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TEXT:桃田 健史
10分満充電超急速充電方式、立山黒部アルペンルートの「電気バス」。導入成功した理由とは?

人気旅行スポットの定番といえる、立山黒部アルペンルート。バスやケーブルカーを乗り継ぎで、北アルプスを貫いて長野県と富山県を行き来できる。その一部では現在、電気バス(EVバス)が運航している。導入の背景とEVバス導入成功の秘訣とは何かを、現地で探った。 54年間に渡るトロバスの実績 「一度は行ってみたい観光地」として、広い世代から人気の高いスポットが、立山黒部アルペンルートだ。 総延長は37.2km、最大高低差は1,975mに及ぶ、世界屈指の山岳観光ルートである。 特徴なのは、様々な乗り物を乗り継いで進むこと。 例えば、JR長野駅を起点とすると、特急バス、路線バス、(関電トンネル)電気バス、徒歩、ケーブルカー、ロープーウェイ、(立山トンネル)トロリーバス、バス、ケーブルカー、鉄道と10の行程を経て電鉄富山駅にたどり着く。 待ち時間なしでこれら10行程の総合時間は4時間40分に及ぶ。途中の観光スポットを散策したり食事をしていると、ほぼ丸1日を要することになる。 筆者はこれまで、長野県側と富山県側のそれぞれからこれら10行程を体験してきた。そうした中で近年、自動車業界や公共交通に携わる地方自治体から注目が集まっているのが、電気バスだ。正式名称を「関電(関西電力)トンネル 電気バス」という。 電気バスの技術詳細に触れる前に、電気バスの歴史を振り返っておきたい。 導入されたのは2019年からと比較的、日が浅い。だが、立山黒部アルペンルートを訪れる人にとっては、扇沢~黒部ダムの行程では、電気バス導入前から、「トロバス」という名の電動バスとして親しまれてきた。 トロバスとは、トロリーバスのことだ。電車のパンタグラフのような集電機器を介して架線から電気を受け取りながら走る電動車である。昭和の時代には全国各地でトロリーバスが導入されており、筆者も横浜市内の実家周辺でトロリーバスを使っていた経験がある。 関電トンネルのトロバスが導入されたのは、第一回東京オリンピックが開催された1964年。初代(100型)は1995年まで、また二代目(200型)が1969年~1996年まで、そして三代目(300型)が1993年~2018年まで、一部の時期を重複して運航してきた。 なぜトロリーバスや電気バスが必要なのか? トロバスが導入された理由は、山岳地帯の自然環境保護の観点から、クリーンエネルギー車として選択されたからだ。いまでは、社会全体でSDGs(国連・持続可能な達成目標)やカーボンニュートラルといった考え方が共有できている。 それが、トロバス導入の1964年といえば、高度経済成長の初期であり、車社会シフトの前夜である。そんな時期に、自然環境保護を優先して、コストの高いトロバス導入を決断した当時の関係者は、まさに先見の明があったと言えるだろう。その上で、全国各地の公共交通での運航実績を踏まえて、山の奥地、しかも長いトンネル内にトロバスが導入された。 関電トンネル トロバスのラストイヤーに乗車した際、今後の記念として集電装置などを撮影した。また、試乗中は実質的には電気バスであるため、車内にディーゼルエンジンのような大きな振動もなく、またバスの乗降地点の空気も澄んでいた。 電気バスは15台導入 電気バス導入のきっかけについて、関西電力では「トロバスの車両、およびインフラが老朽化してメインテナンスコストがかさんできたから」という理由を挙げている。電気バス導入で年間約4000万円のコスト抑制を実現した。 もちろん、電力会社としてクリーンエネルギーを運輸部門で積極的に導入したいという意図もあった。 電気バスは、日野自動車「ブルーリボン」がベースで、EV・水素・天然ガスなどの車両に対応する開発企業「フラットフィールド」がEVに仕立てた。総重量は10,300kg、乗員80人、駆動モーター出力は230kW、リチウムイオン・バッテリーの容量は52.8kWh。 通常の充電は、扇沢駅のプラットフォームに停車中、車載パンタグラフを上げて約10分間の大出力の超急速充電を行う。また、チャデモ方式での充電にも対応する。電気バスの運航関係者によると「5.4kmを往復する毎に10分充電している。行きは上りなので下りより多く電気を使う」と話す。 今回は平日の利用で比較的空いていたが、土日や夏休みシーズンは連日、扇沢駅で電気バス乗車を待つ人の列ができる大人気路線。 料金は今回、扇沢から黒部ダムまでの往復で一人3,200円。こうした料金設定でも、他に類のない人気の山岳観光ルートであるため、訪れる人にとっては料金支払いへの心のハードルが低いのではないだろうか。

