#日産
TEXT:TET 編集部
欧州でも好調な日産の「e-POWER」! 累計販売台数が10万台を突破

10万台突破の立役者は「キャッシュカイ」と「エクストレイル」 欧州日産は2024年1月29日に、欧州市場でのe-POWER搭載車の販売が10万台を突破したことを発表した。 e-POWERは発電専用の高効率エンジンで電気を発電し、その電気を使いモーターのみで走行するいわゆるシリーズハイブリッドシステム。日本ではすでに定着した感のある日産の代名詞的な技術だが、欧州には2022年9月から市場投入され、これまでに「キャッシュカイ e-POWER」が6万5367台、「エクストレイル e-POWER」が3万4663台販売されている。 なお、「キャッシュカイ」の初代モデルは日本名「デュアリス」として国内でも販売され、欧州仕込みのハンドリングの良さとパッケージングからスマッシュヒットしたモデルだ。3代目にあたる現行モデルは、2021年にガソリンモデルの販売が開始され、2022年9月にe-POWER搭載モデルが追加された。初代、2代目と同様にロンドン中心部にある日産デザイン・ヨーロッパでデザインされ、同じく英国にある日産テクニカルセンター・ヨーロッパ社で開発されたキャッシュカイは、生産も英国内のサンダーランド工場というまさに欧州日産を代表するモデルだ。 「エクストレイル」は説明するまでもなく、激戦のDセグメントSUVのなかにあって「タフギア」を標榜し、アクティビティ層から高い支持を得るベストセラーカーだ。4代目となる現行型ではe-POWERに加え、前後ふたつの高出力モーターとブレーキの統合制御により、駆動力を自在にコントロールする電動駆動4輪制御システム「e-4ORCE」の組み合わせで、走りに上質さが加わったモデルになっている。 e-POWERの特徴とは? e-POWERの特徴は、普段はエンジンが発電し、モーターに動力を供給しながらバッテリーを充電するが、最大出力が必要なときには、エンジンとバッテリーの両方からモーターに電力を供給することだ。そのほかシーンに合わせて最適な発電を行い、道路状況に応じてエンジンの発電を制御していることが特徴として挙げられる。静粛性の面でも路面の状態や車速をセンシングし、走行音が静かな時は極力エンジンを稼働せず、走行音が発生しているときのみエンジンが発電する制御を行うなど、じつにきめ細やかな制御が行われている。 今回の10万台突破にあたって日産AMIEO(アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニア)の商品戦略およびプライシング担当VPである、アーノルド・シャルペンティエ氏は以下のようにコメントしている。 「私たちは、日産独自の技術であるe-POWERのすばらしさを、効率性と優れた運転体験の両方を通じて、『キャシュカイ』と『エクストレイル』をお選びいただいたお客さまに認識していただけたことを誇りに思います。2022年9月のe-POWER導入以来、このようなマイルストーンを達成できたことは、大胆かつ革新的な我々の商品企画やエンジニアリングの功績です」 また、欧州日産のリージョナルSVPで研究開発を担当するデイビッド・モス氏は、「e-POWERは当社の電動化戦略の重要な鍵を握っています。完全に電気自動車へとシフトするにはもう少し時間がかかると思いますが、電気自動車と同じ100%モーター駆動のクルマならではの、快適で優れた走行性能を楽しみたいお客さまにとってe-POWERは最適な選択肢です」とコメントしている。 日本ではノートに搭載されて発売されるや否や、空前のヒットとなった日産の電動化技術のシンボル「e-POWER」が、欧州でも同様に受け入れられているのだ。

TAG: #e-POWER #エクストレイル #キャッシュカイ #日産 #海外ニュース
TEXT:御堀 直嗣
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

TAG: #i-MiEV #リーフ #三菱 #日産
TEXT:曽宮 岳大
日本の電気自動車界を牽引してきた日産・リーフは、最新のライバルの前では分が悪い!?[TET消費者派チェック]

