軸となるのは基礎充電
初代リーフを経て、現在はフィアット500eと電気自動車を乗り継いでいると、周囲の人から「どこの充電サービスに加入しているの?」と聞かれることが多い。こうした質問は、EVユーザーがリアルにおトクと感じている充電サービスを知りたいという趣旨だろう。
しかし、残念ながら小生の回答は「公共の充電サービスはできるだけ使わない。だから会費の発生するような充電サービスには加入していない」である。そもそも、EVの航続距離を超えるようなドライブをすることはないからだ。こう記すと近所しか走っていないように思われるが、高速道路も利用しているし、都道府県をまたぐような移動をすることは日常だ。
それでも、現在の愛車であるフィアット500eのリアルワールドでの航続距離は満充電で250〜300kmほどあり、片道100km程度の範囲であれば、公共充電を利用せずとも往復できる。そして、この航続性能で実用上の不満を感じていない。
まずは、こうしたEVの一充電航続距離の範囲内で使っているケースから考えてみよう。
いうまでもなく、EVの運用は自宅や職場での普通充電が基本であり、専門用語では「基礎充電」と呼ばれている。日常において遠出をすることがない限り、多くのユーザーは基礎充電でカバーできるだろうし、基礎充電の電気代に比べると、公共の充電器を使うことは確実にランニングコストが上がってしまう。
燃費や電費については、車種によっても異なるし、ドライバーのスキルでも変わってくるので一概にいえないが、過去の経験値を一般論に落とし込むと、急速充電のコストでEVを走らせると同じ車格のハイブリッドカーと同等のランニングコストになるというイメージだろうか。
初めてEVを購入するとなると、公共の充電器を利用することがマストと思ってしまい、なんらかの充電サービスに加入しないといけないと思うかもしれないが、そうとは限らない。
自宅や職場での基礎充電が可能な環境であれば、ひとまずは普通充電だけで運用してみてほしい。それがもっともランニングコストを抑えることができる。使いもしない急速充電サービスに、毎月の会費を払うのは無駄でしかないことが理解できるはずだ。
もし遠出するならば、経路や目的地にある充電サービスを検索しておいて、そこで利用できる充電サービスに都度加入すれば、問題ないだろう。
こうした利用方法におけるポイントは、会費不要のサービスを選ぶことだ。たしかに、さまざまな充電サービスにおいて、月会費を払うことで急速充電の利用料金は安くなるが、会費分も含めて考えると、月に1回くらいの使用ではもとを取ることはできないことが多い。
たとえば、高速道路のサービスエリアなどで見かけることの多い「e-Mobility Power」の料金体系は以下のようになっている。
急速/普通充電併用プラン:月会費4180円 急速充電利用料27.5円/分
ビジター料金:会員登録・会費不要 急速充電利用料 385円(最初の5分まで)、以降77円/分(50kW超の急速充電器の場合)
上記の条件で、月に一度30分だけ急速充電した場合のコストは、会員になった場合5005円、ビジター利用で2310円である。もちろん、急速充電の利用回数が増えるごとに会員になるメリットは出てくるが、基礎充電をメインに運用しているケースでいえば、急速充電はビジター利用を前提とすることが、もっともローコストになる。

















































