理由5 |26年からのF1マシンは半分EVなので市販車にも技術応用は可能
26年からはエンジンとモーターの出力比が2:8から5:5に変更され、よりハイブリッド車やEVに近い特性のレースカーになる。
バッテリー(エナジーストア)への回生エネルギーへの入力も、26年からは2MJから9MJに増えるため、高性能なバッテリーも必要になる。このバッテリーについてはWECで使用している8MJのハイパワー型リチウムイオンバッテリーの知見を大いに活かせる。
理由6|26年はタイミングがいい
26年はトヨタの一連の新電池技術を市場に投入し始めるタイミングとも合う(バイポーラ型LFPは26年、全固体電池は27年の実用化目標)。
さらに出遅れを指摘されるEVのラインナップを拡充するタイミングとも合う。佐藤社長は、26年にEV10車種を新たに投入し年間150万台を世界で販売との目標を発表したし、中嶋副社長も「電池を効率よく使って、航続距離を2倍にし、心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えた次世代バッテリーEV」を26年に投入すると発表している。
F1での活動は、そのプロモーション効果として絶大だ。
EVで存在感を示したいアメリカや中国でF1が開催されることもプラスだ。2024年のF1開催スケジュールでは、北米4戦(アメリカ3戦、カナダ1戦)、中国1戦となっている。
理由7| WECとWRCは無敵状態。WECのライバルは他のチームではなくACOとFIA
トヨタは2023年に、WECでは、5シーズン連続、通算6度目のマニュファクチャラーズチャンピオンを最終戦待たずに確定した。WRCも3年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得しており、この両カテゴリーは無敵状態と言えるのではないだろうか。




WECについては、今年からトップカテゴリーのハイパーカークラスに参戦してきたポルシェ、フェラーリ、キャデラックら、来年からはBMW、ランボルギーニなどの参戦も見込まれているため、苦戦を強いられる可能性はある。
しかし、今年のルマン24時間で起きた大事件を振り返れば、トヨタの最大の敵は、ライバルチームではなく、ACOやFIAだろう。
その大事件とは決勝の10日前に突然BoP(Balance of Performance)が変更され、最低車両重量を37kg増やされたことだ。
これに対してトヨタは必死に抵抗したが、BoPが戻されることはなく、100周年を迎えた伝統のレースは、50年ぶりにトップクラスに参戦したフェラーリが勝利を飾るという映画のような結果で終わった。そしてトヨタは同レースでの6連覇を絶たれた。
F1には、10月8日に決勝が行われたカタールGPのように「全チームに等しく」課せられる安全性を確保するための直前のルール変更はあるが、特定のチームが極端に不利になるようなルール変更はない。
※2005年のF1アメリカGPは、タイヤに問題が発覚したミシュランユーザーチームの提案をFIAが容認しなかっただけで、ルール変更は行なっていない。












