日本で電気自動車と言ったらこの日産「リーフ」を外す訳にはいかない。伝統あるこのクルマは最新の海外ライバル、ヒョンデ「アイオニック5」とテスラ「モデルY」に対してどんな得手・不得手があるのだろうか。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。アイオニック5の回はこちら。モデルYの回はこちら。 乗る前に考えたこと EVに求めるものというのは人それぞれで、先進的なデザインやパッケージングを求める人もいれば、親しみのある従来のエンジン車に近いカタチを求める人もいると思う。リーフは後者の最右翼で、目を見張るような新しさはないが、反対に、長く親しんできたモノに宿る安心感のようなものがある。この安心感、親しみ、ホッとする感じ。これはひとつの大きな魅力として挙げられるだろう。なんでも尖っていればいいというわけではないと思うのだ。 電費 あくまでも今回我々が設定した区間での計測という前提だが、事前の予想では車重が一番軽いこと(モデルYとは320kg差、アイオニック5とは420kg差)かつ、全高と全幅も一番小さいこと(=前面投影面積が小さい)、2輪駆動のFWDであることから、電費はリーフが圧倒的な大差をつけるかと予想していた。 ※電費比較表:単位はkm/kWh、1kWhでどれほど走行できるか。数字が大きいほど電費が良い。 しかし結果は80km/h巡航が3位、100km/h巡航は2位だった。Cd値(空気抵抗係数)は2番目であることも考えあわせると、ともに2022年登場のライバルとはやはり基本設計の差が出たのだと考えられる。実際に交流電力消費率はリーフが一番大きい(=電費が悪い)ので、不利だった面は否めない。3代目リーフに期待したい。 Cd値:リーフ 0.28、アイオニック5 0.32、モデルY 0.23 交流電力消費率:リーフ 161、アイオニック5 142.4、モデルY 150(単位はWh/km、1km走るのにどれだけ電力を消費するか)   パッケージング 全高とホイールベースが最小のリーフには分が悪かった。前席ヘッドクリアランスは5cmを確保できたが、後席は天井に頭がつっかえてしまった。後席膝前は19cmと足を組めるほどの余裕はある。 全長が一番短いこともあり荷室も一番小さかった。そして土手(荷室とバンパーの高さの差)が22cmもあるので、荷物の積み降ろしも一番しづらいが、あくまでも今回のライバルと比較したからの結果だ。容量自体は435Lを確保している。なおフランク(ボンネット下の荷室)は用意されていない。 運転してわかったこと 乗る前に感じた印象は、運転した感想と重なる。新世代感の漂う他2台は、乗ると確かにワクワクする。リーフにはそのワクワク感は薄いが、乗り込んだ途端、そして走らせても、“いつも通りの雰囲気”というか、家に戻ってきた時のようなホッとする安心感がある。この安心感は嫌いじゃない。いつも自分の側にあって、道具のように当たり前に使える感覚。そのうえ進化を重ねた機械としての信頼感もある。例えば毎日の移動や、仕事の足として使うような用途には向いていると思う。

TAG: #リーフ #日産 #消費者派チェック
TEXT:烏山 大輔
ぶっちゃけどう違うの!? ミドルクラスEV・3車種をとっかえひっかえ乗ってみた![TET消費者派チェック]

