THE EV TIMES

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バッテリー増加より「空力」を磨く!VW「Mission Efficiency」が示すEVの新しい進化形


TEXT:石井 啓介
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バッテリーを積むより賢い選択?VW「Mission Efficiency」が教えてくれるEVにおける空力の価値

EVの航続距離を伸ばすために、一番手っ取り早い方法はなんでしょうか。それは「もっと大きなバッテリーを積むこと」です。 しかしバッテリーを大きくすれば、クルマは重くなり、価格も高くなってしまいます。

そんなジレンマに対して、フォルクスワーゲンがひとつの賢い答えを出してくれました。先日発表されたプロトタイプEV「Mission Efficiency(ミッション・エフィシェンシー)」です。 このクルマの最大のテーマは「空力」。EVにおける空気抵抗のデザインが、私たちのドライブにどれほど大きな影響を与えるのかを、見事に証明してくれました。バッテリーの進化だけでなく、「空気との付き合い方」がいかにEVの可能性を広げるかを解説します。

バッテリーを大きくするのではなく、空気を味方につける

ミッション・エフィシェンシーは、一見すると未来のスポーツカーのような、滑らかな涙滴型(ティアドロップ型)のシルエットをしています。 これは単に奇抜さを狙ったものではなく、徹底的に空気抵抗を減らすためのカタチです。

自動車の空気抵抗を示す「Cd値」は0.158。公道走行が認められるクルマとしては最も低いレベルの数値です。ドアの取っ手をボディに埋め込み、後輪をカバーで覆い、車体の裏側まで平らにすることで、空気の壁をスルスルとすり抜けるように走ります。

その結果どうなったか。搭載しているバッテリーは54.9kWhと、現在のコンパクトEVとしてはごく標準的なサイズですが、ドイツからオーストリアまでの約1278kmの道のりを、なんと途中1回の充電だけで走り切ってしまったのです。

高速道路で電費が落ちない。空力がもたらす最大のメリット

私たちがEVで高速道路を走る時、一番気になるのが「スピードを出すと目に見えて電費が悪くなる」ことですよね。 しかし、空力を極めたこのクルマは違います。

フォルクスワーゲンによれば、時速80kmを超えたあたりから空力デザインの効果がはっきりと表れはじめます。時速140kmで巡航した時のエネルギー消費量が、標準的なボディの「ID.ポロ」が時速100kmで走った時とほぼ同じだというのです。 つまり、空気抵抗さえ減らすことができれば、高速道路でのロングドライブでもバッテリーの減りにハラハラすることなく、安心して遠出ができるようになります。

特別な技術ではなく、今ある技術のカタチを変えただけ

さらに素晴らしいのは、このミッション・エフィシェンシーが、手の届かないような高価な専用パーツで作られているわけではないということです。 使われているプラットフォーム(車台)やモーター、バッテリーは、今後登場するコンパクトEVなどと共通の量産技術がベースになっているといいます。

高価な大容量バッテリーを無理に積まなくても、クルマの形と空力を磨き上げるだけで、これだけ効率よく遠くまで走れる。 これは将来的に、「少ないバッテリーで長距離を走れる=もっと手頃な価格のEVが買えるようになる」という、私たち生活者にとって非常に嬉しい未来につながっています。

EVのデザインは、ただの見た目ではありません。空気といかに上手く付き合うかが、航続距離や充電の回数、そしてクルマの価格にまで直結する最も大切な「機能」なのです。 次に新しいEVを見る時は、ぜひその滑らかなボディラインが持つ「空気との付き合い方」にも注目してみてください。

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