Euro7がEVに新たな環境責任を突きつける
気候変動に対する環境政策は年々厳しくなっている。
LCA(ライフサイクルアセスメント)といって製造時のCO2を考慮することもあり、走行時に排ガスを出さないEVもCO2排出量は少なくないとされる。また、EVを充電する電力の発電方法によってはCO2の削減効果は限定的という批判もある。
しかし、ゼロエミッション車であるEVにおける課題はそれだけではない。欧州連合が次世代の環境規制として策定した「Euro7」では、走行時におけるEVの環境負荷も対策しなければならなくなった。
Euro7では、ハイブリッドを含むエンジン車の排ガス規制についても厳しくなるが、主にEVに関係するといえるのが「ブレーキ」と「タイヤ」に対する新たな規制だ。
具体的には、すべての車両に対して、ブレーキからの粒子状物質排出に関する規制が定められた。これらは、エンジン由来以外の排出物に対する世界初の規制といえる。
Euro7では、タイヤの摩耗寿命に関する規制もスタートする。タイヤが摩耗するということは、小さなマイクロプラスチックやゴム片を大気に放出していることになる。つまり、摩耗を抑えるということは、タイヤ由来の摩耗粒子を減らすことである。
大気汚染対策として、ブレーキとタイヤの摩耗による微粒子が課題であると理解できる。しかも、この新規制が適用されるのは、乗用車についていえば、新型車は2026年11月以降。継続生産車については2028年5月以降となる。けっして遠い話ではないのだ。
おおよそ1年後にはブレーキやタイヤ由来の微小なダストについての規制がスタートする。また、Euro7ではEVのバッテリーについて、高い耐久性が義務付けられることも決まっている。乗用車においては、8年または16万km走行時に、新車時に対して72%のバッテリー容量を維持していることが求められるという。
もっとも、多くの国産EVにおいては、8年16万kmで70%のバッテリー容量を保証しているケースがほとんどであり、Euro7の規制値が特段に厳しいという印象はない。ただし、メーカー保証と法的な義務要件では重要度が異なるのも事実。














