「電気自動車は、電気でモーターを回して走るだけだから、回転の上下によりパワーの出方が変わるエンジン車とは違って、どれも同じようなクルマなんでしょ」 数年前まではそんな声もよく聞いたし、実際にわれわれ自身にも、そうなんじゃないかと思っていた部分もあった。 そして今回、電気自動車の3台を直接乗り比べる企画をスタートさせた。その結果、「こんなにも違うものか!」と驚きさえ覚えた。パワーの出し方も違えば、そもそも根本的な「クルマ作り」の考え方さも三“車”三様だった。 TET消費者派チェック概要 THE EV TIMES(TET)では、これまでに掲載してきた「試乗記」とは別の切り口の試乗記を始める。企画タイトルは「TET消費者派チェック」だ。 消費者派チェックでは価格や大きさなどから競合すると思われる数台を集め、同日にクルマを乗り換えながら比較、試乗することで、ドライバビリティ、電費、パッケージングの違い(室内空間と荷室)の差をあぶり出すことを目的としている。BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)を購入しようと比較・検討している読者の皆さんの参考になる記事を目指す。 室内空間については、身長172cmのドライバーがポジションをとり、同じ人間が後席に座り前後のヘッドクリアランスと後席膝前スペースを測っている。昭和生まれの人間らしく座高が高めなので、ヘッドクリアランスは厳し目になっている。 電費計測は条件を揃えるため3台で同じコースを同時に走行している。計測方法は東名高速道路の綾瀬スマートインターチェンジを出発し、東名川崎インターチェンジでUターン、綾瀬SICに戻るという往復(約43km)を1セットとし、往路と復路の平均値で比較する。速度は80km/hと100km/hで1セットづつ計測した。 各車ともに本線に合流し、目標速度に達したらACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)をセットし、巡航する。こうすることで一定速度を維持でき、読者の皆さんにも同じ方法で走行することで再現性の高い電費計測としたいのが狙いだ。 3車種の紹介 第1回目の消費者派チェックにあたり、日本のBEVの代表として選んだのは「日産・リーフ」だ。初代モデルは2010年と、今から13年も前にグローバルで世界初の量産車BEVとしてデビューした、BEVのパイオニアだ。その後、2017年に2代目に生まれ変わった。現在のラインナップにはバッテリー容量が40kWhと60kWhの2種類がある。今回の試乗車は60kWhのe+Gグレードを用意した。車両本体価格は583.44万円だ。 2台目は2022-2023インポートカーオブザイヤーにも輝いた「ヒョンデ・アイオニック5」である。2009年に日本市場から撤退したヒュンダイが2022年にヒョンデとブランド名を改め再上陸した。 新生ヒョンデにエンジン搭載車はなく、BEVのアイオニック5とFCEV(燃料電費車)の「ネッソ」の2車種のみ。アイオニック5には5つのグレードが用意されているが、今回の試乗車はAWDで72.6kWhのバッテリーを積むトップグレードのLounge AWDだ。車両本体価格は599万円とリーフとほぼ同じになった。 3台目はアメリカ代表のBEVメーカーテスラから「モデル3」を用意しようとしたが、取材日程に合う広報車の都合で「モデルY」になった。モデルYはモデルXに次ぐテスラの2車種目のSUVだ。現在のモデルYは3グレード構成で、試乗車はAWDのパフォーマンスである。バッテリー容量は非公表、車両本体価格は727.9万円だ。 モデルYのみSUVということで、3台が揃うと全高の違いが大きいかと想像していたが、リーフは1,565mm、アイオニック5が1,645mm、モデルYが1,624mmということで写真でもお分かりの通り、際立った差はなかった。特にハッチバックスタイルに惑わされて単体だと小さく見えるアイオニック5だが、実は全長4,635mm、全幅1,890mmとかなりの大柄だ。 価格ではリーフとアイオニック5が、大きさではアイオニック5とモデルYが、ライバルとして比較されることは十分にあり得そうなので、結果としてこの3台になって良かったのかもしれない。 リーフの回はこちら。 アイオニック5の回はこちら。 モデルYの回はこちら。 日産 リーフ 全長:4,480mm 全幅:1,790mm 全高:1,565mm ホイールベース:2,700mm 車両重量:1,680kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:161Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:450km(WLTCモード) 最高出力:160kW(218ps)/4,600-5,800rpm 最大トルク:340Nm(34.7kgm)/500-4,000rpm バッテリー総電力量:60kWh モーター数:前1基 駆動方式:FWD(前輪駆動) フロントサスペンション:ストラット リアサスペンション:トーションビーム フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前後215/50R17 最小回転半径:5.4m 荷室容量:435L(フロント無し) 車両本体価格:583万4,400円   ヒョンデ アイオニック5 全長:4,635mm 全幅:1,890mm 全高:1,645mm ホイールベース:3,000mm 車両重量:2,100kg 前後重量配分:前1,060kg、後1,040kg 乗車定員:5名 […]

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「スカイラインNISMO」発表の様子。日産横浜本社で
TEXT:桃田 健史
BEVチューンは自動車メーカーの真骨頂?日産・NISMO電動化戦略の行方、ハイパフォーマンスICEからどう進化?

