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フォーミュラEは熱い。ピュアEVのレーシング・シーンにある熾烈な争い。ロンドン観戦記その2


TEXT:小川 フミオ
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前回:フォーミュラEはおもしろい。ピュアEVのレーシング・シーンにある独創性。ロンドン観戦記その1

フォーミュラEをロンドンで観戦した小川フミオは、ピュアEVが駆け抜けるサーキットで、熾烈な争いを目の当たりにした。タイトル争い第15戦は白熱したものだった。

シーズンタイトルをかけた一騎打ち

BEVのレース「フォーミュラE」のおもしろさは、じっさいにレースに足を運んでみて、なるほどと思うものだった。

私が出かけたのは、2023年7月29日の第15戦。このとき「ジャガーTCSレーシング」と「エンビジョン・レーシング」が選手権をかけて争っていた。

ジャガーTCSレーシングと、エンビジョン・レーシングの一騎打ちの様相で、かなり盛り上がっていた。ドライバー選手権も、やはり、両チームとも、自分たちが獲得できるかも、というところまで上がっていた。

このときの結果と、翌30日の第16戦(最終戦)の結果とで、2023年シーズンの選手権が決まるから、ピットまわりの興奮もひときわ。

応援しているジャガー・カーズのスタッフも「ドキドキするよ」とレース前は真剣な面持ちだった。

「マナーがアグレッシブすぎる!」

コースは、幅が狭いうえに、エスケープゾーンがほぼ存在しない。なので私が観ているあいだにも、スポンジバリアに突っ込む車両が何台もいた。

けっこうラフなレースで、タイトコーナーで相手のマシンを押しだしてスポンジバリアに激突させる走りも目撃した。途中で、「マナーがアグレッシブすぎる!」と、クレームを出すチームまで現れるしまつ。

スピンしたり事故を起こした車両がいることを後続車に知らせるイエローフラッグが振られるのはしょっちゅうで、私が観た第15戦はセッション中断のレッドフラッグも数回振られた。

リアのドライブトレインで差をつける

アクセルペダルを踏み込んだとたん最大トルクを発生するモーターの特性のため、予想いじょうに速いペースでマシンは疾走。これも観ていて飽きない理由だ。2.1キロのコースを1分12秒ほどで回ってしまう。

フォーミュラE用のマシンは、フロントにはバッテリー充電用のモーター、リアには駆動用にモーター搭載の後輪駆動が基本レイアウト。シャシーやフロントサスペンション、タイヤ、それにフロントのモーターなどは同一規格。

チームごとに違うのは、後輪用のドライブトレインほぼすべて。モーター、インバーター、ギアボックス、ディファレンシャルギア、ドライブシャフトといったものだ。

ジャガーのばあい、自社開発の後輪用ドライブトレインを、ジャガーTCSレーシングと、もうひとつ、エンビジョン・レーシングというチームに提供している。

2023年から投入された「第3世代」マシンでは、ホイールベースを含めてディメンションがやや縮小。さらに、ドライバーを含めた重量が軽量化。

第2世代の2倍にあたる回生能力をもち、レース中に使うエネルギーの約40パーセントは回生エネルギーで、かつ、この回生の際のブレーキ効果により、リアブレーキを廃止。

エバンスの勝利。チーム・タイトルは最終戦にもつれる

はたして、第15戦は、ジャガーTCSレーシングのミッチ・エバンスがみごと1位を獲得。チームプリンシパルのジェイムズ・バークリーが小躍りして喜んでいたのも印象的だった。

あいにく、そんなエバンスの頑張りでも、「アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE」のジェイク・デニス(英国出身)が2位獲得により、ポイント数で23年のドライバー選手権を手中に収めたのだった。

ドライバー選手権は残念だったが、ジャガーTCSレーシングのエバンスのチームメイト、サム・バードが4位入賞で、チームの選手権のポイント数でエンビジョンと同率1位に。勝利も夢でなくなった。

<その3に続く>

次回:フォーミュラEは進化している。ピュアEVのレーシング・シーンに高まる期待。ロンドン観戦記その3

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