TAG: #EVバス #トロリーバス #立山黒部アルペンルート
TEXT:烏山 大輔
エコランではなくガチ計測!THE EV TIMES流の電費計測を開始

BEV(バッテリー電気自動車)を購入するにあたり、不安な点と言えば充電環境に加えて、まだまだ不充分とされる航続距離だ。 カタログには一充電走行距離の値を明示してある。しかしEVが実際に使われる現場は、そうした値が記録される平坦で一定なテストコースではなく、勾配もカーブもある。 そこでTHE EV TIMESでは、試乗や撮影で広報車を借り出す機会に乗じて、公道の高速道路で「生きた」電費を計り、読者の皆さんの参考になる電費を導き出したいと考えた。 計測方法 高速道路をACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使用し、80km/h、100km/h、120km/hの各速度で巡航した電費を計測する。ACCを使用することで、誰でも一定速走行を実現できるので、読者の皆さんの再現性も高いものとなる。 なお、同じ区間の往路と復路を同じ速度で走行することにより、勾配(標高差)を平準化しており、往復距離を往復で消費した電力で割って区間電費としている。同じ速度の別区間(AとD、BとC)との平均電費も走行距離を消費電力で割って算出している。 計測区間に入ったらすぐにACCを巡航速度に合わせ、電費をリセットし計測区間終了直前の電費を記録する。 なお、車両のメーター速度表示と実際の速度には差があるため、GPSで実速度を確認しACC設定速度を調整、正確に各巡航速度で走行できるようにする。こうすることでメーター80km/h巡航においてA車は実速度78km/h、B車は実速度が75km/hで、実はB車の方が有利だったという不公平をなくす。 そして計測は、交通量が少なく渋滞が発生する可能性の低い深夜に実施する。 計測区間 120km/hの電費を計測するため、現状では国内で最も制限速度120km/h区間の長い新東名高速道路(以下、新東名)を利用するため、東名高速道路(以下、東名)と新東名を使用することにした。 実際の制限速度を踏まえ、かつ各速度で往復の走行距離を約100kmに合わせるため、下記の5区間を設定した。 A区間: 東名川崎IC(標高47m)ー厚木IC(標高22m) 100km/h、距離27.4km、標高差25m   B区間: 厚木IC(標高22m)ー秦野中井IC(標高107m) 80km/h、距離15.1km、標高差85m   C区間: 秦野中井IC(標高107m)ー御殿場IC(標高454m) 80km/h、距離33.6km、標高差347m D区間: 御殿場IC(標高454m)ー駿河湾沼津SA(標高138m) 100km/h、距離23.3km、標高差316m E区間: 駿河湾沼津SA(標高138m)ー新静岡IC(標高71m) 120km/h、距離47.8km、標高差67m 80km/h巡航区間距離:片道48.7km、往復97.4km 100km/h巡航区間距離:片道50.7km、往復101.4km 120km/h巡航区間距離:片道47.8km、往復95.6km 標高差の多寡による電費の差を確認するため、80km/h区間はあえてB区間(標高差85m)とC区間(標高差347m)に分けている。 100km/h巡航もA区間は標高差25mとほぼ平坦だが、D区間は316mもあり、この2区間の差にも注目だ。 120km/h巡航は確実に電費が悪くなることが考えられるが、各自動車メーカーはBEV化にあたり、ドアハンドルをグリップ式からフラップ式や格納式にしたり、メルセデスはEQシリーズにワンボウ・デザインを採用するなど空力性能を突き詰めており、EQSセダンに至っては量産車世界初のCd値0.20を達成している。 さらに欧州では120km/h以上の速度域での移動の場面も実際に考えられるので、欧州車、中でも特にアウトバーンのあるドイツ車が120km/h電費の「落ち度」が少ないかどうかなど、何か見えてくるものがあるかもしれないと思い、120km/hの電費計測にも臨む。  

TAG: #航続距離 #電費 #電費計測
TEXT:岡崎 宏司
岡崎宏司の「EVは楽しい!」第15回:これから増える選択肢、ますますEVは楽しい!