電動化の大波が押し寄せている自動車産業界。チューニングカーの分野でも今後、電動チューニングが必要となるが、そうした中で自動車メーカー系の関連企業はどのような手を打って来るのか。「スカイラインNISMO」発表会で日産関係者に聞いた。 スカイラインNISMO登場 日産は2023年8月8日、「スカイラインNISMO」を世界初公開した。 「スカイライン400R」をベースに、搭載エンジン「VR30DDTT」の最高出力を405psから420psに引き上げ、合わせて最大トルクも475N・mから550N・mへと大幅に拡大した。 ドライビングモードについても、STANDARDモードでは日常づかいを加味した味付けとし、またSPORTとSPORT+モードではNISMO専用のAT(オートマチックトランスミッション)変速制御を施した。 タイヤサイズはリアタイヤの幅を20㎜拡大し、アルミホイールはNISMO専用のエンケイ製19インチを採用するなどして、コーナーリング性能をさらに一段、向上させた。 さらにフロントスポイラーを含めた空力パーツへの改良も着手するなどして「史上最上のスカイライン」を具現化させたといえる。 販売台数は限定1000台。価格は788万400円。RECAROシートとカーボン製フィニッシャー装着車が847万円。 そのほか、横浜工場での「匠ライン」で、日産社内での特別な資格を持つ匠がエンジンを丁寧に手組みする「スカイラインNISMO Limited」を限定100台生産する。価格は947万9800円。

TAG: #NISMO #スカイラインNISMO #日産
ルノー、日産、三菱が2023年2月に行った会見の様子。出典:日産
TEXT:桃田 健史
日産×ルノーのBEV開発企業「アンペア」がついに始動へ。欧州のみならず米中等でのBEV戦略の検討も考慮か?

日産がルノーとの出資比率を見直すなど、企業間での新しい契約について締結を完了した。その中には、ルノーが設立したBEV関連企業「アンペア」対する出資も含まれる。 グローバルでBEV市場環境が大きく変化する中、日産は「アンペア」と共にどう動くのか? 5か月越しでやっと締結完了 ルノーグループと日産は2023年7月26日、2023年2月6日に締結・公表された拘束力がある枠組み合意を踏まえた最終契約の締結を完了したと発表した。 その一環で、日産はルノーグループが設立するBEVとソフトウエア開発企業の「アンペア」に対して、日産から取締役を派遣し、最大6億ユーロ(1ユーロ156円換算で936億円)の出資を決めた。 日産の内田誠CEOはニュースリリースで、3社の協業が「次のフェーズに進む」ことを強調。また、「欧州での電動化の取り組みを補完・強化する」とコメントを発表している。 この発表と同じ日、日産は2023年度第1四半期決算を発表。その中で、内田CEOは記者からの質問に答える形で、アンペアへの出資について触れた。 それによると、日産のこれからの事業として、それぞれの市場で違った商品戦略や技術戦略が必要になってくるとの認識を示した。 こうした指摘をする背景には当然、欧州連合による欧州グリーンディール政策がある。 政策パッケージ「Fit for 55」による2035年時点において、欧州域内での乗用車と商用車のZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)へ転換が進む。 「Fit for 55」については当初、ZEVをBEVと燃料電池車のみと規定し、ZEV100%を明記していたが、ドイツからの提案によって再生可能エネルギー由来の合成燃料であるe-Fuelを含めるとの方針転換を行った。 いずれにしても、欧州での電動化へのシフトは今後、加速していくことは確実な情勢であり、ルノーと日産が電動化戦略で新たなステージでのチャレンジを進めていくことは、欧州で継続的に事業を行う自動車メーカーとしては必須条件であると、筆者は見る。

