エネルギー供給や環境負荷など根本課題が残る
欧州では、スウェーデンのスカニアが、水素化処理植物油(HVO:Hydrotreated Vegetable Oil)の取り組みを、日本にも導入しようとしている。
HVOは、廃棄食用油、菜種油、動物油脂などから作られる燃料で、軽油に似た性状であり、平均83%のCO2削減ができるという。いま走っているディーゼルエンジンのトラックそのままで、燃料を軽油からHVOへ替えるだけで大きくCO2の排出を減らすことができる。
ただし、バイオ燃料などと同様に、こうした燃料は地産地消で利用するのが前提であり、使う地元にHVOの製造工場があることを必要とするだろう。そのうえで、水素化処理には300℃前後の温度と、4~9MPa(約40~90気圧)という圧力が必要になり、製造段階でエネルギーを使う。
また、廃棄される食用油を使うことは廃棄物の量を減らすことにつながる一方、定期的な廃棄油量を必要とするので、需給関係を精査することも忘れてはならない。
そのほかでは、かつて日本のメーカーがガードレールのような架線を使ってEVとして走らせ、架線からの充電を走りながら行うことで車載バッテリー量を減らす手法を開発していた。実車でかなり完成度の高い仕上がりにまで到達しており、EV大型トラックのひとつの回答になる可能性があったが、取りやめになっている。
そうした多方面での模索が行われるなか、水素にしても電気にしても物流で使うとなると膨大なエネルギー消費量となるので、いかに調達するかを解決しなければならない。原油のように、精製すればガソリンも軽油も、あるいは灯油やジェット燃料も手に入るというわけにはいかない。
水素は水を電気分解すれば無尽蔵に得られるとの意見がある。だが、前提となる淡水は、地球上に2.5%しか存在しない。しかも世界人口の4分の1(約20億人)が、現在すでに安全な水を使えずにいる。生活用水と飲料水に不足している人々が大勢いるのに、燃料をつくることに淡水を使っていいのかという疑問は残る。
電力も、火力発電に依存していては脱CO2を達成できない。太陽光や風力といった再生可能エネルギーによる発電も負の要素が明らかになっている。原子力発電という密度の高い発電を、安全に人が運用する気構えがなければ潤沢な電力は手に入らない。そのうえで、トリウム熔融塩炉の実用化に目を向けるべきだ。安全性だけでなく破格の電気代の安さで経済を押し上げ、暮らしをラクにするだろう。
HVOやバイオ燃料はCO2の削減に役立っても、エンジンで燃やして使う以上、窒素酸化物(NOx)など有害なガスの排出を伴うことも忘れてはならない。
物流は、暮らしの要だ。自給自足できない現代社会にあって、物流における脱CO2と排気ゼロの達成は、個人の移動と同等に真剣に解決策を見出さなければならないときにきている。何を許容し、何に依存するか、覚悟を決め、決断するときだ。
























