e-208GTを2年半以上愛用される岡崎さんは、これから登場するEVたちを加えて選べる喜びを感じています。「だから、ますますEVは楽しい!」と、期待感大にしてピックアップしています。 23年後半から、いろいろ選べそうだ 僕がプジョー e-208GTをピックアップした時のEVの選択肢、とくにコンパクトクラスの選択肢は限られていた。基本を同じくする「プジョー e-2008」と「シトロエン DS3 E-TENSE」、そして「ホンダe」くらいしか選択肢はなかった。 あれから2年半以上経った今でも、状況はさほど変わっていない。フィアット500eが加わったくらい。しかし、今年後半から1~2年内には、いろいろと選択肢は増えそうだ。 何がいつ頃日本で発売されるかはわからないが、希望をも込めて、早期の日本発売を期待したいコンパクトEVをピックアップする。 サンクが帰ってくる まず挙げたいのは、「ルノー5(サンク)EV」。この5月にプロトタイプが発表されたばかりだが、生産/販売は2024年に開始するとアナウンスされている。 かつてフランスで、欧州で、絶大な人気を獲得したルノー5だが、僕も強く惹かれ、家内用に5バカラを購入した。 そんな5がBEVとして戻ってくるというのだから、平静ではいられない。しかも、「カッコいい!!」ルックスを纏っている。黒のトップにイエローのボディ、そして鮮やかな赤のアクセントも刺激的だ。 かつて持っていた5バカラは艶やかな黒だったが……「5 EVも黒にしよう。赤のアクセントはそのままに……。ベージュの革張り内装のバカラ・モデルがあるといいなぁ!」と、すでに妄想は始まっている。 「走行距離は400km」程度とされるが、プジョー e-208とほぼ同等。とすれば、僕にはまったく問題ないし、多くの人にとっても同様だろう。 走りにしても、プジョー e-208とさほど遠くないレベルのものと思うが、ルノーHV車などの仕上がりのよさを考えると、かなりいいレベルの走り味を期待しても良さそうだ。 なぜ日本で販売されないのかが不思議なMINIクーパーSE 欧州市場では人気モデルになっている「MINIクーパー SE」だが、日本では販売されていない。コンバーチブル・モデルも「999台の欧州限定車」だ。 MINI EVが日本市場でなぜ販売されないのか理由はわからない。……が、多くの人にとっては魅力的な選択肢になるだろうし、そう遠くない販売開始を期待しよう。 モーターは135kW/270Nmの出力/トルクを引き出し、0-100km/hは7.3秒、最高速度は150km/hを発揮する。十分以上のパフォーマンスと言っていい。 航続距離は234kmと短めだが、欧州市場で販売されるMINIの5台に1台はEVモデルと聞く。つまり、この性能で、日常は十分カバーできる人は少なくないということである。 バッテリー容量は32.6kWhと小さい。だが、その分軽量になるし、重量配分のよさと重心の低さに、EVならではの瞬発力が加わる。なので、MINIならではの「ゴーカートフィールはさらに際立つ」ものになるのだろう。 導入が待たれるスマート・フォーツーEQ 欧州デビューしてから3年以上も経つのに、未だ日本上陸のない「スマート・フォーツーEQ」も気になって仕方がない。 とくに、カブリオモデルは、写真を見ているだけでワクワクしてくる。オープンにした状態で斜め後方から見た姿には強く惹かれる。 スマートブランドは2018年、内燃エンジンモデルを終了して、BEVモデルへの一本化を発表している。 そして発表された「フォーツーEQ カブリオ」は、17.6kWhのバッテリーを積み、走行距離は153km。実用走行距離を60~70%と見ても、セカンドカー、あるいはサードカーと考えれば、何の問題もない。 日本で高い人気を獲得している「日産サクラ」の走行距離は180kmだが、ユーザーから文句が出ているという話は聞いていない。 スタイリッシュなボルボEX30にも期待! 今夏にも販売開始されるとアナウンスされている「ボルボ EX30」も、気になっている。 エクステリア、インテリアともに、とてもスタイリッシュなところにまず惹かれる。趣味も仕立てもいい最新デザインのスーツ……そんなイメージが浮かび上がる。うまく着こなしたらかなりカッコいいこと間違いなしだ。 走行距離(480km)も含めて、パフォーマンス的にもかなり高いレベルにある。2030年にはEV専業メーカーになると宣言したボルボらしい、気合の入った仕上がりだ。 幅が1,800mmを超えている(1,837mm)のが唯一の引っかかる点だが、他のあれこれの魅力を考えると、妥協できるかもしれない。 来年か再来年辺りには、コンパクト系EVの選択肢はどんどん拡大するだろう。楽しみで仕方がない。