TAG: #アンペア #ルノー #日産
TEXT:TET 編集部
「軽EV」が市民権を獲得か。日産「サクラ」の販売台数が発売1年で5万台を達成。補助金が販売を後押し

軽バッテリー電気自動車(BEV)の「日産サクラ」が売れている。日産自動車の発表によると、昨年6月に発売した「サクラ」の受注累計が5万台を突破したと発表した。年間5万台というのは、軽乗用車全体の中でもかなり優秀な数字。詳しく見ていこう。 普通車に匹敵する充実装備も人気の秘訣か 全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,655mmという人気のトールワゴンスタイルで三菱「ekクロスev」と同時にデビューしたサクラは、BEVにもかかわらず、当初233万3,100円という戦略的な価格設定で大人気を博し、一時は新規受注が停止される騒ぎとなった。 もちろん、BEVハッチバック「リーフ」を世界に先駆けて販売した日産が自信を持って送り出すモデルだけに、走行性能も妥協はなく、最高出力47kW(64ps)/最大トルク195Nmを生み出すモーターや20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。航続可能距離(WLTCモード)は180kmと軽乗用車として実用に過不足ない水準を確保し、「CHAdeMO(チャデモ)」方式の急速充電にも対応しているため、80%までの充電時間は約40分で済む。 軽自動車の枠を超えた装備の充実も人気の秘訣で、エントリーグレードの「X」(254万8,700円)でもLEDヘッドライトや電動パーキングブレーキなど日常遣いに便利な装備が標準。さらに、上級の「G」(304万400円)なら、アダプティブクルーズコントロールなどからなる運転支援システム「プロパイロット」や9インチワイドディスプレイを備えたインフォテイメントシステムまで付いてくる。 スタート価格については、各種原材料の高騰などから数回の値上げを経て現在254万8,700円となっているが、例えば東京都の場合、国の補助金55万円に加え、都独自の補助金55万円(基本補助額45万円+メーカー別上乗せ補助金10万円)が上乗せされ、計110万円が支給されるから、車両本体の自己負担は150万円以下で済む。 これだけの充実装備を持った軽自動車なら通常の内燃機関車(ICE)でも200万円弱はいくから、BEVのサクラに注文が集まるのも無理はないだろう。さらに、日産のホームページによると、今ならサクラは注文から工場出荷まで1〜2ヶ月程度と納期も短いから、非の打ち所がないという状況だ。 >>>次ページ 軽ベストテンも見えてきた

TAG: #売れ筋モデル #日産 #補助金
TEXT:桃田 健史
日産創業の地・横浜工場で次世代に向けて進化を準備。エンジン累計4000万基突破取材会で明らかになったこととは?

日産の横浜工場で製造されたエンジン総数が2023年6月に累計4000万基を超えた。それに伴い、「エクストレイル e-POWER」等に搭載するVC-ターボの製造工程を公開。さらに、横浜工場の次世代化について方向性を示した。 1933年創業からDNAを継承 京浜工業地帯の一角にある、日産自動車横浜工場は、1933年に日産(当時:自動車製造株式会社)が創業した地である。1935年には、日本初の自動車一貫製造工場として稼働した。生産したのは、ダットサン14型だった。 その後、1965年に神奈川県内の座間工場完成に伴い、横浜工場はエンジンやサスペンション等のユニット生産工場に特化し、現在に至っている。2010年には、「リーフ」対応の電気モーター、また2019年にはe-POWER用モーターの生産も開始した。 日産横浜工場長の和田民世氏は「ここは、生産技術開発部門と協働し、圧倒的なものづくり力で量産条件をグローバルで展開する、グローバルパイロットプラントだ」と、日産にとっての横浜工場の立ち位置を表現する。 VC-ターボの生産技術詳細を初公開 日産は今回、横浜工場での生産累計4000万基突破に伴い、量産エンジンとして世界初となる圧縮比を可変できるターボチャージャー付エンジン「バリアブル・コンプレッション・レシオ・ターボ(略称VC-ターボ)の生産技術をメディア向けに初公開した。  理論上、ガソリンエンジンにおいて、圧縮比を上げるほど理論熱効率も比例して上がる。だが、あまりに高い圧縮比では、シリンダー内で混合気が自然着火するノッキングなどが発生する。そうしたガソリンエンジンの基本特性を踏まえた上で、エンジンの運転中に圧縮比を可変することがガソリンエンジンの理想の形であると、長年に渡り言われてきた。 実際、「(一時期、日産と技術連携していた)メルセデス・ベンツも、圧縮比が可変するエンジンを試作したが量産が難しく実現していない」(日産エンジニア)という。日産では、こうした技術難関を、高強度部品の製造技術、高精度部品の加工技術、高精度部品のバラツキをコントロールする組立技術、さらに新材料と新工法にチャレンジすることで実現した。 技術的には、ピストンの上下運動を、U(アッパー)リンク、Lリンク(ローワーリンク)、Cリンク(コントロールリンク)の3部品の動きを、VCRアクチュエーターを介して作動させることで、圧縮比の可変を行っている。 そうした設計図の上での理論を、横浜工場における「匠」の技術を自動化した生産技術によって、リアルワールドでのパワートレインとして量産しているのだ。

