革新的な商用EVバンはクルマそのもの以外に製造面でも高評価
双日の100%子会社「Kia PBV ジャパン」が2026年春から日本での販売を予定し、先日のジャパンモビリティショー2025にも展示された韓国のKia(キア)が2025年に発表した商用EVバン「The Kia PV5」が、商用車業界の世界最高権威「2026年インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」を獲得した。
「インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」は、欧州各国の小型商用車(LCV)を専門とする記者団で構成された非営利機関「IVOTY(International Van of the Year)」が主催して選定する賞で、1992年から34年にわたり続いている小型商用車業界でもっとも権威のある賞だ。その長い歴史において、PV5は韓国ブランドとして初の受賞であると同時に、日本を含むアジアの小型商用EV全体を見渡しても初の受賞となった。

その選定理由についてIVOTYのジャーラス・スウィーニー委員長は、「KiaのPV5は優れた性能、効率的なEVプラットフォーム、顧客中心の設計で審査団に強い印象を残した」と述べ、続けて「とくに26名の審査委員の満場一致で選出されたことは、PV5が商用EV市場において実用的な革新を実現する新たな基準であることを示す」と評している。
PV5はKiaにとって初のEV専用PBV(Platform Beyond Vehicle)モデルであり、PBV専用EVプラットフォーム「E-GMP.S(Electric-Global Modular Platform for Service)」を基盤に、あらゆるニーズに応えるハードウェアと、最適なビジネス環境を支援するソフトウェアソリューションが統合された、新しい概念のミディアムEVバンだと定義される。フラットなフロアがもたらす広い室内よび荷室空間に加え、さまざまなボディが搭載可能な構造を備え、柔軟にライアンアップを拡張できることが特徴だ。

さらに、前方の多重骨格構造やバッテリー保護設計、超高張力鋼の拡大適用、先進安全装備やペダル踏み間違い時加速抑制装置などにより、高い安全性も確保している。加えて、派生モデルの生産過程においては資源の無駄な浪費を抑える設計思想を取り入れているほか、さまざまなサステナブル素材を採用するなど、環境保全と持続可能性を考慮した作りがなされている。
Kiaの宋虎聲(ソン・ホソン)社長は、今回の受賞を受けて「Kiaは長年にわたりEVの革新を牽引すべく努力してきた。PV5はその意志を商用車領域へと広げたモデルだ」とコメント。KiaがこれまでEV9やEV6 GTといったモデルで、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーをはじめとした世界的な権威に認められてきたことを主張。

続けて、「とくにPV5は、多様なモデルを柔軟に生産できる『コンベヤー・セル』結合生産システムなど、製造面での革新も同時に実現した成果であり、今回の受賞は一層意義深い」とも述べている。
Kiaは、2027年のPV7を皮切りに、より大型クラスのPBVシリーズの生産を計画しており、PV5はそのシリーズの成功を占う重要なファーストモデルに位置付けられている。それだけに、開発と製造の両側面から高い評価を受け、革新の正当性が証明されたということは、シリーズの今後にとって非常に大きなマイルストーンといえるだろう。
世界的な評価を獲得したKia PV5。果たして2026年春の日本発売後、国内ではどのような評価を得るのだろうか。非常に興味深いところだ。












































