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かつて納期遅延が「人気車の証」と見なされたことが間違い! 「顧客第一」の姿勢こそが自動車メーカーの正しい姿


TEXT:渡辺陽一郎

事前予約受注が目立ち始めたのは3代目プリウスから

 しかも3代目プリウスは、低価格で発売された2代目インサイトに対抗して、機能を充実させながら価格を安く抑えて、取り扱いディーラーも全店扱いに増やした。

その結果、6月17日における発売後1カ月(予約受注を含めれば2カ月半)の予約受注台数は18万台に達して、納期も約10カ月に遅延した。効率よく受注活動を行えた代わりに、顧客を長々と待たせる結果を招いた。

問題はこのときの報道のされ方で、メーカーの都合に基づく悪しき売り方なのに「プリウスの人気は凄い!」と讃えられた。

トヨタは他社の手本となるべきトップメーカーだから、良し悪しにかかわらず真似されることが多い。予約受注の前倒しも同様で、他社も「こういう方法もアリなんだ、ウチもやろう」とこの手法が業界全体に浸透した。3代目プリウス以降は、ほかのメーカーも予約受注を積極的に行うようになった。

たとえば初代レヴォーグは、発売日は2014年6月20日だが、販売店の予約受注は同年1月に開始された。1月に予約したユーザーは、少なくとも6カ月は待たされた。販売店からは「試乗車はもちろん、実車もなく、簡単な資料だけで商談するのは困難」という話が聞かれた。

マツダも予約受注の前倒しに乗り出した。現行CX-5は、2016年11月に予約受注を開始して12月に報道発表され、2017年2月から納車を開始している。

このときも販売店から「資料のない状態では親切な商談は行えない」という話が聞かれ、メーカーものちに「いい売り方ではなかった」とコメントしている。2020年に発売されたMX-30では、ほとんど予約受注を行っていない。

このように、納期の遅延はメーカーの都合で作為的に行われている場合もある。しかし、「お客さまを待たせないこと」も商品力の大切な要素だ。メーカーにとって都合のいい予約受注は、結果的に商品力を低下させ、売れ行きを悪化させてしまう。「そんなに待たされるなら、車検を取って、いまのクルマに乗り続けよう」と考えるからだ。メーカーは納期に対して、もう少し真剣に取り組むべきだ。

渡辺陽一郎

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