TAG: #e-208GT #EX30 #岡崎宏司
EVトゥクトゥク「エネバイ」(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
災害支援は電動で進化する……「東京国際消防防災展2023」にEVバイク等が出展された理由[THE視点]

「消防展」レポートの後編は消防車以外の支援機器類を紹介 活用が進んでいるEVの三輪バイク 日本最大級の消防・防災に関する展示会「東京国際消防防災展2023」(主催:東京消防庁/東京ビッグサイト/東京国際消防防災展2023実行委員会)が、6月15日〜18日に東京ビッグサイト<東京都江東区>にて開催された。 前回のレポート[詳細はこちら<click>]では、展示会の花形と言える消防車のEVを紹介した。しかし火災は消防車だけで消火することはできず、様々な支援機器を適宜使用することで完遂できるものといえる。何より消防活動は人命活動が第一。火災だけではなく、昨今激甚化している水害への対応も求められるため機器類も進化している。そこにはもちろん電動技術が取り入れられている。 前置きが長くなったが、後編となる今回は、消防車以外で電動技術を取り入れた車両・用具を紹介したい。 三輪のEVスクーターを改造した小型ポンプ車両……トーハツ トーハツは、コンパクトな三輪EVの消防バイク「颯」(はやて)を展示。ベースは、EVモーターズ・ジャパンの「BARCA(バルサ)」で、艤装前のスペックで最高速度55km/h。バッテリー容量は5.12kWhで、航続距離は100kmとなっている。 荷台は架装されトーハツの「VE25AS」ポンプを搭載し、2ストローク・ガソリンエンジンで駆動する。 そのほか、バッテリー駆動の電動可搬消防ポンプ「MODEL-1」も展示されていた。 救急に必要な電源をすぐに届ける電源デリバリーバイク……アイディア Aidea(アイディア)は、三輪のEVスクーター「AAカーゴ」の特別仕様車を展示。車載のバッテリーから100Vの電源を出力できるもので、災害時など緊急で電源が必要な場所に迅速に移動でき、ライフラインの確保に役立つ。 EVの「トゥクトゥク」も立派な小型ポンプ車に……サポートマーケティングサービス サポートマーケティングサービスは、消防ポンプを搭載したEVトゥクトゥク「エネバイ」を展示。「シバウラ」製のポンプを荷台に装備している。車体がコンパクトなため、狭い場所へも迅速な展開が期待できる。最大積載量200kg以下で航続距離は90km程度を確保しているという。 電装アシスト「リヤカー」で人力を強力に手助け……ヤマハ発動機 ヤマハ発動機は、次世代型電動ホースカー「X QUICKER(クロスクイッカー)」を展示。基本は人力であるが、高出力なモーター2基が走行をアシストし、坂道などでも楽に引っ張ることができる。約20kmの連続走行が可能だ。

TAG: #THE視点 #はたらくEV #東京国際消防防災展
ボルボ EX30の発表会でプレゼンするボルボ カーズのジム・ローワンCEO
TEXT:小川フミオ
ボルボは熾烈な戦いをいかに制するか。彼らがEVメーカーに「変身」した理由をCEOに訊く

