奈良の街を最新輸入EVが走る
近年、輸入車メーカーの電動車ラインアップが増えている。ユーザーとしては、変化の激しい輸入電動車の実情をフォローアップするのが難しいと感じている人がいるかもしれない。
そうしたなか、JAIA(日本自動車輸入組合)が奈良の薬師寺で11月26日、「JAIA創立60周年記念 イベント in 奈良」を開催した。午前と午後に輸入電動車同乗試乗会、また午後3時からは「輸入電動車のDX・GXの取り組み」と題したシンポジウムという丸1日かけた充実のプログラムであった。

試乗会には、フォルクスワーゲングループジャパン・アウディ事業部、BMW、ジャガー・ランドローバー・ジャパン、メルセデス・ベンツ日本、ポルシェジャパン、フォルクスワーゲングループジャパン、ヒョンデモビリティジャパン、そしてステランティスジャパンの9社から合計16台が参加。
今回は、一般ユーザー向けではなく、地元奈良など主に関西地域の自動車関連事業者、交通事業者、そしてメディア関係者向けのプログラムが形成された。
筆者は今回、ステンランティスのジープ「アベンジャー」の運転を担当。薬師寺を起点に、平城京跡など奈良市周辺を巡った。薬師寺は710年に飛鳥の藤原京から平城京に遷都した際、この地に遷った。以来、1300余年が過ぎても奈良の代表的な寺院として参拝する人が多い。

そうした歴史を感じながら、最新EVで奈良を走り、また同乗して頂いた皆さんとEVに関する意見交換をするなかで自動車産業の未来を熟考した。あわせて、シンポジウムでは輸入ブランドの関係者に加えて、社会インフラ関連事業者も登壇したことで、日本のみならずグローバル市場におけるEVや水素関連モビリティの可能性と課題を再認識することができた。
一般的にEV普及に関する課題といえば、新車価格、航続距離、充電インフラを挙げることが多いが、それらを解決しただけでは社会におけるEVの価値が根付かない。

世界的に見ると、EVはいま本格普及に向けた「踊り場」と表現されることが多い。2010年代後半から2020年代前半にかけて、欧州、アメリカ、中国が環境と経済との結びつけた施策を強化したことで大きな投資マネーが蠢いた。行き過ぎた投資はひと段落し、EVは次のステージに向けた踊り場にある。
現時点では「EV本格普及の先行きは不透明」と表現する自動車業界関係者は少なくない。そうした状況にあるからこそ、今回のようなEVや電動車の現状と未来を俯瞰するイベントの価値は高い。














































