2023年10月6日、移転リニューアルオープンした「アウディ八王子」に、パワーエックス社「ハイパーチャージャー」の市場第一号機が設置された。
単独で最大150kW、2台同時でも120kWの超急速充電が可能
アウディ ジャパンでは、EVを取り扱う正規ディーラーに150kWの超急速充電器「アウディ ウルトラチャージャー」の設置を進めている。これまではABB社の急速充電器を採用してきたが、今回初めてパワーエックス社の「ハイパーチャージャー」をアウディ ウルトラチャージャーとして採用した。一方、パワーエックス社にとっては、ハイパーチャージャーの市場導入はこれが第一号となる。

ハイパーチャージャーには蓄電池容量179kWhの「コンパクト」と、358kWhの「スタンダード」があり、アウディ八王子が導入したのは後者のスタンダード。充電ポートが2個あり、1ポートだけなら150kWで10分間充電できるブーストモードが機能する一方、2ポート同時充電でも120kWの連続充電が可能である。
「ハイパーチャージャーの強みは、スピードが150kWと国内最速級であることと、2基同時に充電しても120kWで使えることです。充電中に隣にEVが来ても、スピードが半分にならないので、常に短時間で快適に充電できます。そして、蓄電池型ということで、再生可能エネルギーが利用できるのも特徴のひとつです。50kWの商用低圧契約で運用できるため、設置の容易性もメリットといえます」と、パワーエックス社でEVチャージステーション事業部部長を務める森居紘平氏がその強みをアピールする。


大容量の蓄電池を備えるハイパーチャージャーは、50kWの商用低圧契約での運用が可能となり、「キュービクル」と呼ばれる高圧受電設備も不要となることから、他の90kW超級の急速充電器よりも設置や運用のコストを抑えることができるという設置者側のメリットがある。
今後の展開について森居氏は「(アウディディーラーとは別に)来年の早い時期までには都内10カ所にハイパーチャージャーを設置する予定です。来年には100カ所まで直営で増やしていく考えです」と意気込みを語った。


蓄電池型超急速充電器で再エネ利用を加速
前述のとおり、蓄電池型のハイパーチャージャーは、太陽光発電など、再生可能エネルギーを蓄えて、電気自動車の充電に利用することも可能である。実際、アウディ八王子の屋上には定格出力49.5kWの太陽光パネルが設置され、電力需要が低い場面ではハイパーチャージャーの蓄電池に電気を蓄え、必要に応じて急速充電に利用できる。

アウディ八王子のオープニングセレモニーにはアウディ ジャパン・ブランドディレクターのマティアス・シェーパース氏が訪れ、「ハイパーチャージャーを採用するメリットはサステイナビリティです。二酸化炭素を排出せずに得られた電気で走らせることがEVの使命であると考えています。そのために太陽光パネルで発電した電力を利用するには、蓄電池型の急速充電器が不可欠であり、業界初の導入は画期的な取り組みです」と強調する。

現在アウディ ジャパンは、ポルシェジャパンとフォルクスワーゲン ジャパンとともに超急速充電ネットワークの「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」を構築しており、「日本で最も早く、もっとも利便性が高く、最も大きな充電ネットワークをつくるのがPCAのビジョンです」とはマティアス氏。
アウディ ジャパンでは、アウディ正規チーラーにすでに設置されている50kW急速充電器の置き換えと、EVの新規取扱店に超急速充電器の新規導入を進めているが、2023年末までに19基、2024年前半までに30基のハイパーチャージャーを設置する予定だ。“プレミアムEVのナンバーワンブランド”を目指すアウディにとって、パワーエックス社とのコラボレーションは、大きな強みになるに違いない。
















