TAG: #全個体電池 #工場 #日産
TEXT:岩尾 信哉
ルノー・日産・三菱アライアンス、資本提携関係を見直し 日産、ルノーのEV子会社への出資を決定

変化するルノー・グループと日産の関係 ルノー・グループ、日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社は2023年2月6日、英国ロンドンで会見を行い、ルノー・グループと日産の取締役会での承認を経て、3社のアライアンスをより高いレベルに引き上げることを目指す旨を発表した。 会見の内容として重要なのは、ルノー・グループと日産の資本比率がそれぞれ43%、15%から、どちらも15%に変更されたことだ。日産としては1999年のルノーとの資本提携から20年以上を経て、ようやく「不平等条約」の解消にこぎ着けたことになる。なかでも注目すべきは、ルノー・グループと日産が将来のEV開発に向けて、新たな取り組みを共同で実施するとしている。 世界市場での電動化モデル販売の拡大 今回のアライアンスの発表として、以下のような概要が明らかにされた。注力すべきマーケットとして、ラテンアメリカ、インドおよび欧州において、事業の拡大などのアライアンス強化を推進するとしている。 ラテンアメリカでは、ルノー・日産の協業によるアルゼンチンやメキシコでの新型車の投入を含むピックアップモデルの販売強化などを公表。メキシコでは、日産が20年ぶりにルノー・グループ向けに新型車を生産するとしている。EVに関しては、EV専用のCMF(コモン・モジュール・ファミリー)-AEVプラットフォームをベースとした、日産とルノー・グループの「手頃な」AセグメントのEVを2車種投入するとされる。 市場拡大が見込まれるインドでは、ルノー・グループと日産は、複数の新型車プロジェクトでの協業を検討しつつ、中南米地域と同様にAセグメントEVの導入を検討するという。 ルノー日産による次期B/CセグメントのEV開発 ルノー・グループの主要市場であるヨーロッパについて見てみると、詳細は未公表ながら、将来への取り組みの検討が公表されている。 2026年以降のEVのラインナップに関しては、ルノー・グループと日産は、次世代CセグメントEVにおける協業の可能性を模索するとされる。将来的に技術水準となるような充電時間を達成するために、ルノーと日産は共通の800Vアーキテクチャーの採用を検討するなど、欧州市場向けモデルにおける技術の共有を継続するとした。 具体的には、2026年からルノーのEV生産子会社であるフランスの「ルノー・エレクトリシティ」で生産を予定。従来のCMF-BEVプラットフォームをベースとした将来の日産のコンパクトEV (Bセグメント) など、既存のプロジェクトとともに開発等を推進していくという。 いっぽう、ルノー・グループと三菱自動車は、ルノーの「キャプチャー」「クリオ」の資産を活用し、CMF-Bプラットフォームをベースとした次世代「ASX」「コルト」の2車種の新型車を開発予定としているが、電動化に向けた動きは明らかにされていない。 このように将来的にはアライアンス内でのEVのA/Bカテゴリーはルノー、C/Dは日産がカバーするとしており、三菱に関しては検討中となっている。 既存の長期ビジョンとしては、日産の「Nissan Ambition 2030」やルノーの「Renaulution」が謳われている。これらに基づき、アライアンス・メンバー各社の事業計画を補完するよう立案された今回のビジネスプランは、「各社の持続可能な成長や脱炭素化に向けた目標の実現に向けて、共通性や投資機会の面から活用されます」としている。 具体的には、各社の新たな取り組みに関して、異業種のパートナーが参加可能となるようなビジネス戦略を展開する。電動化や低排出技術について既存の戦略に沿って進めるとともに、ビジネスのうえで付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意したという。 前述のように、日産は2021年11月末に「Nissan Ambition 2030」を発表している。今後5年間で約2兆円を投資して電動化を加速するとして、2030年度までにEV15車種を含む23車種の新型EVを投入予定としている。日産はグローバルの「電動車」のモデルミックスを50%以上へ拡大。技術面では、次世代の高性能バッテリーとして注目される全固体電池を、2028年度に市場投入するなどとしている。

