出口付近に充電器を配置するSA・PAが多い
高速道路のSAやPAなどへのEV用の急速充電器の設置は進んでいるが、設置場所については、まだまだ改善すべきことが多い。
高速道路を利用するEVドライバーなら一度は経験があるのではないだろうか。充電のためにサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)に立ち寄ったとき、急速充電器の場所を探して右往左往することを。そして多くの場合、充電器は高速道路への出口付近、つまりSA・PA敷地のもっとも端っこに設置されている。
しかも、多くのSA・PAで充電器エリアから施設の建物まで歩いて3〜5分程度かかることも珍しくない。充電時間は通常30分だが、この間にトイレや食事、買い物を済ませたくても、充電器の場所次第ではまったく時間が足りず、中途半端に急がなければいけない。2025年度末までに急速充電器の充電口数を約1100口まで大幅に増設する計画が進行中だが、その配置場所についてはまだ改善の余地が大きいというのが現状である。
<出口付近配置がもたらす利用者の困惑>
この配置の問題は、単に歩く距離が長いということだけではない。もっとも深刻なのは、充電エリアが満車の場合の対応である。多くのSA・PAでは、充電エリアへの進入路が一方通行になっており、一度入ってしまうと充電できない場合でもUターンして戻ることができない構造になっている。そのため、充電待ちができない場合、高速道路本線にそのまま戻るしかなく、トイレ休憩や食事のためにSA・PA内の一般駐車場を利用することができなくなってしまう。
とくに週末や連休のときには、充電器の数に対してEVの台数が多く、30分以上の待ち時間が発生することも珍しくない。このような状況で、充電もできず休憩もできずに次のSA・PAまで走り続けなければならないのは、ドライバーにとって大きなストレスとなっている。また、充電できたとしても、とくに高齢者や小さな子ども連れの家族にとっては、施設までの往復を考えると負担が大きい。
<電気インフラと施設設計の制約>
では、なぜ急速充電器は出口付近に設置されることが多いのだろうか。その背景には、電気設備の設置における制約と、既存施設の構造的な問題がある。
まず電気設備の観点から考えてみると、急速充電器は大容量の電力を必要とする設備である。1口最大150kW級の急速充電器のような高出力機器を設置するには、それに見合った電気インフラが必要になる。既存のSA・PAの多くは、建設当初にEVの普及を想定して設計されていないため、建物近くの既存電気設備には十分な余力がない場合が多い。そのため、新たに変電設備や配電盤を設置する必要があり、建物から離れた場所のほうが工事がしやすく、コストも抑えられるという事情がある。
また、交通の流れを考慮した設置場所の選定も重要だ。SA・PAは限られた敷地内で、多くの車両の駐車と円滑な交通を両立させる必要がある。建物近くに充電器を置けば、充電待ちの車両が一般の駐車場や通路を妨げるおそれがある。とくに休日や連休時には利用者が集中するため、交通渋滞を避けるためにも出口付近への設置が選択されることが多い。
さらに、既存施設の改修という制約もある。多くのSA・PAは開業から数十年が経過しており、後付けで充電設備を設置する際、既存の建物や駐車場レイアウトを大幅に変更することは困難である。出口付近であれば、比較的まとまった空間を確保しやすく、また将来的な拡張にも対応しやすいという設計上の判断もある。








































