国が進める自動運転の研究開発で先行事例として名高い、福井県永平寺町での自動運転レベル4。
ヤマハ製のEVを活用して社会実装を行っている。
その現状について永平寺町役場の関係者らに詳しい話を聞いた。
遊歩道「参ロード」を使って走行
永平寺町の自動運転レベル4・EVが走行するのは、曹洞宗の大本山永平寺に近い2kmのコース。
ここは以前、鉄道が走っていたが現在では町の遊歩道「参ロード(まいろーど)」になっている場所だ。
参ロードの地中に電気を通す配線を埋設し、そこで発生する磁力を車体側が検知しながら走行する、電磁誘導線を使った自動運転システムである。
こうした自動運転はすでに、全国各地のゴルフ場で普及しており、永平寺町で使う自動運転EVもそうしたヤマハ製の市販品をベースに改良されたものだ。
走行機能に係わる車両スペックを見てみる。
まず、EVとしては鉛蓄電池を採用して後輪を動かす。充電は200V電源から行っている。
走行する様子は、まさにゴルフ場の自動カートであり、実際に試乗していてもゴルフ場カートと大きな違いは感じない。
シンプルなシステム構成

運転席にはドライバーは座っていない。筆者撮影
車両を詳しくみると、自動運転車としてはシンプルなシステム構成であることが分かる。
まず、GPSアンテナによって自車位置を確認する。衛星測位システムであるGPSの場合、位置精度は数メートル程度。そのため、自動運転では二次元、または三次元のデジタル地図を用意したり、位置精度が数センチメートル程度になるRTK方式の衛星測位システムを導入する場合が多い。そうなるとコストがかさむが、永平寺町のように電磁誘導線の上を走行する仕様では一般的なGPSのみで一定の位置精度を確保できる。
その他、車体前の上部には障害物を検知するステレオカメラ、車体前にも障害物検知を行うミリ波レーダーや超音波ソナーを持つ。
これにAI(人工知能)技術を反映させた別のカメラを連動させ、人、自転車、または周囲の草木などの障害物の種別を見極めて走行する。
その他、遠隔監視を行うためのカメラなどを備えている。
このように自動運転車としては比較的シンプルなシステム構成で自動運転レベル4を実現している。
自動運転レベル4導入の意義
永平寺町の総合政策課の職員によると、永平寺町での自動運転社会実装の特徴は「技術の最先端ではなく、実用化の最先端」だという。

永平寺町の自動運転・遠隔管理システム。筆者撮影
具体的には、課題としては次の通りだ。以下、箇条書きとする。
・コストを下げつつ安全性を維持てきるのか?
・そのコストは地域として運用が維持できるものか?
・地域の住民が運用者として扱えるシステムであるか?
・現行の法制度の中で運用できる技術であるか?
・人の暮らしを豊かにする技術であるか?
欧米や中国と日本では、公共交通機関における自動運転の必要性や社会への適合性に違いがある。
その上で、永平寺町での自動運転社会実証が担う役割はとても大きいと感じる。
国としては、2016年度から続けている永平寺町での自動運転関連の研究開発を、今後も様々な角度から検証し、次のステージに向けた準備を進めていく可能性が高いものと考えられる。
2023年2月には、岸田総理大臣が永平寺町を視察し、レベル4自動運転の乗り心地を体験している。








































