テスラとBYDは単純に販売台数で比較できない
グローバルEV市場の景色が大きく変わった。そう感じさせるニュースが、2026年1月に相次いで流れた。2025年の各メーカーのEV販売台数が公開され、そのなかでテスラが前年比8.6%減の163万6129台となり、グローバルでのEVシェアでBYDがトップになったため、EV市場の変化に対するニュースが増えたというわけだ。

こうした状況をどのように解釈すればよいのか。
そのためには、EV市場そのものの変化を理解する必要がある。グローバルで見ると、EV市場はいま「踊り場」にある。踊り場とは、成長が一端止まっており、これから先の市場動向が見えづらいという意味だ。
踊り場に入る前の状況を振り返ってみれば、大きな転機は2015年のCOP21(第21回 国連気候変動枠組条約 締約国会議)のパリ協定だった。これに伴い、SDGs(国連・持続可能な開発目標)に関連した「2050年カーボンニュートラル」など、国や地域で環境政策を重視するようになり、EVに対する投資が加速した。
この流れに乗ったのが、テスラだ。米エネルギー省から同国内でEVなど次世代車を製造するための低利子融資を得て事業の拡大を模索し、テスラはグローバルでのEV成長トレンドに上手くのった。とくに価格を抑えた「モデル3」が爆発的に売れ、「モデルY」がそれに続いた。

こうしたEV市場の急成長は、2020年代前半をピークに減速し始める。カーボンニュートラルに対する過度な投資を精査する動きがグローバルで広がり始めたからだ。とくにアメリカでは、第二次トランプ政権でオバマ・バイデンの民主党政権が掲げた環境政策を180度転換し、税額控除などのユーザー向けEV購入補助制度が見直された。これが米国市場での売上が大きなテスラの業績に直接響いた。また、欧州ではイーロン・マスク氏個人に対する消費者意識から、テスラ購入を控える動きが一部で出るという社会現象が起こる。
一方、BYDはとくに2010年代以降、地元中国でEVのみならずPHEVを含めて多様な事業を拡大してきた。販売面でも積極的な実売価格を設定して、厳しい市場環境のなかでシェアを拡大。中国政府の意向もあり、中国から海外への自動車輸出強化に乗り出し、とくに東南アジアで事業を拡大しているところだ。

このように、テスラとBYDは事業面で違いがあり、その結果として出てくる販売台数だけで両社を比較することにあまり意味はないように思える。
足もとでは、中東情勢による原油不足から欧州ではEV購入がトレンドになるなど市場変化があるが、グローバルで見るとEV市場は当分の間、踊り場にある可能性がある。そうしたなか、テスラとBYDがそれぞれどのような戦略を進めていくのかが注目される。

















































