航続可能距離がもたらす移動の自由
一方、街乗りを主体とする軽EVやコンパクトクラスも着実な進化を遂げている。注目は、2025年9月に発売されたホンダ「N-ONE e:」である。ホンダの発表によると、このモデルは軽EVとしてはトップクラスの295km(WLTCモード)をマークし、日常使いにおける安心感を大幅に高めた。
同じくホンダの商用軽EV「N-VAN e:」は245kmを確保し、ビジネスシーンでの実用性を担保している。日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」は180km前後と、割り切ったスペックでシティコミューターとしての役割を明確にしている。このように、現在は「とにかく長距離」というわけでなく、用途に合わせて最適な航続距離を選べるラインアップが整っているのである。
これら最新の数値が示唆するのは、EVがもはや「我慢して乗るクルマ」ではなくなったという事実である。WLTCモードで700kmを超えるということは、エアコン使用や高速走行などの実使用環境を考慮しても、500km以上の移動が可能であることを意味する。これは、東京・大阪間をはじめ本州の主要都市間をストレスなく結べる距離といえる。であれば、充電スポットを探しながら走るという従来のEVの作法を変えることになる。
とくに、リーフやbZ4Xのような長距離モデルであれば、帰省や旅行といったロングドライブにおいて、充電のタイミングを「クルマの都合」ではなく「人間の都合」で決められるようになる。食事や休憩のついでに継ぎ足し充電を行えばよく、充電残量計とにらめっこする緊張感からは解放されるだろう。また、200〜300kmレンジの軽EVであっても、自宅充電を基本とする日常使用においては必要十分であり、むしろ軽量なバッテリーによる軽快な走りが魅力となる。
2026年の国産EVは、スペック競争のフェーズを超え、ユーザーのライフスタイルに寄り添う実用車の段階に入った。長距離を走るならリーフやbZ4X、街乗りならN-ONE e:やサクラといったように、自分の生活に合った一台を選べる環境は、かつてないほど充実している。これからEVへの乗り換えを検討する読者にとって、今はまさに絶好のタイミングといえるだろう。



















































