世界初のEVは100年以上前から存在した
ところで、インホイールモーターは古くからあったと冒頭に述べた。じつは、フェルディナント・ポルシェ博士が最初に開発したのはEVであり、それはインホイールモーターであった。
1886年に、ドイツのカール・ベンツによって発明されたエンジン自動車は、ポルシェ博士が自身初のクルマをEVとしたように、当初はエンジンからの排気が今日のように消音されておらず、速度も十分に上げられずにいた。一方、当時、静粛性に優れ、より速く走れる移動手段として、ポルシェ博士でさえEVに注目した証となる。そして最大の特長を活かすため、インホイールモーターとしたのだろう。

インホイールモーターを採用したことで、変速機(トランスミッション)も、駆動チェーンも、差動装置(デファレンシャル)も不要であり、少ない部品でエンジン車以上の機能を達成できるクルマに仕上がった。そのあと、ポルシェ博士はまだ十分な性能を得られずにいた鉛酸バッテリーの弱点を補うため、エンジンで発電してモーターで走る、シリーズ式のハイブリッド車(HV)を開発した。インホイールモーターであったことによって、発電用エンジンを車載することができたことになる。

つまり、EVもHVも、時代の先端を行くクルマというより、その潜在能力は125年も前にポルシェ博士によって見出されていたのである。ただ、鉛酸に代わる実用的なバッテリーがなかなか登場せず、21世紀になってようやくリチウムイオンバッテリーが実用化され、今日の電動化時代を迎えたのである。
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