通充電を主体的に使う場合、100%充電を繰り返しても現在のEV用リチウムイオンバッテリーはそれほど劣化しないと語る。ただしこの言葉は、日産車の場合という前提が付くかもしれない。それほど日産は、初代リーフの発売以来、EV用リチウムイオンバッテリーの経験値が豊富にある。
とはいえ、普通充電を重視するのはどのEVにおいても同じであり、ほかのメーカーのEVもバッテリーの進歩によって劣化は次第に抑えられてきていると考えられる。
いずれにしても、そうしたさまざまな経験を踏まえながら、電圧と電流というデジタルな数字で管理されるバッテリーの充電残量は、直接物理的に計測しているわけではないが、ほぼ正確に表示されていると思っていいだろう。




















