相次いで新型EVを投入するボルボ。今後も毎年のようにニューモデルをリリースしていく予定であるという。EV専業メーカーになる道を選んだボルボは、これまでとは大きく変わっていくのだろうか。だが、舵取り役のジム・ローワンCEOの言葉からは、今回の「変身」は、彼らが「らしく」いるための選択であったことが明らかになった。 グローバル生産する“効能” 小型SUVのBEV、EX30を発表・発売(欧州)したボルボ・カーズ。このクルマが代表する今後のボルボの“行き方”こそ、市場に評価されるものだと、ジム・ローワンCEOは自信を見せる。 EX30発表会におけるローワンCEOへのインタビューから、ここでは、技術と生産と、それらに密接なかたちで結びついた印象のマーケティングについて、注目すべき発言をまとめた。 −−EX30は、2023年の欧州に続いて、日本でも発表・発売を予定しているとか。 「日本市場には、EX30のサイズはぴったりだと思うんですが、どうでしょうか。実際、私が聞くところでは、日本の市場調査では、EX30に期待する声はたいへん大きいとか。私が見たかぎりにおいても、東京のような市街地で乗るには、最適なサイズのクルマです」 −−先んじて2022年11月に発表された大型SUVであるBEVのEX90は、期待できる内容だが発売は2024年に延期された。 「いまソフトウェアをすべて書き換えて、2024年後半の発売に備えていこうという状況です。クルマはいちおう出来てきたのですが、私としてはソフトウェアの完成度に不満があり、そこで、4〜5ヵ月発売を延期しても、完成度を上げるほうを当然選んだわけです」 −−ボルボ・カーズにとってあたらしい動きは、EX90もEX30もグローバル生産を選択したことだ。 「EX30は中国生産した車両を世界各地に輸出します。EX90については、中国の自社工場とともに、サウスカロライナ州チャールストンの自社工場で生産します。私たちが吉利汽車(ジーリーともギーリーとも欧米では呼ばれる)と(EX30の)プラットフォームをシェアする戦略を選択したことで、開発費削減という恩恵が得られます。このさきボルボ・カーズでは毎年のように新車を発表していきたいと思っていますから、開発提携は重要な課題です」 「若いひと」に支持されるボルボ −−吉利汽車といえば、英国の伝統的なスポーツカー、アストンマーティンの大株主であり、ロータスの親会社でもあるが、BEVについても知見は豊富だ。 「吉利汽車のエンジニアリングにおける知見と蓄積されてきた技術力は、私たちのプロダクト開発においてもおおいに役立ちます。優秀なエンジニアもたくさん協力してくれています。中国企業がもつBEVの開発能力はたいそう高いものです。それらを役立てることでボルボというブランドの商品力はいっそう強化されると私は思います。ボルボに期待される安全性やデザイン性、それにサステナビリティに関するコンセプトは守りつつ、価格競争力を持つことが出来るのです」 −−大きな中国企業と密接な協力関係をもつことで、将来そこに飲み込まれていく不安はないか。 「協力関係を拡大していくことで、キャラクターを喪失しないかと不安の声も耳にしますが、ボルボ・カーズがボルボのブランドのもとで発売するプロダクトは、ホロモゲーション、安全性テスト、内外装、素材、サプライチェーンなど、すべて独自のものを使います。共用するのは、バッテリーなどを含めたプラットフォームです」 −−これから熾烈化するBEV市場で生き残っていく施策は、ボルボらしさを見失わないということか。 「ボルボは量産ブランドではありません。プレミアムブランドという位置づけです。そのなかには生産台数も含まれます。乗用車の市場で、1%ぐらいのシェアを持っていて、それを2%まで拡大することは出来るでしょう。ユーザーはボルボというブランドを好いてくれていて、安全性やサステナビリティに関して、ブランドイメージを高く評価してくれています」 −−ボルボはプログレッシブなブランドとして評価されている。 「調査によると、いまボルボに注目してくれるユーザーのなかには、科学の分野に携わるひとや、ソフトウェアのエンジニアや、マーケティングを担当しているひとなどが目立つそうです。年齢も若いひとが多い。このひとたちにとってボルボは“プログレッシブ(先進的)”なブランドなのです。これからも、やや保守的なイメージのあるブランドから多くのユーザーが移行してくると信じています。それは、私たちが大事にしている価値を、若いひとたちがシェアしてくれるからです」 <完>

TAG: #EX90 #トップインタビュー #ボルボ
TEXT:桃田 健史
LUUPも7月1日から「特定原付」に。最高速度表示灯や6km/hモード搭載モデルを順次入れ替え

2023年7月1日の改正道路交通法の施行で新たな車両区分として誕生した、特定小型原動機付自転車(特定原付)。これまで電動キックボードの実証試験を全国各地で行ってきたLUUPはどう対応するのか、同社の方針について取材した。 実証実験を終え、本格的な事業展開を開始 電動キックボード等のシェアリングサービス事業者のLUUP(ループ)が2023年7月1日、東京の渋谷区内で「改正道路交通法の施行に際した取材会」を実施した。 LUUPは、2018年5月に創業。サービスを開始したのは、電動アシスト自転車が2020年5月、また電動キックボードは2021年4月から。 現在の事業展開地域は、東京、大阪、横浜、京都、神戸、名古屋、そして宇都宮。ポート数は3500ヵ所以上で、設置している台数は電動アシスト自転車と電動キックボード合わせて1万台以上である。 利用にはスマートフォンの専用アプリを使うが、ダウンロード数は100万件を突破している。 電動キックボードのシェアリングについては、2018年6月から私有地・公有地での実施試験を皮切りに、各種の実証試験を経て、2021年4月からも実証実験という形を取って全国各地で事業を展開してきた。 直近の実証事件では、車両区分を「小型特殊自動車」として最高時速15km/h、またヘルメット着用は任意だった。 この実証実験は、2023年6月末で終了し、同年7月1日の改正道路交通法の施行に伴い、新たな事業として電動キックボードのシェアリングサービスを提供することになった。

