
一体感を感じる乗り味
シールには、「iTAC (intelligence Torque Adaption Control)システム」がそなわる。前後左右輪のトルクをコントロールして、コーナリング時などの挙動安定をねらうものだ。
これはしっかり働いてくれて、Rの小さなコーナーでアクセルペダルを強めに踏んでみたとき、瞬間、リアが外に出ていこうとするが、すぐにシステムが働いたのだろう、挙動はぴったり元にとおり。安心感を与えてくれるシステムである。
サーキットのパドック前の直線は、みるみるうちに速度が上がる。先行車がいたため185km/hまでしか確認できなかったが、この高速域でも不安感はなく、ドイツをはじめ、グローバル市場を狙う開発陣の意気込みを感じたのだ。
ダンパーは電子制御で、メーカーによると、高速では(言うまでもなく)しっかりした走りを実現し、いっぽう、路面が悪いと快適方向に制御するという。
ただしスプリングの設定はスポーティに振っていて、ゆっくりめの速度で走ると、けっこう硬い、という印象だった。ここもこの先、調整が入るかもしれない。
太いグリップのハンドルを握っていると、電気自動車とかエンジン車とかいうカテゴリーは意識することなく、ただクルマのレスポンスのよさを通して、ドライブしている自分との一体感が強くある。



オーディオも自慢ということだったが、サーキット走行で音楽を堪能するわけにはいかず、これも後の楽しみにとっておくことに。
日本では2024年に発表といい、価格もそのときまでは伏せられるそうだ。日本でも中国のように120kWのチャージャーが、ショッピングモールの駐車場に林立するようなれば、日常的にシールの真価を味わえるだろう。
それがいま、楽しみな”未来”のかたちである。

BYD シール(AWD仕様)
全長:4,800mm
全幅:1,875mm
全高:1,460mm
ホイールベース:2,920mm
車両重量:2,185kg
乗車定員:5名
一充電走行距離:520km
最高出力:390kW(530ps)
最大トルク:670Nm(68.3kgm)/rpm
バッテリー総電力量:82.5kWh
モーター数:前1基、後1基
駆動方式:AWD(全輪駆動)
フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン
リアサスペンション:マルチリンク
タイヤサイズ:前、後
最小回転半径:5.7m
荷室容量:400L(フロント53L)
※スペック値は現地で配布された資料に基づくもので、日本仕様の値はまだ発表されていません。
















