TAG: #ルノー #三菱 #日産
TEXT:TET 編集部
EVを含む次世代自動車の試乗会を横浜市が開催……デイリーEVヘッドライン[2023.02.08]

メーカーの垣根を超えた次世代自動車の試乗会を横浜市が企画 【THE 視点】横浜市は、EVをはじめとした次世代自動車の試乗イベント「Zero Carbon Yokohama 次世代自動車試乗会 in みなとみらい」を開催する。  同市は「横浜市地球温暖化対策実行計画」に基づき、温室効果ガス排出削減を進めるため次世代自動車の普及を促進している。その一環として各自動車メーカー・販売店と連携協定を締結。その第2弾のイベントとして開催する。  試乗車は「トヨタbZ4X」「トヨタ・ミライ」「日産サクラ」「ホンダe:」「マツダMX-30 EV MODEL」「CX-60 PHEV」「三菱eKクロスEV」「アウトランダーPHEV」「ヒョンデ・アイオニック5」の9車種。  これだけの車両が一度に展示・試乗できるのはなかなかないだけに、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。「EVなどの次世代自動車が欲しいがどれにしようか悩んでいる」という購入検討者には大変良い機会であるはず。昨日の「THE視点」でも触れたが、やはり実車を見て乗って、スタッフから話を聞きたいと思う人も多いのではないだろうか。  例えば試乗会で販売店のスタッフと話ができれば、その流れでディーラーにも行きやすいはず。こういった試乗会はぜひ全国規模で開催してほしいものである。  ちなみに横浜市は次世代自動車の普及促進に力を入れていて、燃料電池車購入やEV用充電設備導入の補助金などを用意している。  このようなイベントは、開催する横浜市をはじめ展示車を提供する地元ディーラー、ユーザーそれぞれにメリットがあると感じる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★BMW、メキシコに8億ユーロを投資……現地で高電圧バッテリーアセンブリーを生産 ・BMW、ライプツィヒ工場でバッテリーセルのコーティングラインを稼働……高電圧バッテリーの生産を強化[詳細はこちら<click>] ・マツダ、自動車用モーター可変界磁技術の開発で「NEDO省エネルギー技術開発賞」を受賞……モーターの実用域の効率改善と回生量を増加、今後EVにも技術を適用 ・ルノー・グループと日産、欧州で両社販売店における充電インフラの共同整備を検討……使用済みバッテリーと生産廃棄物のリサイクルについても共通パートナーを選定 ・東レ、韓国でPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂「トレリナ™」の生産能力を年産5,000トンに増設……EVの電装部品に使用する素材 ・アウディ、IT系人材400人を新規雇用……eモビリティのソフトウェア開発を強化

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