TAG: #LUUP #特定原付 #電動キックボード
ボルボ EX30の発表会でプレゼンするボルボ カーズのジム・ローワンCEO
TEXT:小川フミオ
ボルボが二兎を追わずに目指すものは何か。彼らがEVメーカーに「変身」した理由をCEOに訊く

ボルボにとって、電動化は氷山の一角。現在同社の舵取り役を務めるジム・ローワンCEOはそう語る。彼らは果たしてどこを目指しているのか。どうして内燃機関の開発を止めたのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオがCEOインタビューを通して、ボルボが見ている明日の姿を浮き彫りにする。 ソフトウェアやマテリアルに注目すべし ボルボ・カーズのジム・ローワンCEOは、これからの生き残りにおいては、素材の開発とコアコンピューティングテクノロジーが大事になる、とする。 ミラノにおけるEX30の発表会場で行なったインタビューから、要点を紹介していこう。 −−電動化が進んでいくなかで、自動車メーカーは何をやるべきか。ボルボ・カーズの考えはいかなるものか。 「電動化は氷山の一角にすぎません。私たちがいま行なおうとしているのは“変革”であって、電動化自体が目的ではないのです。電気モーターか、内燃機関か。みんな議論をそこで終わらせてしまっています。いま起きつつあるのは、実際はもっと深いところでの変革なのです」 −−ボルボが起こそうとしているのは、クルマ自体の変革か。 「いま、電動化とともに注目すべきは、コアコンピューターテクノロジー、ソフトウェア、シリコンといった分野であり、そして、忘れてはならないのが素材です」 −−クルマにおける変革は、見えないところで起こるということか。 「モーターは同期型か非同期型かとか、インバーターモジュールはどうするかなどといった議論もあります。いまさかんに取り沙汰されている話題でいうと、窒化ガリウムを使ったインバーターとか、パワー半導体のシリコンカーバイド(SiC)とか。要するにマテリアルサイエンスともいうべき領域が、私たち企業の未来に大きくかかわってくるのです」 −−自動車メーカーはまったく新しい領域に足を踏み入れはじめている。 「いまや、私たちはどんどん極小な領域に足を踏み入れていっています。サブアトミック(原子核内部)のところまで分け入っているわけです。ナノテクノロジーの分野が、この先の開発において、どんどん重要になっていくと思っています」 “エンジン”の選択肢より、新技術へ −−2023年6月に発表したEX30ではLFPバッテリーとNMCバッテリーというふうに、クルマのユーザーが何を求めているかによって使い分けている。 「駆動用バッテリーにしても、リチウムイオンとひと言でくくれなくなっていますから。今回は、性能はまずまずのレベルですが比較的廉価で、都市で使うぶんにはなんの問題もないLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーも搭載しました。さらに、シリコン負極(アノード)の開発を進めたり、またソリッドステートタイプ(全個体電池)もそろそろ現実ものとなってきたりという具合ですね」 −−ボルボ・カーズは2021年6月に「ソフトウェアがクルマを定義する時代がくる」としていた。素材とともにコンピューティングも重要な要素になる。 「コアコンピューティングテクノロジーがクルマの“性能”を左右する時代です。ビジョン処理とAI、一般的なコンピューティング、それにインフォテインメントと、さまざまな機能において重要なのです。私たちは、このさきクルマはソフトウェアによってスペックスが決まってくると思っていて、これからのプロダクトをSoftware-Defined Carと定義しています」 −−自動車の作りかたが根本的に変わってくる。ボルボ・カーズはさまざまな企業と提携したりしながら、あたらしい道を開拓していく姿勢が明確だ。 「(先述の素材を含めて)すべてを同時に行なっていかなくてはいけないのです。そんな時代に、ICEもBEVもというのでは、私たちのような規模の企業にとって、負担が大きすぎます。そこで私たちは電動化を選んだのです。あたらしい技術にこれからも投資していきます」 Vol. 3へ続く

