2023年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、同年6月末は様々な「特定原付」の記者発表が続いている。そうした中で、アルミ総合仮設機器の老舗企業も「特定原付」モデルを新発売。事業参入の理由をじっくり聞き、そして試乗もした。 なぜ、アルミ総合仮設機器の老舗が電動キックボードに参入したのか? 長谷川工業(本社:大阪市西区)は2023年6月27日、都内で特定原付モデルの電動キックボード「KS6 PRO」(税込み19万8,000円)の報道陣向け試乗体験会を実施した。 同社は今年で創業66年目を迎える企業。主要製品は、アルミ総合仮設機器、家庭用作業用品、そしてイベント機材などだ。 平たく言うと、アルミの脚立や作業台を得意とする老舗企業で、2022年12月期のグループ連結売上は101億円に達しているこの業界の大手だ。 そんな長谷川工業が、なぜ電動キックボードの企画・販売を手がけるようになったのか? 同社の代表取締役社長の長谷川泰正氏は会見の中で、電動キックボードとの出会いについて次のように振り返った。 長谷川工業の通常事業では、建設現場、工場施設、そして空港など向けの製品を企画し事業者に納入している。そうした中で、作業の効率化や作業の安全性について事業者である顧客企業と意見交換している中で、構内などの移動が課題という話が出てきたのが、そもそもの始まりだという。 製品としては、香港に本社がある、電動小型モビリティ大手のYADEA(ヤディア)と連携することを決めた。YADEAは世界各地に8つの製造拠点を持ち、従業員数は5,000人、2022年の販売実績はこの分野で世界最大級の1,200万台を誇る。 次に、長谷川工業は日本におけるリアルワールドでの実証実験に進んだ。 産業競争力強化法に基づく、経済産業省が公募した仕組みを使い、千葉県千葉市で2021年4月から、大阪府大阪市で同年6月から、そして大阪府堺市では2022年1月から「YADEA」を使う実証試験を始めた。 これら実証試験の仕組みが、2023年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、同年6月末で終了することから、長谷川工業は新たに特定小型原動機付自転車(警察庁の略称・特定原付)モデルであるYADEA「KS6 PRO」で開発し、同年7月1日から全国で発売する。