トランプ政権がEVシフトを完全否定
EV普及に向けたハードルが、一段と高くなった。アメリカのトランプ大統領が、地球温暖化に対する温室効果ガスの「危険性の認定」を撤廃した。2009年の民主党オバマ政権の際、大気浄化法を推進する上で決め手となった「認定」であり、アメリカにおける環境政策を覆す大きな出来事だ。

当然、自動車産業にも大きな影響が出る。具体的には、CAFEに対する大幅な規制緩和が実施される。アメリカの環境保護庁(EPA)は、自動車メーカーそれぞれに対して、企業別平均燃費をクリアすることを義務付けている。アメリカで発売するすべてのモデルが対象となるため、オバマ政権が打ち出した将来に向けた段階的なCAFE規制強化に向けて、自動車メーカー各社はアメリカに投入するモデルを選択したり、また搭載するパワートレインをアメリカ専用化するなどして、これまでCAFE対策に苦慮してきた。
今回の「危険性の認定」撤廃に関連して、CAFEで採用していたEVに対する係数も見直す。エンジン車やハイブリッド車に対してEVは環境性能が優れているとの見地から、EVにはほかのパワートレインと比べて有利となる処置が施されてきた。自動車メーカー各社は、そうしてCAFE対策の”ひとつの手段”としてアメリカでの積極的なEV導入を進めてきたという経緯があったが、これを抜本的に見直す必要があるのだ。

第1次トランプ政権と現在の第2次トランプ政権で合計2回、パリ協定から離脱している。COP21(国連気候変動枠組み・第21回締約国会議)で採択されたパリ協定は日本も同意しており、世界の主要国が目指す地球温暖化対策の基準というべき存在だ。
こうしたアメリカによる独自の判断によって、アメリカを起点とするEVシフト抑制の動きが加速してきた。
そうしたなか、自動車メーカーそれぞれでアメリカにおけるEV事業戦略に対する向き合い方が違う。たとえば、デトロイト3(GM、フォード、ステランティス)はEV投資を一気に絞り、その代償として数兆円レベルでの費用を今期中に計上する。欧米の大企業らしい、早期の損切りである。
一方、日系メーカー各社は中長期的な戦略を重視しつつ、EV事業戦略の軌道修正を行おうとしているところだ。そもそも日系メーカーでつくる業界団体・日本自動車工業会では国や地域の社会状況を踏まえて多様なパワートレインを並行して研究開発・製造するマルチパスウェイを基本方針として掲げている。

とはいえ、トランプ政権によるEVシフトを抑制しようとする政策のインパクトは、日系メーカーにとって極めて大きい。日系メーカー各社が、次の一手をどう打つのか。今度の動向を見守りたい。













