TEXT:烏山 大輔
電気自動車である前にロールス・ロイスであること。[ロールス・ロイス・スペクター発表会 後編]

2030年までに全モデルBEV(バッテリー電気自動車)化を掲げるロールス・ロイスにおいて初となるBEVであるスペクターが日本に上陸した。前編に引き続き、空力やデザイン、音に関する後編をお届けする。 空力に貢献する「パンテオン・グリル」 エンジンを冷やす必要がなくなったパンテオン・グリルは、新たにクルマの周りに空気を流してエアフローを整える役目を持っている。そのために緩やかな角度に設計された。延べ830時間に及ぶデザイン・プロセスと風洞実験の成果により、スペクターはロールス・ロイス史上最も低いCd値0.25を達成している。 空力テストを踏まえて、スピリット・オブ・エクスタシーもこれまでよりも前傾姿勢をとっているが、エレガントでアイコニックでなければならないという要素も成立させている。 スペクターはブランド史上最もワイドなグリルとなっており、全幅も2,144mmと、ファントム(2,020mm)より124mmも広くなった。グリル横のスプリット・ヘッドライトは同じグループであるBMW 7シリーズの面影を感じる。 サイドビューではルーフのスレートラインが「エレガントなファストバックシルエット」を作り出している。それに追加してドアハンドルの高さのショルダーラインと下部の現代ヨットから着想を得た「ワフト・ライン」も加わる。この2つのラインはフロントに向かってテーパーする形とし、停止時でも前に走り出すようなイメージを与える。 テールライトの縦のラインはパンテオン・グリルと呼応するデザインを持っていて、ライトが消灯した際には完全にカラーレスになるのが特徴だ。あえてノーカラーとしている理由は、ほとんどのオーナーがボディカラーをビスポークするので、このテールライトであれば、ボディカラーと喧嘩をしないという大きなメリットがあるためだ。 BEVで更に高められたマジック・カーペット・ライド オール・アルミニウム製スペースフレーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。アルミニウム押出材セクションと、バッテリーの車両構造への一体化により、ロールス・ロイスの従来モデルより30%高い剛性を達成している。またその構造により、約700kgのバッテリーは遮音材としても機能する。 102kWhの容量を持つバッテリーは8kWの普通充電の場合は約13時間、最大195kWの急速充電であればほぼ30分で満充電となる計算だ。 ドライバーの状況や路面状況に応じて的確に反応するプラナー・サスペンションはロールス・ロイスの特徴である「マジック・カーペット・ライド」をさらに強化している。

TAG: #スペクター #セダン #ロールス・ロイス
ボルボ EX30の発表会でプレゼンするボルボ カーズのジム・ローワンCEO
TEXT:小川フミオ
ボルボが電動化の先に見る明日とは。彼らがEVメーカーに「変身」した理由をCEOに訊く

