コラム
share:

<第8回>電気自動車の中身と型式のバリエーション | 知って役立つEV知識・基礎の基礎 御堀 直嗣


TEXT:御堀 直嗣
TAG:


実用化へ進み始めた商用EV

以上は、乗用車の話だ。ほかに、物流を担う大型トラックやトレーラーも、脱二酸化炭素の要請に応じたBEV化やFCEV化が検討、開発されている。
物流における脱二酸化炭素へむけたBEVは、長距離移動のため大容量のバッテリー車載と、総重量で規制される積載荷物の重量の兼ね合いが課題のひとつといえるだろう。バッテリーをたくさん積めば、積み荷の重量が制約を受ける懸念がある。かといって、これまで通りの積載重量を確保するには、バッテリー容量が制約を受け、一充電走行距離を長く確保しにくくなりかねない。

BEVの大型トレーラーで知られるのは、米国テスラのセミで、一充電走行距離は500マイル(約800km)とされている。また日産は、米国で、港から販売店への新車輸送でBEVトレーラーの運用を試験的にはじめた。
まだ研究・開発中ではあるが、走行中に架線などから充電することで、車載バッテリー量を抑え、長距離輸送を行うことも検討されている。日米とも大型トラックは走行車線を走ることを前提とするので、その車線に架線を設け、走行中にバッテリーへ充電しながら、得られた電力でモーターを駆動して走るのだ。欧州での実証実験は、鉄道と同様の架線を頭上に引き、パンタグラフを用いて充電する方式だ。一方、日本ではホンダが、ガードレールの下段へ剛体の架線を設け、車両の側面から集電アームを出し、その先端の回転ローラーを通じて充電する方式を実証実験している。

小型トラックでは、三菱ふそう、日野、いすゞなどが、BEVの市場導入をはじめている。また、ラストワンマイルなどといわれる軽自動車の配送では、三菱ミニキャブMiEVがあるほか、ホンダとスズキが軽商用EVの発売を目指している。ほかに、輸入車のHWエレクトロが、エレモKを2021年に発売した。

 

商用FCEVの課題とは

FCEVの大型トラックやトレーラーについては、BEVのように大容量の重いバッテリーを車載せずに済むといわれる。だが燃料電池もそれなりの重量があるはずだ。加えて高圧水素を充填するタンクを車載しなければならない。高圧ガスを充填し、運搬するには円筒形のタンクでなければならず、これが場所をとり、荷室容積が減るとの見方がある。

FCEVは水素充填ステーションの整備がなかなか進まないため、乗用車での拡販に厳しさがある一方、商用車での運用が主軸に考えられていくのではないかとの見方がある。物流の走行経路が比較的定まった商用であれば、事業所や集積ターミナルなどの拠点に水素充填設備を設置できるのではないかというのが根拠だ。
ただし乗用車と違い、商用トラックは生産財であるため、車両価格はもちろん、燃料代や何十万キロメートルという走行耐久性への要求は乗用車より厳しく、実用化の可否はこれからの検証次第になるだろう。

<第9回>電気自動車がもたらすデザインの進化 | 知って役立つEV知識・基礎の基礎 御堀 直嗣

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ゲーミングPCでお馴染みの「MSI」がEV用充電器に参入ってナゼ? 設置とサポートを行う「パルコミュニケーションズ」に魅力を聞いた【後編】
ゲーミングPCでお馴染みの「MSI」がEV用充電器に参入ってナゼ? 狙いと魅力を直撃取材した【前編】
日本に何が起こった? BEVが売れない……ハズが2025年10月は電気自動車が売れまくっていた
more
ニュース
日本専用チューニングを施したヒョンデの新型FCEV「ネッソ」が発売開始! 価格は実質603万円から
5C超急速充電で300km6分の衝撃スペック! 日産が新型SUV「NX8」を中国市場に投入
4年連続EV販売トップの新色は「水面乃桜」! 日産サクラがマイナーチェンジで外観先行公開
more
コラム
中国で「速すぎるEVの加速を規制」の噂! だからといって「やっぱりEVはトルクがありすぎて危険」の見解は浅はかすぎる
「EVってぶっちゃけ楽しい?」 エンジンをぶんまわして走り続けてきたレーシングドライバーに直撃!
ホンダと日産の合併話のときにチラチラ見え隠れしていた台湾のホンハイ! EV事業の本格始動で何が起こる?
more
インタビュー
ゲーミングPCでお馴染みの「MSI」がEV用充電器に参入ってナゼ? 設置とサポートを行う「パルコミュニケーションズ」に魅力を聞いた【後編】
ゲーミングPCでお馴染みの「MSI」がEV用充電器に参入ってナゼ? 狙いと魅力を直撃取材した【前編】
「BMWの核はセダン」。「i5」での表現は、BEV世代のセダンの在り方を示している。
more
試乗
【試乗】速さはスーパースポーツ並! AWD技術も完成の域! アウディS6スポーツバックe-tronに望むのは「感性に訴えかける走り」のみ
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
マイチェンで名前まで変わった「アウディQ8 e-tron」ってどんな車? [Q8 e-tron試乗記]
more
イベント
東京湾岸に140台超のEVが集結で大盛り上がり! 「NEW YEAR EV MEET 2026」の勢いがスゴすぎた
日本生まれの英国EVスポーツクーペや全幅1m切りの小型モビリティなどEVも元気! 会場で見つけた気になるEV一気見せ【東京オートサロン2026】
新型レクサスESがモデリスタ仕様で登場! ヒョンデはMIYAVIコラボで対照的なEV披露【東京オートサロン2026】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択