削ぎ落とすデザインはソニーの思想の表れか
なにより、今回発表されたSHMの「アフィーラ」プロトタイプでは、デザイン上のシンプルさが際立っている。既存の量産EVの多くが、商品性として「トレンドを外したくない」ことから、クロスオーバーSUVという現状でのマーケットでの鉄板デザインに乗るといった風潮がある。これに抗うような斬新なデザインを与えて成立させることは想像以上に困難な作業といえる。
エクステリアで目を引くのは、ドアミラーを廃してカメラシステムに置き換えたことや、周囲の状況を感知するセンサーによってドアの開閉を可能としてノブを廃したことだ。
さらにフロントエンドのLEDヘッドライト間、リアではコンビネーションランプ中央部分に「メディア・バー」と名付けられたディスプレイを装備している。「知性を持ったモビリティがその意思を光で語りかける」というコンセプトを掲げるこのインタフェースには、バッテリーの充電ステータスなどが表示されるという。

インテリアを見ると、左右方向にスッキリと仕立てられた液晶パネルが特徴的。ヴィジョンS01よりも上下に薄く仕立てられている。ステアリング形状は上部を切り取った長方形の上部を切り取ったU字型デザインとされているのも、デザイン要素を削除する手法といえる。
SHMプロトタイプ
ソニー・ヴィジョンS01
将来の量産EVのエクステリアデザインについては未知数といえ、ある意味で「どうにでもなる」といえなくもない。ともかくプロトタイプに機能的なギミックは少なく、プレーンさが際立っており、インテリアでもシンプルさを追求する意図は見て取れる。たとえば、最新のプレイステーションでは、筐体を曲線基調として個性を打ち出すようなデザインが採られているが、「プロトタイプ」では動体としての解釈が加わることになる。ソニーのプロダクトデザインの真髄を思い浮かべれば、機能美を備えたシンプルさであると捉えたい。
ともあれ、2025年に登場予定のSHMの量産EVには、自動車の商品性の意味を変えるほどのプロダクトデザイン、願わくは自動車業界の常識を覆すような製品レベルまで辿り着いてほしいものだ。



















