ボルボ・カーズはいち早く電動化に向けて大きな一歩を踏み出したメーカーのひとつ。とりわけ彼らは、リサイクル素材を多用するなど、ボルボ=サステナブルなイメージを強化するEVを精力的にリリースしている。何故彼らは電動化に“全振り”する戦略を採ったのか。ジム・ローワンCEOに、自動車ジャーナリスト・小川フミオが直撃した。 ボルボはこれからどこへ向かうのか 2023年6月に発表したコンパクトサイズのSUV、EX30で大きくBEVメーカーへの変身へと舵を切った感のあるボルボ。 EX30は、中国の吉利汽車とプラットフォームの共用戦略も採用。生産も中国で行なう一方、北米での販売も行なうなど、ボルボにとって、重要な車種だ。 2022年3月からボルボ・カーズの舵取りを行なっているジム・ローワンCEOに、ミラノでのEX30発表の機会をとらえて、インタビューを行なった。 スコットランド出身のローワン氏はダイソンCEOも務めていた経歴の持ち主。ローワンCEOを迎えたボルボは、EX90を2022年11月にストックホルムで公開。 このとき、ローワン氏は世界中から集まったプレスの前に姿を見せた。私もそのとき最前列でステージを見学させてもらった。 日本人の耳にはちょっとクセのある英語とともに、1965年生まれという先入観を吹き飛ばすような精力的な身振り手振りでもって、このさきボルボ・カーズは大胆にカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の削減に取り組んでいくと語った。 EX90は(読者のかたは先刻ご承知のように)BEVの大型SUV。「30分の充電で600km以上走るBEVで、私たちがいまどういう姿勢であり、そしてこれからどこへ向かうかを示す指標です」と、ローワンCEOはそのとき述べた。 リサイクル素材の使用を大々的に謳っていたのも印象的だった。たとえば、スチールでは11%、アルミニウムでは25%、そしてプラスチックは15%(重量では48kg)がリサイクル素材となるという。 「電動化自体が目標ではない」 その流れのなかで、次に発表したのが、EX30である。ローワンCEOはなにを考えているか。 各テーマごとに、ローワンCEOのコメントとして、インタビューでの回答のなかから抜き出してみた。 −−現在、ボルボが掲げている目標のなかで、もっとも重要なものはなにか。 「一般的に言っているのは、2030年までに販売するクルマをすべてBEVにすることです」 −−電動化を着々と進めている。 「電気化自体が目標というわけではないのです。目指しているのは、サステナビリティ、地球環境保全です。そのために、カーボンフットプリントを削減します。パワートレインが電気になればそれでサステナブル、というわけではありません。部品、生産、廃棄まで含めて、2025年までに、2018年比で約40%、二酸化炭素を減じていく大胆な目標を立てました」 −−EX30ではリサイクルパーツの多用が謳われている。 「カーボンフットプリント減少のために重要なのは、クルマのなかで使う素材の選択です。リサイクルしたアルミニウム、リサイクルした鉄、リサイクルしたプラスチック。往々にしてリサイクル素材はコストがかかりますが、そこは問題でなく、正しいことをやっているのがもっとも重要なのです」 −−さらに素材には踏み込んでいる。 「私たちは、グリーンスチールを使う最初のメーカーです(注:現時点では未使用)。製造プロセスこそ一般のスチールとおなじですが、(製鉄プロセスにおいて通常コークスを使う際の二酸化炭素排出量を抑制する)水素を利用することでカーボンフットプリントを減らすことが出来ます。私はこれはいい選択だと思っています」 −−このさきもカーボンフットプリント削減への努力は惜しまない。 「私たちが掲げている目標は、2025年までにカーボンフットプリントを2018年比で40%減らすことです。そこに向かって、こうして着々と進んでいるのです」 Vol. 2へ続く

TAG: #EX90 #トップインタビュー #ボルボ
TEXT:烏山 大輔
これぞ最上級の電気自動車!ロールス・ロイスが「スペクター」を日本で初公開。価格は4,800万円から。[スペクター発表会 前編]

ロールス・ロイス・モーター・カーズは6月30日、ロールス・ロイス初となるBEV(バッテリー電気自動車)のスペクターを、日本で発表した。その詳細をお伝えする。 584ps、900Nm、0-100km/h加速は4.5秒のAWD 1906年にヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールズによって創業されたロールス・ロイスに新たに完全な電気自動車である「スペクター」が加わった。 このモデルは電気モーターを強く支持していたヘンリーと、1900年という馬車からクルマへと移り始めた時代に「電気自動車は完全にノイズがなくクリーンである。常設の電気ステーションが整備されればとても便利になるはずだ。」と電気の未来を予言したチャールズの想いが実現したクルマでもある。 ロールス・ロイスはこれまでのICE(内燃機関)でもエンジンは黒子に徹して静粛性が高く、かつ圧倒的なトルクを発揮するモデルを生み出してきた。その静粛性と圧倒的なトルクという性格はBEVが最も得意とするところだ。 彼らが「ウルトラ・ラグジュアリー・エレクトリック・スーパー・クーペ」と呼ぶこの4人乗りのBEVは、2,890kgと決して軽くはないが、0-100km/h加速を4.5秒でこなす。前後の各1基のモーターは430kW(584ps)、900Nmの力をこのクルマに与える。AWDということでは、現状のロールス・ロイスのラインナップではカリナンに次ぐ2モデル目となる。 この加速性能は465kW(632ps)、870Nmを生み出すV12ツインターボエンジンを搭載するレイス ブラックバッジと全くの同値である。しかもガソリンエンジンモデルの方が460kg軽いことを踏まえれば、発進加速の良いモーターがこの結果をもたらしていると考えて良いだろう。 ただしあくまでスタートプライスはスペクターの方が700万円高い。しかし、ロールス・ロイスを注文する人はビスポーク(オーダーメイド)が前提で、内容によっては数百万円なんてあっと言う間に到達するので、オーナーは問題だとは思わないのかもしれない。

TAG: #スペクター #セダン #ロールス・ロイス
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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