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EVを効率的に使うなら裏技をマスター! オーナーが語る「得する」運用方法3つ


TEXT:琴條孝詩 PHOTO:TET編集部
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バッテリーの仕組みを知ることでよりスマートなEVライフへ

<バッテリー温度を意識した「急速充電の最適化」>

また、急速充電を利用する際、充電速度が期待よりも遅いと感じた経験はないだろうか。これは「バッテリー温度」が大きく影響している。じつは、EVのバッテリーには最適な動作温度帯があり、この範囲外では充電速度が大幅に低下する。

リチウムイオンバッテリーの最適温度はおおむね20℃から30℃の範囲である。冬場の寒い時期や夏場の高温時には、バッテリー保護のため充電出力が自動的に制限される。とくに冬季の朝一番での急速充電は、バッテリーが冷え切っているため、本来の半分以下の出力しか得られないことも珍しくない。

充電のイメージ

ここで活用したいのが「プレコンディショニング機能」だ。この機能は、急速充電器に到着する前にバッテリーを最適温度まで暖める(または冷やす)もので、多くの上級グレードEVに搭載されている。カーナビで充電スポットを目的地設定すると、到着予定時刻に合わせて自動的にバッテリー温度の調整が始まる仕組みだ。

ここでのポイントは「道を知っていてもナビをセットする」ということ。自宅周辺のいつもの充電スポットであっても、必ず車載ナビで目的地を設定しよう。これだけで、到着時の受入可能出力(kW)が大きく改善するケースもある。ナビを設定せずに到着し、最大90kW出力の充電器に繋いでも30kWしか出ず、30分の充電時間を浪費するのは「EVあるある」の最たるものだ。

ホンダ Honda eのインパネ

プレコンディショニング機能がない車種でも、工夫次第で充電効率を上げられる。冬場であれば、急速充電の15分ほど前から暖房を入れて走行することでバッテリー温度が上昇する。また、夏場に長時間駐車した直後の急速充電は避け、少し走行してからのほうが効率的である。

また、多くのEVは、前述の20〜80%という充電範囲がもっとも効率よく充電できる。急速充電の場面では、80%程度までの充電が非常に速く、そこから先は一気にスピードが落ちる。たとえば20〜80%まで30分で入っても、80〜100%にさらに30分かかる、といった具合だ。時間単位の「走行距離の増え方」で見ると、80%以降は明らかに効率が悪くなるのである。

充電モニターのイメージ

そう考えると、旅行などの場合、「目的地に着いたときに30〜50%残っていればOK」と考えを切り替えると、旅の自由度が一気に上がる。地図アプリやクルマ側のナビで、目的地までの消費予測が出るクルマなら、「到着時バッテリー残量○%」を目安に、その手前の急速充電器で70〜80%までサクッと充電して走り出すのが時間効率のいい走り方だ。

<電気料金プランを活用した「深夜充電」の真価>

自宅充電の場合、EVの充電コストを大きく左右するのが電力会社の料金プランだ。多くのEVオーナーが「深夜充電が安い」という知識はもっているが、その効果を最大化する方法まで理解している人は少ない。

深夜電力プランを契約すると、一般的に午前1時から午前6時頃までの電気料金が通常の半額近くまで下がる。たとえば、60kWhのバッテリーを空から満充電にする場合、通常料金では約2000円かかるところ、深夜料金では約1000円で済む計算だ。年間で換算すると、プランや走行距離によって差はあれど、週2回の充電として約5万円もの差が生まれる可能性もある。

自宅充電のイメージ

ここで活用したいのが「タイマー充電機能」だ。最近のEVには充電開始時刻を設定できる機能が標準装備されているが、これを午前1時にセットしておくだけで自動的に深夜料金帯での充電が可能になる。充電途中にこの時間帯をはさむからそれでいいと思っているユーザーも多いが、充電は満充電に近くなると単位時間当たりの充電量が激減するので、時間に余裕があれば、午前1時に充電を開始したほうがよいだろう。

また、電力会社によっては「EV専用プラン」を用意しているケースもある。これは深夜だけでなく、日中の特定時間帯も割引になる仕組みで、在宅勤務が多い人にはとくにメリットが大きい。自分のライフスタイルに合わせたプラン選びが、充電コスト削減のポイントとなる。

これらEV充電に関する知識と工夫は、EVライフの質を大きく向上させる。バッテリーの適性を知って、適切な充電方法、バッテリーの温度管理、電気料金プランの最適化などを意識することで、コスト削減と利便性向上の両立が実現する。これらのワザを日常に取り入れ、より快適なEVライフを楽しんでいただきたい。

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